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地域包括ケアってなんだ?(5)平成30年度診療報酬改定からみえるセラピストの役割(前編)

公開日:2018.04.02 更新日:2021.04.09

文:吉倉 孝則
理学療法士/保健学修士/認定理学療法士

、診療報酬、介護報酬がどのように決まるのか、また平成30年度は診療・介護同時改定であり、2025年に向けて重要な改定であることを書きました。それでは、実際にどのような改定があり、セラピストにどのような影響があるのでしょうか。
 

診療報酬の構造を理解しよう

 個別の改定項目を理解する前に、診療報酬の構造を理解するとわかりやすいでしょう。診療報酬による評価は主に「ストラクチャー(構造)」「プロセス(過程)」「アウトカム(結果)」の3つの側面があります。
 具体的には、

ストラクチャー評価 7対1看護体制、疾患別リハビリ料の施設面積など人員や施設面積などの体制を評価するもの。
プロセス評価 疾患別リハビリ料や各種検査、リハビリ計画書の作成といったように、これを実施すると評価するというもの。
アウトカム評価 平均在院日数、回復期の機能的自立度評価表FIMによる実績指数のように、効果によって評価するもの。

 これらを組み合わせて、診療報酬等で評価される仕組みとなっています。従来は、主にストラクチャーやプロセスが中心の評価であり、平成28年度の回復期の実績指数のようにアウトカムによる評価方法は画期的でした。今後、アウトカムによる評価に重点が置かれていくことは間違いないでしょうが、アウトカム評価には欠点があります。それは、「クリームスキミング」です。クリームスキミングとは、牛乳から最もおいしいクリームだけをすくい取るという意味で、つまりおいしい(儲かる)部分だけにサービスを提供するということです。
 例えば、リハビリの評価をすべてアウトカム評価とした場合、日常生活動作(ADL)の改善、要介護度の改善だけで評価するとなると、ADLや要介護度の改善しやすい患者のみ(儲かる患者のみ)をリハビリするような施設が出てきて、反対に効果の出にくい患者のリハビリがないがしろにされる懸念があります。
 よって、診療報酬はストラクチャー・プロセス・アウトカムを組み合わせて評価され、さらにアウトカム評価もクリームスキミングが起こらないように十分に配慮されています。
 

入院料の見直しで実績を評価!

 さて、本題に戻り今回の診療報酬(医療保険)の改定で、一番の目玉は何と言っても入院料の見直しです。従来の入院料は主に7対1看護体制など看護師の人数で入院料が決まっており、まさに「ストラクチャ―(構造)」で評価されていました。今回の改定では、そこに実績部分を組み合わせて入院料を評価するとされました。
 具体的には、急性期では実績部分として入院患者の重症度、医療看護必要度(以下、必要度)の患者割合で評価されることになりました。従来から必要度も加味されていましたが、それらをより強調され、急性期一般入院料1~7の7段階となりました。
 これはつまり、急性期ではより重症な患者をたくさん入院させれば、入院料が高く設定されています。入院料は病院の経営を左右するものであり、病院としてどの入院料を算定するかはとても重要です。
 リハビリ部門としては、ICUでの早期のリハビリやADL維持向上等体制加算での病棟専従での役割は、より大きくなると思われます。またセラピストのアセスメント能力を活かして退院支援にも積極的に関与していく必要があると感じます。
入院直後、手術直後の患者の能力や家屋環境等を踏まえてアセスメントし、自宅退院できるのか、転院した方が良いのかカンファレンスでも意見が求められる機会が増えるでしょう。そのときに適切に意見できるようにセラピストも心構えをして、積極的に退院支援にも関与していくと良いでしょう。
 次回は、多くのセラピストも活躍している「回復期」について述べたいと思います。
 
 
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