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【識者の眼】「身寄りがない人の尊厳の保障〜終活や人生会議の重要性〜」岡江晃児2021.10.25

セラピストプラス編集部からのコメント

超高齢社会・多死社会に突入している日本国内では、単身世帯の増加、親族の減少、近隣関係の希薄化がみられ、身寄りがなくても安心して暮らせる社会の構築が急務となっています。

今回の【識者の眼】は岡江晃児氏(杵築市医療介護連携課兼杵築市立山香病院・ソーシャルワーカー)が「身寄りがない人の尊厳の保障〜終活や人生会議の重要性〜」と題して寄稿。その現状の詳細と成すべき対策について提言しています。

我が国は超高齢社会・多死社会に突入し、単身世帯の増加、親族の減少、近隣関係の希薄化がみられる中、身寄りがなくても安心して暮らせる社会の構築が急務である。

私自身、医療ソーシャルワーカーとして今まで多くの身寄りがない人の支援をしてきた。医療同意や死亡時の対応、施設入所時に必要な身元保証の有無等、身寄りがない人の尊厳を保障するために困難を要してきた。

杵築市における身寄りがない人の支援に関する実態調査(2020年)において、身寄りがない人の支援に関して「特に困難を要していない」と回答した機関はなく、「緊急の連絡先に関すること」「医療行為(手術や検査等)の同意」「入院・入所中・在宅サービスの必要な物品の準備に関すること」等、様々な内容で困難を要していることが明らかになった。そのような現状の中、身寄りがない人の終活や人生会議の重要性を痛感する。

厚生労働省の「人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂版(2018年3月)の改定の大きなポイントの一つとして、本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことが示され、信頼できる者の対象を、家族から家族等(親しい友人等)に拡大されたことは、大変意義深い。

身寄りがない人の場合、頼れる家族との関係が希薄であるため、もしもの時のために事前に話し合う人生会議を行う大切な人は、地域の中にいると考えられる。地域住民や行政、社会福祉協議会、弁護士、司法書士、社会福祉士等といった地域の様々な関係性の中で人生会議を行うことになる。

また、制度・サービスに関しては、判断能力が不十分になったときに、あらかじめ判断能力がある時から結んでおいた任意後見契約に従って支援する任意後見制度や亡くなった後の遺体引き取り、葬儀供養等を行う死後事務委任契約等があり、まさしく終活や人生会議のプロセスである。

身寄りの有無に関係なく、地域で終活や人生会議を行い、フォーマル、インフォーマルの社会資源との繋がりを通して、地域全体でその人の尊厳を保障する社会をめざしていかなければならないと、身寄りがない人の支援を通して再認識した。

【参考文献】
▶ 厚生労働省:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン, 2018.
岡江晃児(杵築市医療介護連携課兼杵築市立山香病院・ソーシャルワーカー)[身寄りがない][終活][人生会議]

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出典:Web医事新報

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