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患者・利用者から食事のクレームが入ったら?基本の対応とマナー

公開日:2021.12.22

患者・利用者から食事のクレームが入ったら?基本の対応とマナー

文:広田 千尋
管理栄養士

病院や施設など給食を提供する職場では、必ずといっていいほど食事のクレームが発生します。

食事のクレームは「対応できるもの」と「対応できないもの」など、さまざまな種類があります。そしてうまく対処できれば、患者さんや利用者さんとの距離を縮めるチャンスにもなります。

管理栄養士である筆者は病院での勤務経験があり、数々のクレームに対応してきました。そんな筆者が、クレーム対応の基本からクレームの種類別の具体的な対応例まで、詳しく解説します。

食事のクレームは味付けからメニューまでさまざま

食事のクレームは「食事がおいしくない」「味付けがうすい」などの食事に関する内容のものから、「髪の毛が入っていた」「本来提供されるべきでないメニューが提供された(食事の提供間違え)」といったトラブルに関する内容のものまでさまざまです。

病院や施設では、看護師や介護士などほかのスタッフから栄養士に伝達されることもありますが、患者さんや利用者さんから直接言われることもあります。給食業務を委託していても、このようなクレームの対応は病院や施設側の栄養士が対応しなければならない場合がほとんどです。

はじめはなかなかうまく対処できないかもしれませんが、クレーム対応の基本を知り、少しずつ慣れて対処力を磨いていきましょう。

クレーム対応の基本は相手の気持ちを受け止めること

クレーム対応の基本は、「謝罪」と「傾聴」です。上手に対処することで、クレームが大きくなるのを防ぐこともできます。いざというときのために、その基本を覚えておきましょう。

①不快な気持ちに対する謝罪をする

クレームを受けたとき、まずは不快な思いにさせたことに対するお詫びの言葉を伝えます。謝罪の内容は「不快な思いにさせたこと」に対してで、相手の気持ちに焦点を当てて謝罪するのがポイントです。

先に謝罪することで、相手の気持ちが落ち着き、冷静に話を進めやすくなります。もし相手が先に話し始めた場合は、さえぎらずに話を聞き、その後、謝罪の言葉を伝えましょう。

クレームの内容に対して非を認めて謝罪するかどうかは、事実確認が必要になるため、しっかりと話を聞いてから判断しましょう。

②相手の話を聞いて気持ちを受け止める

クレームの大小に関わらず、相手の話を丁寧に聞き、どの部分に不満や不快な感情を持っているのかを見極めましょう。その気持ちを理解、共感することで相手は「わかってもらえた」と思い、解決への話もスムーズにできるようになります。

相手の気持ちを無視して、単に謝るだけ、または対応するだけでは満足してもらえないどころか、クレームが大きくなってしまう恐れもあります。

また話をさえぎって、言い訳や言い逃れをすることもいけません。あいづちやうなずきを交えながら誠実な態度で最後まで聞き、相手が伝えたいことを汲み取れるように努めましょう。

【クレームの種類別】管理栄養士の正しい対応例

患者・利用者から食事のクレームが入ったら?基本の対応とマナー
クレームの種類によって対応できるかできないかが異なり、また対応のしかたについて職場でルールが決められている場合もあります。それがわからない場合は、「今後の対応については確認後、改めてご提案させていただきます」などとお伝えし、先輩や上司に相談しましょう。

次に、「対応できるもの」「対応できないもの」別の対応のしかたをお伝えしますが、あくまで参考程度にし、職場のルールに沿い、臨機応変に対応してください。

対応できるもの①:「異物混入」「食事の提供間違え」など

異物混入や食事の提供間違えなど、事故につながりかねないクレームの場合、まずは状況をしっかりと確認します。異物混入の場合であれば、異物にもよりますが、相手へケガがないかの確認をすることも必要です。

状況確認を終えたら、不快な気持ちや危ない状況にさせてしまったことに対する謝罪を行います。またミスが起こった原因を追究して再発防止に努めることも伝え、今後安心して給食を食べてもらえるようお伝えすることも大切です。

