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昔懐かしい玩具や遊びで心と身体を癒すレクリエーション・作業療法

公開日:2019.03.11 更新日:2019.03.29


 
子どもの頃の遊びは、モチベーションの源であるとともに、感覚や情緒、認知など様々な要素に働きかけ、社会性を育むという側面があります。大人にとっての遊びは、現実からいったん離れることで、心をリセットし自己を見つめ直したり、新たな気づきを与えるきっかけとなったりする機会としてもとらえることができます。

病気や障害を受け止め、これからの生活を前向きに乗り越えていこうとする過程において、作業療法では対象者の心身機能回復訓練を目的とした作業活動中に、ちょっとした遊びの要素を取り入れ、余暇活動の開発や心身のリフレッシュを図ります。

作業療法において、遊びをどのように取り入れるか。その考え方は、対象者の状態や目標によって異なります。いずれにせよ、対象者自身が「面白さ」「楽しさ」を獲得できるかどうかが作業を選択するうえでの重要ポイントではないでしょうか。

対象者が夢中になるには?

人間の「幸せ」「創造」「楽しみ」を研究したアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi, 1934年)は、「ふと気付いたらもうこんなに時間が過ぎていた!」「いつの間にか最後までやってしまいましたね」と思えるほど目の前の作業に集中(没頭)している状態を「フロー(Flow)」と名付けました。

作業に没頭すると、今まで時間と労力を費やしていた悩みや不安が一切気にならなくなり、その作業だけを純粋に楽しむようになります。チクセントミハイは、それを可能にする条件として、目標が明確で達成できる見通しを立てられることや、能力と難易度の程よいバランスが重要としています。病気や障害がある方に対し、その程よさを調整するのが、作業療法士(OT)の仕事です。程よく難しく、悩み、工夫しながらも大失敗はしない。ちょっとしたチャレンジや背伸びが有効であるのは、みなさんがご存知の通りかと思います。

時代ごとのおもちゃと遊びの変遷

全く目新しいおもちゃを差し出され、運よく興味を持って手を伸ばしてもらえれば良いのですが、「懐かしい」「遊んだことがある」「欲しかったのよね」などと小さい頃遊んだおもちゃと共に記憶を刺激するような感覚が生まれれば、面白さや楽しさ以上の体験を引き出せるかもしれません。

明治、大正、昭和、平成……。どんな時代に生まれ、どんな時代に育ったかによって馴染みのある遊びは異なります。作業療法の対象者が、幼い頃どのような遊びを好んでいたのか。現時点での興味・関心とあわせて探ってみると、何か新しい発見があるかもしれません。

玩具の変遷を見てみると、明治から昭和の戦前にかけて流行したのは、伝統的な文化を継承したけん玉・めんこ・ベーゴマ・おはじき・お手玉・あやとりといった遊びです。昭和の戦後・高度成長期には、それに加えて大人や強いもの、煌びやかなものへの憧れを表すような、着せ替え人形・戦隊シリーズ・ミニカー・ボードゲームなどの人気が高まりました。時代とともに色使い(単色→カラフル)や素材(紙・金属→ゴム・プラスチック)も変わっていきました。1980年代に家庭用ゲーム機器が登場して以降は、大人も夢中になるような玩具が広く普及しています。けん玉と家庭用ゲーム機を比べただけでも、遊び方や楽しみ方、手指の使い方が異なりますし、玩具で遊ぶ目的も変化していることがわかります。また、昔の遊びほど、指先の器用さや身体の協調性、平成の遊びほど想像力や問題解決力、計画力が求められるなどの傾向がみられます。

例えば、高齢の対象者であれば、成育歴を引き出すきっかけとして、「昔、こんな遊びが流行りませんでしたか?」「今の子どもたちは、このようなゲーム機を難なく操作しているのですよ!」などとお声がけして興味を持っていただけたら一緒に遊びを始めてみるのも良いでしょう。昔懐かしい遊び道具に触れる、匂いをかいでみる、比べてみる…実際に手にしながら話題を広げてみるのもおすすめです。

「作業療法士さんって、いつも楽しそうね」

徒手訓練やADL訓練をしている最中、他職種の方にそう言われた経験のある方も多いのではないでしょうか。過去に、とある臨床実習生が「あなたとの散歩は、なにか特別な感覚よ」と利用者さんに言われ、嬉しそうに指導者へ報告する姿を見たこともあります。

作業療法士は、いつも心のどこかで「楽しんでもらおう」と企てているのかもしれません。
対象者が「面白い!」「楽しい!」と感じるスイッチを探りながら、オーダーメイドの作業療法を提供したいものですね。

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