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セラピストの本音をお届け!現役理学療法士コラム 理学療法士の吉倉孝則さんが仕事中に考えたこと、日々感じていることをお届けするコラム。現役セラピストの考えや本音が詰まった連載です。セラピストの本音をお届け!現役理学療法士コラム 理学療法士の吉倉孝則さんが仕事中に考えたこと、日々感じていることをお届けするコラム。現役セラピストの考えや本音が詰まった連載です。

第36回新人療法士はどの職場でも通用する「社会人基礎力」を高めよう

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新年度を迎え、皆様の職場にも新人セラピストが入ったという職場も多いでしょう。一方で、先輩セラピストとして教育担当になり、何を教えればよいのか不安になっている方もいるかもしれません。今回は、専門家として専門性を高める前に重要な社会人基礎力について書きたいと思います。


 

新人セラピストをどのように育てるか

セラピストの業界では、若いセラピストの能力低下を叫ぶ声をよく聞きます。確かに、2000年代からの養成校の乱立により、養成校入学時の偏差値が低くても入学可能となったり、養成校側も教育の質の低下が問題視されることもあります。そんな若いセラピストが新人として入職してきたときに、あなたは指導者としてどのように新人を育てますか。職場によっては、新人教育のラダーを設けて、教育目標や方針がしっかりと定めているところもあると思います。しかし、まだまだ未整備の職場が多いのが現状です。そんな中で、新人に対して専門的な知識や技術は一朝一夕に身につくものではありません。経験を通しながら、勉強していくしかないのです。最近では、リハビリテーション分野の専門的な講習会やセミナーは多く開催されていますし、日本理学療法士協会や日本作業療法士協会でも生涯学習システムが構築されています。また教科書となるような専門書は数多く発刊され、インターネットを活用すれば情報も多く取れます。つまり、知識や技術を身につけるためには時間はかかりますが、学ぶ環境はあるということです。職場の先輩として、管理者として、当然、目の前の患者をないがしろにはできませんので(まだ新人で知識技術がないから仕方がないは通用しない)、適宜、新人へのアドバイスは必要でしょう。しかし、もっと必要なのは、社会人として仕事への姿勢や、自らしっかりと勉強する姿勢ではないでしょうか。
私は、若いセラピストの専門的な知識技術の低下より、このように自ら学ぶ姿勢、仕事への姿勢の方が問題だと思います。どの時代でも「最近の若者は……」という言葉はあると思いますが、社会人として成長するための能力が必要だと思います。そこで、今回紹介するのが、「社会人基礎力」です。
 

新人にもベテランにも必要な社会人基礎力とは?

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。

図1:社会人基礎力

出典:経済産業省HP 社会人基礎力「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料

1つ1つの能力と能力要素をみていきましょう。
 

1.「前に踏み出す力」

「前に踏み出す力」とは、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力のことであり、その構成する能力要素は「主体性」「働きかけ力」「実行力」です。これらにより、指示待ちにならず、一人称で物事を捉え、自ら行動できるようになることが求められています。

小学校から大学・専門学校までは、先生の指示に従い、課題に取り組み、決まった授業の時間に受動的に授業を受けて、テストに合格すればよかったかもしれません。しかし、社会に出ると指示待ちではなく、自ら取り組まないといけない場面が多くなるでしょう。リハビリ場面であれば、その日の担当患者の順番を決めたり、リハビリの予約時間にしっかり時間を確保したり、合間にカルテの記録や書類作成するなど自ら仕事の時間配分や調整する必要があります。このように、「次はあれをやりなさい」と指示されなくても行動できる能力が求められます。さらに、不安なことや、わからないことがあれば、上司や先輩、医師や看護師等に報告・連絡・相談することも求められるでしょう。このように他人に働きかける力も必要になります。
 

2. 「考え抜く力」

「考え抜く力」とは、疑問を持ち、考え抜く力のことであり、その構成する能力要素は「課題発見力」「計画力」「創造力」です。これらにより、論理的に答えを出すこと以上に、自ら課題提起し、解決のためのシナリオを描き、自立的な思考力が求められています。
これは、リハビリの治療過程に近いかもしれません。評価をして、その結果を解釈し、問題点を挙げて、プログラムを立案し、いつまでに達成するかのゴール設定を行うといったリハビリテーションマネジメントの要素に似ています。しかし、漫然と治療をしていると、課題発見力は低下し、何が必要か考えていないと、リスク管理を怠り、アクシデントの原因にもなります。常に「これでよいのか」と考え、疑問を持ち、わからなければ調べ、計画的に準備することが社会人としてセラピストとして求められます。このように考え抜く力は、学ぼうとする力・姿勢となり、結果的に専門的な知識技術の向上につながると思います。
 

3. 「チームで働く力」

「チームで働く力」とは、多様な人々とともに、目標に向けて協力する力のことであり、その構成する能力要素は「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロール」です。これらにより、グループ内の協調性だけに留まらず、多様な人々との繋がりや協働を生み出す力が求められています。
これもリハビリ場面でもわかりやすいと思います。チーム医療で常に多職種協働・連携が求められます。カンファレンスでは、リハビリの状況をわかりやすく説明する能力が求められ、相手の話も聞き、協調し調整する力も求められます。これは院内に限らず、地域に出てもケアマネージャーや他事業所との関わりの際も必要となります。またカンファレンスや会議の時間の厳守、書類作成期限の厳守など規律性がなければ、社会人としてセラピストとして信頼はされません。

以上のように、社会人基礎力が社会人として必要な能力であり、リハビリセラピストとしても必要な能力であるということは理解していただけたでしょうか。
12の能力要素すべてを完璧にできている人は、ベテランであってもなかなかいないと思います。新人や若手であれば尚更ではないでしょうか。必要なことは、このような能力が求められており、自分自身がその能力が出来ているのか常に意識することでしょう。
次回は「社会人基礎力」を高めるためには、何をするべきか述べていきます。

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吉倉孝則

吉倉孝則 (よしくら たかのり)

理学療法士。保健学修士。認定理学療法士(運動器)。
星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻卒業。浜松医科大学附属病院リハビリテーション部入職。星城大学大学院健康支援学研究科修了。
大学病院への勤務時代は、整形外科疾患、がんのリハビリテーションを中心に幅広い疾患のリハビリテーションに従事。院内の緩和ケアチームにも携わり多職種連携を心がけている。
臨床業務以外にも研究活動や学生の指導など教育、地域包括リーダーとして地域包括ケアの構築にも力を入れている。


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