このようなクレームの場合は、患者さんや利用者さんとの距離を縮めるチャンスにはなりにくいものです。信頼回復に向け、誠意をもった対応を心がけましょう。

対応できるもの②:「食事の量が多い」などの不満

「ご飯の量が多い」「食事の量が多くて食べきれない」などのクレームは、《クレームというよりは不満を漏らす》という形で伝えられることが多いかもしれません。対応できそうな場合は、栄養アセスメントなどの必要なステップを踏んだうえで対応を検討しましょう。

ただし、このような場合もしっかりと話を聞くことが大切です。

たとえば筆者は以前、「白米の量が多すぎる!」という意見を受けたことがあります。強い口調だったので何か理由があるはず、と話をよく聞いてみると「普段は糖質制限をしているから白米を食べていない。病院の食事は栄養バランスがよいはずだが、こんなに白米を食べて大丈夫なのか?(本当は白米が好きである)」という状況がありました。

このようなことを知らずに、単に「白米の量を減らす」という対応をしたのでは、相手の不満や不安、疑問は解消されないうえに、適切な栄養指導に結び付けることもできません。

些細なクレームと思ってしまうかもしれませんが、丁寧に対応し、よりより栄養指導や栄養管理ができるよう努めましょう。

対応できないもの:「味付けがうすい」などの不満

「味付けがうすい」「食事がおいしくない」などといったクレームは、相手の嗜好や食習慣などの主観が入ったものでもあるので、対応が難しい場面が多いものです。

「食事がおいしくない」と言われると、何も言い返せない管理栄養士もいると聞きますが、このような意見こそ、患者さんや利用者さんとの距離を縮めるチャンスです。意見を謙虚に受け止めつつ、なぜそのような意見が出たのか、話を聞いてみましょう。

たとえば「食事がおいしくない」という意見の裏には、「いつも奥さんのおいしい手料理を食べている」「料理が好きで自分でよく作っている」「食べ歩きが好きで、普段からおいしいものを食べている」などの背景があるかもしれません。

このような背景を知ったうえで気持ちを受け止めれば、相手も「理解してもらえた」と満足しやすく、その後のコミュニケーションもスムーズにいきやすいものです。またそのような背景は、栄養指導や栄養管理をするうえで役立つ情報となるでしょう。

入院生活や入所生活は不自由さがあり、不満が募りやすいものです。不満の表出をチャンスと捉え、患者さんや利用者さんとの話のきっかけにしてみましょう。

相手の気持ちを知って、よりよい栄養管理や栄養指導につなげよう

患者・利用者から食事のクレームが入ったら?基本の対応とマナー
これまでに伝えた通り、クレームの裏側にはさまざまな状況や気持ちなどの背景が隠れており、それが栄養管理上の問題点となる場合も多いものです。相手の状況や背景を知れば、寄り添った栄養管理・栄養指導につなげられます。

またコミュニケーションがうまく取れれば信頼関係を築くことができ、食事のアドバイスなどこちらの助言も受け入れてもらいやすくなります。

血液検査値や体重の数値だけを見るのではなく、相手を知り、的確な栄養指導・栄養管理ができるように努めましょう。

慣れないクレーム対応、ストレスをため込まずにうまく乗り切って

クレーム対応の基本を知っておけば、たいていのクレームはうまく対処できます。でも慣れないうちはなかなかうまくできず、ストレスとなってしまいやすいものです。

また、時には理不尽すぎるクレームや、クレームを言いたいだけ、といった場合があることもあります。誠実な態度で臨むことは大切ではありますが、上手に受け流してストレスをため込みすぎないようにすることも、自分の心身を守るうえでは大事です。

先輩や上司、同僚などに助けてもらいながら、慣れるまでの時期をうまく乗り切ってくださいね。

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広田 千尋

広田 千尋

管理栄養士
病院や保健センター、保育園などに13年間勤務した後に独立。現在はフリーランスとしてコラム執筆やレシピ作成を中心に活動中。インターネット上にたくさんの情報があふれるなか、専門家として正しい情報をわかりやすく伝えている。

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