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排泄リハビリテーションにおける理学療法士の役割、排泄に関連するすべての領域を網羅した一冊2022.03.11

医療や介護、福祉のなかで排泄に関する問題は、病院や施設、訪問リハビリで働く理学療法士にとっても身近なものです。患者や家族、介護者にとっても重要な問題ともいえるでしょう。特に超高齢社会を迎え、さまざまな疾患や障害をかかえる高齢者が増えています。

また、高齢者に限らず、小児を含めて広い年代でも排泄障害をもった人もいます。この記事では、排尿や排便に関する排泄リハビリテーションの重要性と、その概念を実現すべくまとめられた一冊をご紹介します。

排泄リハビリテーションの重要性

排泄は私たち人間の生活に密接に関係しています。近年では、自立した排泄支援体制が評価されつつあり、2016年度の診療報酬改定では、「排尿自立指導料」が新設されました。その算定基準として、排尿ケアチームを設置し、医師や看護師、理学療法士または作業療法士の多職種で患者のケアにあたることが明記されています。そのため、各病院や施設では、排尿ケアチームとして腎泌尿器科や脳神経外科の医師、皮膚・排尿ケアや脳卒中リハビリテーション看護の認定看護師、各部署の看護師、理学療法士、作業療法士などを中心として活動しているところも増えてきています。

排尿ケアや排泄リハビリテーションといっても、理学療法士は具体的に何をすればいいのかという疑問や不安もあることでしょう。理学療法士による排泄リハビリテーションは起居動作や移動・移乗などの動作的なアプローチが多く、直接的なアプローチが行われているケースは少ないかもしれません。

しかし、排泄リハビリテーションでは理学療法士にとっての専門性を生かし、医師や看護師などと連携しながら、身体機能評価と機能回復(排泄関連動作における起居・移乗動作などの回復)という役割を積極的に担っていく必要があります。

[参考]
p.529 排泄リハビリテーション 理論と臨床 改訂第2版
理学療法士のよくあることについて
「当院における排泄リハビリテーションの現状(第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会)」
「これからの理学療法士に求められるもの(理学療法とちぎ Vol.8)」
「排尿ケアチームにおける理学療法士の役割についての検討(Vol.44 Suppl. No.2「第52回日本理学療法学術大会 抄録集」)」
「中枢神経系に対する理学療法アプローチ(理学療法科学22(3))」

排泄に関連するすべての領域を網羅した一冊『排泄リハビリテーション 理論と臨床』

排泄リハビリテーションにおいて、新たなガイドラインや診療報酬改定の情報などを盛り込み、理論と臨床をまとめた一冊が、『排泄リハビリテーション 理論と臨床 改訂第2版』です。初版から排泄に関する診断や治療が進歩した現在において、排泄に関連するすべての領域を網羅した一冊とするために、13年ぶりの改訂となりました。

改訂第2版では、排泄とはなにか、解剖や生理、障害を引き起こす疾患、アセスメントと治療やケア、社会環境や医療経済についてなど、多くの最新情報をもとに解説がアップデートされています。

特に解剖や生理ではわかりやすい図を用いて解説し、事例を含めて排泄障害をもつ人に対して、どのような検査・アセスメントを行い、どのように治療・ケアを行っていけばよいか、排泄障害に用いる製品の最新情報を写真と共に網羅しています。さらに、「脳腸相関」「ディスバイオーシス」「仙骨神経刺激療法」「がん終末期の排尿ケア」「多職種連携・病診連携」などが新項目として追加されました。

理学療法士におすすめしたい項目

特に理学療法士に注目してもらいたいのは、第Ⅲ部の「排泄リハビリテーション」の項目です。そのなかの「A▪排泄障害の治療・ケアの共通原理」の部分では、トイレ環境や住宅環境におけるアセスメントのチェックポイントと改善策が事例と共に紹介されています。さらに、骨盤底筋訓練やバイオフィードバック療法などの理学療法についても、その原理や効果、注意事項、臨床実践が具体的にまとめられています。

排泄リハビリテーション 理論と臨床 (改訂第2版)排泄リハビリテーション 理論と臨床 (改訂第2版)
書籍『排泄リハビリテーション 理論と臨床 (改訂第2版)』より

また、「D▪疾患別の排泄障害のケア」では、脳血管障害やパーキンソン病、二分脊椎、脊髄損傷、糖尿病、認知症やADL障害、がん終末期の疾患別に障害の特徴やケア、生活指導のポイントが載っています。看護師がどのようなケアを行っているか、よりイメージが湧きやすくなることでしょう。

「第Ⅳ部 よりよい医療をうけるために」のなかの「B▪多職種連携・病診連携」では、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、栄養士、医療ソーシャルワーカーなどがどのような役割のもと、連携を進めていけばいいのか事例を元に紹介しています。排泄リハビリテーションにあたっては、広く生活支援の視点をもって働きかける必要があり、チームとして多職種連携、病診連携、地域連携をしていくことの重要性がまとまっています。

[参考]
p.315~322、473~490、528~533
排泄リハビリテーション 理論と臨床 改訂第2版

この本は、排泄に関わる医療者がそれぞれの立場で用いることができるように、「排泄障害を診るだけでなく、排泄障害をもった人を診ることができる」成書となるように編集されています。なかでも、排泄の心理学、排泄障害者に対する心理学的アプローチについて、患者やその家族の心理を把握し、理解することの重要性もまとめられています。身体的治療には心理学的治療も伴い、対人援助職として理学療法士も把握しておくと患者とよい治療関係を築いていけることでしょう。

また、タイトル通り排泄リハビリテーションにおける理論と臨床を結びつけるものとして、排泄全体を網羅する実用的な専門書となっています。排尿ケアや排泄リハビリテーションに関わる理学療法士がチームのなかで自身の役割に気づき、専門性を発揮して、チーム活動において多職種との連携・調整が円滑に進められることを手助けしてくれる一冊です。

書籍情報

排泄リハビリテーション 理論と臨床 (改訂第2版)
書名:排泄リハビリテーション 理論と臨床 (改訂第2版)
編集 後藤百万(独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院・院長)
本間之夫(日本赤十字社医療センター・院長)
前田耕太郎(藤田医科大学病院 国際医療センター・教授)
味村俊樹(自治医科大学外科学講座 消化器一般移植外科部門・教授)
B5判/並製/4色刷/576頁/定価9,680円(本体8,800円+税)
ISBN 978-4-521-74935-8 

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文:セラピストプラス編集部

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