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今すぐ実践可能 変形性股関節症のリハビリ2019.08.09

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文:伊東浩樹  理学療法士・ NPO法人 地域医療連繋団体.Needs 代表理事

整形外科に勤務する理学療法士に向けて、お伝えしている実践リハビリシリーズも第3弾となりました。前回お伝えした変形性膝関節症同様に、リハビリ介入が多いのが股関節疾患です。病院の特性や、外来か入院かによってもリハビリの方法はさまざまですが、今回は手術をしない場合に実施する「変形性股関節症」におけるリハビリテーションの一例を紹介します。

変形性股関節症とは?

変形性股関節症とは、先天性もしくは後天性の疾病や外傷によって関節軟骨の変性や摩耗による関節破壊が生じ、さらに修復につながる反応性の骨増殖が同時に起こっている状態にある疾患です。原因が明らかでない一次性股関節症と、何らかの疾患に続発する二次性股関節症に分類でき、日本における一次性股関節症の割合は15%前後、二次性股関節症の割合は80%を占めています。二次性の要因としては先天性股関節亜脱臼、関節脱臼治療後の骨頭壊死、外傷、炎症、突発骨頭壊死などが挙げられます。また、変形性股関節症の割合は女性が多いのも特徴です。

変形性股関節症の理学療法評価

では、変形性股関節症の患者さんに対する基本的なリハビリテーションはどのように進めるべきでしょうか? まずは、以下のような視点で理学療法評価を行ってみましょう。

1.理学所見(主観的評価)

まず、最初に着目すべきなのが疼痛の程度です。整形外科疾患において、疼痛の状態を確認することがリハビリテーションを実施するうえでとても重要です。また、その疼痛が日常生活のどんな場面で起こるのかについても、把握しておく必要があるでしょう。変形性股関節症の患者さんの多くは疼痛が出現しているため、跛行が出現していたり、それに伴い杖を使用していたりする人が少なくありません。主観的評価をおこなうために、日常生活時に起きる疼痛の状態や生活に不便な点を確認し、同時に歩行状態を観察することから始めましょう。対象となる患者さんが自宅退院を希望されていたり、自宅から通院していたりする場合は、家屋状況も把握する必要があります。

2.理学所見(客観的評価)

股関節痛の有無を主観的に評価した後は、客観的に股関節の可動域を検査する必要があります。ROM(Range of motion 関節可動域)検査を実施して疼痛が起きない範囲はどの程度か、その際筋緊張はどの程度起こるのかを評価します。また、MMT(Manual muscle Test 徒手筋力テスト)を実施した筋力の評価も大切ですが、疼痛自制内で実施するのがポイントです。MMTの状況を見ていくことが難しければ動作、歩行の状態からGMT(Gross muscle Test 粗大筋力テスト)として評価する必要もあるでしょう。

変形性股関節症のときに実施する理学療法

上記のような評価を行い、状況を見極めたら実際のリハビリテーションに進みます。以下の3つの視点を持って、実施するリハビリテーションの内容を決定しましょう。

1.運動療法

疼痛が生活に支障をきたしている場合は、その動作を改善させることから始めます。疼痛が起きると、筋は正常な収縮が困難となり筋力低下を起こします。また変形性股関節症は高齢となり臀筋群が筋力低下して不安定になった際にも、変形を助長させてしまいます。そのため、股関節を安定させるための筋力練習が欠かせません。とはいえ、あくまで疼痛が増強しない低負荷な筋力練習を指導するようにしましょう。
例えば、座った姿勢での股関節運動や、仰向けで寝た状態での重錘やゴムバンドなどを使わず下腿の自重のみを負荷としたSLR(Straight Leg Raising 下肢進展挙上)を少ない回数で行うといった内容です。もし、こうした運動も難しい場合は、日常生活を通じて、可能な範囲でできるだけ歩行の量を増やすといった程度でも構いません。
しかし、筋力練習において関節に負荷をかけない練習はないので、いずれにせよ筋力練習を行う場合は、医師に相談のうえ実施するようにしてください。
また、可動域練習に関しては評価を十分に実施した上で、疼痛を助長させず現在の日常生活に必要な可動域の維持を目指しましょう。

2.物理療法

疼痛が起きた直後の急性期では温熱療法は禁忌となりますが、慢性痛に限っては温熱療法を実施することで疼痛を軽減することが可能です。また、急性期痛による跛行が出現している場合にも、凝り固まった股関節周囲筋に対して、弛緩を促進することで筋のアライメントバランスを整える効果があります。ただし、温熱療法を含め物理療法を実施する際には、必ず手術をしていないかの有無を確認することが大切です。人工関節の場合は物理療法の禁忌事項が多々あることを覚えておきましょう。

3.教育

変形性股関節症の患者さんで、比較的軽度~中等度の状態を維持している場合には、手術療法を実施せずに過ごす人も多く存在します。そうした患者さんには、重症化しないような予防対策を行いましょう。股関節周囲筋の強化を提案し、ホームプログラムを指導する必要があります。住宅の状況も疼痛増強に大きく起因するので、股関節が大きく動く浴室やトイレの状況は家屋調査など実施した後に使用法などを指導する必要があるでしょう。また、股関節にかかる負荷は体重の3~10倍とされており肥満の有無も変形性股関節症の状態を悪くする要因となります。そのため、肥満傾向のある方に関しては普段の食生活についても指導するようにしましょう。

まとめ

変形性股関節症は、後天的で二次的な要因であることが多い傾向にあります。そのため、変形に気づかないまま生活していると歩行や労働により疼痛が強くなり、跛行が出現します。手術適応となる前は股関節周囲の筋力を向上させることや現状把握することで現状維持することが可能ですが、変形性股関節症は無理な運動をしてしまうとかえって状態が悪くなる場合もあるため注意が必要です。理学療法士としての判断も重要ではありますが、医師をはじめとする他職種と連携した上で、患者さんに応じたリハビリテーションを選択・実施するようにしましょう。

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【参考文献】

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