第1回病棟勤務の作業療法士のお仕事ルポ
公開日:2017.02.27 更新日:2017.03.24
- Profile
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岩渕敬子さん(29歳)
資格:作業療法士 アロマセラピー1級
専門学校卒業後、リハビリ病院を経て船橋整形外科病院へ。趣味は買い物や友人と食べ歩きに出かけること。
病棟では“情報共有”のためのホウ・レン・ソウが大切です
タイムテーブルをご覧になって、「こんなにたくさんのミーティングをするんだ」と思われた方も多いのでは? 一体、どんなことを話すのでしょうか。
「朝のミーティングでは、まずその日のスタッフの出席確認を行った後、入院されている患者さんを誰が担当しているか各々で確認し、退院する患者さんはリーダーに申し送り、声かけをして確認を行います」(岩渕さん)
船橋整形外科病院では手術後の入院期間は短く、入退院が頻繁にあるため、間違いがないようにみんなで情報を共有することがミーティングの大きな目的です。
「特に、何回も同じ場所をケガしている方や認知症の方、転倒リスクのある方などリハビリに心配りが必要な方の場合は、しっかりチーム内で確認していくことが必要です。また、担当が休みで代行が入る際には、注意事項の申し送りを丁寧に行わなければなりません」
船橋整形外科病院の場合、一人の患者に一人のPTまたはOTがつく担当制をとっているため、医師や看護師とも連携をとって情報共有を行い、リハビリのプランを立てていきます。
「執刀医だけでなく他の医師も集まって画像を見るときには、とても勉強になるため、自分の担当の患者さんではないときにも出席するようにしています。病棟の場合、手術後1日目から介入します。センシティブな時期なので、リハビリのときにどういうところがリスクになるのか、医師の視点での意見がとても参考になります」
また、経験の多い先輩からも理学療法士の視点として注意すべき動作などの意見が聞ける機会にもなります。
1日のミーティングは4回、
リスクの申し送りは特に慎重にしています
朝のミーティングの後は、午前の終わり、午後のはじめ、一日の最後にミーティングがそれぞれ行われます。順に岩渕さんのお仕事を追っていきましょう。
「午前のリハビリが終わったら、12時に昼のミーティングを行います。体調の不具合などでリハビリができなかった、バイタルが安定しなかったなど患者さんについての報告をした後、その日の入退院情報についても確認します」
その後、昼休みが入り、午後の勤務に入る前に再度ミーティング。
「入院してこられる患者さん、次の日にオペがある患者さんのリストアップなどを行います。また退院が決まっている方は、病棟から外来への申し送りを電子カルテを活用して行い、そこでも抱えている疾患・リスク・退院日などの情報を共有します」
午後一のミーティングが終わったら、そのままリハビリに。病棟にもリハビリ室が完備されていますが、手術直後や高齢の方などは病棟の廊下や病室を使うこともあります。
取材当日は、病棟の廊下に2台の車椅子を置き、大腿骨骨折の手術をしたご高齢の患者さんが杖を使ってゆっくりと歩くリハビリを行っていました。
「手術直後でとても痛い時期です。それでもリハビリをしなければいけない。本当につらいのですが、ここでがんばると経過がいいということも多々あります。そのため、まずは礼儀をしっかり尽くして、痛みやつらさに共感しつつ、『今、ここでがんばっておくと次につながる』と、ポジティブになれるような言葉がけを心がけています。他には、痛みの感じ方や、どういったところで落ち込みやすいかといった患者さんの気持ちにも寄り添うようにしていますね」
午後のリハビリを終えたら17時に最後のミーティング。ここではその日に起きた出来事などの報告事項を共有し、1日の業務が終わります。
業務が終わればもちろん、すぐに帰宅しても構わないのですが、岩渕さんは「やりたい仕事や勉強」などに、毎日1~2時間をあてています。
次回は、岩渕さんが“自分のスキルを高めるためにやっていること”についてうかがいます。
タイムテーブル
岩渕さんの1日
- 7:30
- 病院到着 更衣室で着替えを済ませた後、病棟へ。
- 7:50
- 朝のミーティング 「事前準備をする心づもりで、いつも早めに出勤するようにしています」
- 8:00
- 患者さんのリハビリ開始
- 12:00
- 昼のミーティングの後、昼休み
- 13:00
- 午後のミーティング
- 13:10
- 午後のリハビリ開始
- 17:00
- 終わりのミーティング
- 18:00|19:00
- 帰宅
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担当の患者さんが多い日は残業になることもあります。
定時に帰れる時は、自分がやってみたい業務や勉強の時間にあてています。