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セラピストの本音をお届け!現役理学療法士コラム 理学療法士の吉倉孝則さんが仕事中に考えたこと、日々感じていることをお届けするコラム。現役セラピストの考えや本音が詰まった連載です。セラピストの本音をお届け!現役理学療法士コラム 理学療法士の吉倉孝則さんが仕事中に考えたこと、日々感じていることをお届けするコラム。現役セラピストの考えや本音が詰まった連載です。

第37回新人理学療法士の社会人基礎力に必要な能力3つとは その高め方

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前回、新人教育でも応用可能な社会人基礎力について書きました。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士や医療職の新人に必要な能力3つとは、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」です。
これはリハビリセラピストにとっても必要な能力であることはご理解いただけたでしょう。
今回は、どのようにこの能力を高めるのかについて書いていきたいと思います。


 

「前に踏み出す力」~新人は仕事に立候補し、周りに助けを求めよう

「前に踏み出す力(アクション)」は、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力のことであり、その構成する能力要素は「主体性」「働きかけ力」「実行力」です。
これを養うには、まず自らチャレンジして手を挙げてみることです。この手を挙げるというのは、発言するための挙手ではなく、仕事を自ら受けることです。私の経験で説明します。
私が理学療法士2年目の頃だったと思います。スタッフ全員が参加する会議の際に、科長より「緩和ケアチームに入りたい人はいないですか?」と募集がありました。
私は大学病院の超急性期に勤務しており、そこはただでさえ、担当患者数も多く忙しい所でした。さらに急性期ではICUなどでも活躍できるように、どちらかというと呼吸や循環などの方に興味をもっているセラピストが多く、「緩和ケア」と聞いて手を挙げるセラピストはいませんでした。そこで、当時2年目でまだまだ全てのことを勉強中の私は、誰もやらないならやってみようと手を挙げました。緩和ケアチームの医師や看護師、薬剤師さんと勉強会を繰り返し、自らもがんリハビリテーションなどの勉強会に参加するようになりました。その結果、緩和ケア領域で学会発表する機会に恵まれ大学院に進学することになり、その後、講師を務めたりさらには本の共同執筆の依頼をいただくまでなりました。
つまり、主体的に思い切って手を挙げてチャレンジした結果、何事も一人ではできないことがわかり、周りの協力や巻き込みをする必要に駆られて「働きかけ力」などが養われ、学会発表など発展的に「実行力」が養われる機会に恵まれたと思います。
失敗を恐れず小さな仕事でもよいので、自ら進んで手を挙げてみることから始めると良いでしょう。

 

バイザーは見守りながら、新人に仕事を任せよう

上司・新人に教育する立場であれば、新人に「仕事を任せる」ことが大事であり、ただ単に無茶ぶりをするだけでなく、フォローしながら新人が実行できるようにマネジメントが求められるでしょう。
これは、なにも最初から高い課題でなくても、リハビリ部内のイベントの企画(歓送迎会や忘年会など)を任せるところからでもよいかもしれません。小さな成功が「自分にもできた」という経験となり、それを重ねることで、自信につながり、「主体性」を磨くことになると思います。
私も新人の時に先輩から忘年会の幹事を任されました。学生が行くような居酒屋しか知りませんでしたが、アドバイスをもらいながら、医師も含め先輩方が好みそうな飲食店を予約し、忘年会を企画した記憶があります。

 

「考え抜く力」~なぜなぜ分析で考え抜く力を養う

「考え抜く力(シンキング)」とは、疑問を持ち、考え抜く力のことであり、その構成する能力要素は「課題発見力」「計画力」「創造力」です。
これを養うためには、物事を常に「なぜ?」という疑問の視点をもつように心がけると良いでしょう。ある問題に対してそれを引き起こした要因(なぜ)を提示し、さらにその要因を引き起こした要因を提示することを繰り返すことで、問題への対策の効果を検証する手段として「なぜなぜ分析」という言葉があり、トヨタ自動車の工場でも取り入れられている手法として有名です。

これはリスク管理・安全管理の場面でも使えます。リハビリの場面で、ちょっと目を離して患者さんから離れた際に患者が転倒したというアクシデントが発生したとします。ここで普通に考えれば、目を離した人のヒューマンエラーとなり、「私の不注意で目を離してその場を離れてしまいました」となってしまいます。しかし、実はなぜなぜ分析を進めると問題の本質はそれだけではなかったことが理解できます。
目を離してしまったことを問題とするのではなく、「なぜ目を離してしまったのか?」その要因を考えてみると、実は「血圧計が離れたところにあり、取りに行く必要があった」や「杖を取りに行っていた」かもしれません。そして、「なぜ杖を取りに行く必要があったのか?」と考えると、「事前に準備していなかった」などの要因がわかり、課題の本質は、本人の不注意で目を離したことではなく、事前準備を怠ったことになり、これらを解決するときにマニュアルを整備するとか、杖の保管してある場所を変えるなど対策が考えられます。
このように「なぜ?なぜ?」と課題の本質を考える癖は、より効果的な解決策を導くために重要であり、それが「計画力」などにもつながると思います。

 

新人教育担当・上司は新人に行動の理由を聞いてみよう

上司・教える側の立場であれば、「なぜそう考えたの?なぜそう思うの?」など、本人にそのように考えた理由などを聞いてみるとよいでしょう。それを繰り返すことで、新人も「なぜ?」と考える癖がついたり、課題の本質に気がついたりします。私も実習中の学生とは、「なぜそう考えたのか?」聞くようにしてディスカッションを繰り返しながら、学生の知識の整理や課題の本質を理解してもらうことに心がけて指導していました。

 

「チームで働く力」~3分間症例報告で発信力を高める

「チームで働く力」とは、多様な人々とともに、目標に向けて協力する力のことであり、その構成する能力要素は「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「状況把握力」「規律性」「ストレスコントロール」です。
これらを養うために個人的にできることの一つが、SNSやブログをやることです。ただ、感情的な書き込みだけではなく、しっかり文章を推敲することが大事だと思います。
この内容、文の順番で意図が相手に伝わるのか、吟味しながら本当に伝えたいことをわかりやすく伝わるように文章を書くトレーニングになり、それが発表するときの説明力も養います。
さらに、学会発表もよいトレーニングになります。短い発表時間で端的に説明する必要があり、私も新人の頃は何度も発表の練習をしたり、発表用の原稿を書きなおしました。
また学会発表の演題登録をする際の、抄録作成もトレーニングになります。例えば、300字で発表内容をまとめようとすると、意外と難しいもので、どこを削ればよいのか、何を残すべきか何度も書きます。学会発表には無関心のセラピストも見かけますが、発信力のトレーニングには学会発表もいいかもしれません

 

上司や先輩は新人に短い症例報告の機会を作ろう

上司・教える側の立場であれば、症例報告を新人にたくさんしてもらう機会を作ると良いでしょう。発表15分など症例報告をしっかりとやろうとすると、準備も大変ですし、発表会の時間確保も大変です。しかし、3分間の症例発表ならどうでしょうか。むしろ、短い方が良いのです。さらに、レジュメもなくてもいいことにすればよいと思います。新人教育も兼ねて3分間プレゼンテーションをしてもらい、その後治療方針など先輩・上司がアドバイスをすると良いでしょう。このように短い症例報告は、上で書いた学会発表と同様に、要点を絞って説明をする必要があり、何を説明するべきか、わかりやすく説明するためには工夫が必要です。私も前の職場では、スタッフ教育もかねて、毎朝3分間症例相談会というのを企画してやりました(1週間に1回程度症例発表する機会がまわってくる)。朝礼が終わった後の10分程度を使い3分間で症例の概要等を説明し、上司や先輩がアドバイスする。これをやることで、新人の治療等の教育と発信力のトレーニングになり、一石二鳥なのです。さらに、アドバイスをする側のセラピストも短い時間で質問、アドバイスをする必要があり、端的に話すトレーニングになります。一石三鳥になりましたね。また朝にやることで、「この患者さんが11時からなので一緒に診てみよう」と、その日に実際に患者さんを先輩と一緒に診ながら検討することが可能となります。

以上のように、社会人基礎力を高めるための方法を、個人レベルと上司・教える側の立場とそれぞれ書きました。専門的な知識・技術を教えることも必要ですが、社会人としての能力を高めることはさらに大事なことです。教え方は人それぞれですが、参考にしていただければと思います。

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吉倉孝則

吉倉孝則 (よしくら たかのり)

理学療法士。保健学修士。認定理学療法士(運動器)。
星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻卒業。浜松医科大学附属病院リハビリテーション部入職。星城大学大学院健康支援学研究科修了。
大学病院への勤務時代は、整形外科疾患、がんのリハビリテーションを中心に幅広い疾患のリハビリテーションに従事。院内の緩和ケアチームにも携わり多職種連携を心がけている。
臨床業務以外にも研究活動や学生の指導など教育、地域包括リーダーとして地域包括ケアの構築にも力を入れている。


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