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第16回パーソナリティ障害における運動療法について

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思考や感情、行動などのパターンの問題が極端な形で表れ、柔軟に適応できない状態が続き、社会生活に支障をきたしてしまうパーソナリティ障害。手工芸をはじめとした作業活動以外にも、運動がメンタルヘルスの維持改善に効果的といわれていますが、本人の興味・関心や目的の理解など、内発的な動機づけに着目することが大切です。


パーソナリティ障害とは

パーソナリティ障害は、柔軟性のなさ、極端な思考の偏りや歪みにより、あらゆる場面において「私は何もできない」「私は嫌われている」などと考え、社会生活上のトラブルや苦痛を引き起こすものを指します。また、風変わりな考え方や行動をとるタイプ、不安感が強いタイプ、感情の起伏が激しいタイプの3つに分類されます。
リハビリでは、パーソナリティそのものを変化させようとするのではなく、本人参加のもと、生活上の困難を少しでも軽減させることを目的としたやり方で行うことが重視されます。

パーソナリティ障害のリハビリ

パーソナリティ障害のリハビリでは、治療者との関係性やプログラムの内容、時間、頻度、目的、職員ができること、できないことなど、職員が提供できるものを明らかにし、本人が納得のもとプログラムを進めていくことが大切です。
このように、誰とどこで何をするかを明らかにすることを「枠(枠組み)」の設定と呼びます。

例えば、「何をするかはわからないけれど、まずは約束した時間に約束した場所に行く」という設定は、先々の行動や成果が容易に予測できるよう、治療環境を具体的に示すものです。回復段階や対象者の特性に応じて、枠の大きさ、強さを調整していきます。

また、対象者本人が、いま、どのような場面でどのような行動をとっているのか、他者へどのような影響を与えているのかに気づき、対象者自身がそれらを受け止め、みつめられるよう援助することが大切です。私たちが対象者の語りを傾聴・受容することは、対象者が自分自身を受け止め、問題に対する新しい対処方法を見いだす過程において大変重要なことです。

リハビリにおける効果的な運動の実施

適度な運動は、ストレスの発散やメンタルヘルスの維持・改善に効果的であることはよくいわれています。ただし、単なるレクリエーションととらえて行うと、期待する効果は得られないかもしれません。対象者が運動を実施することの意味をよく理解し、目標や大切にしていることと合致していることが認識された状態で運動を行うことで、効果的な運動となる可能性が高まります。

プログラムの内容は、対象者が自発的に参加できるかどうかを見極めて決めましょう。自発的な運動は、記憶や感情に関わり、ストレスに大変弱いとされる海馬の神経細胞増殖を促進するという先行研究もあります。逆に、強制的に行う運動や、報酬、罰といった外発的動機づけにもとづくものには、メリットが少ないと考えられます。

そのため、目標を達成することによって能力の向上を実感できるか、自分の意思によって進めることができるか、他の参加者やリーダーと良好な関係を築けるかなど、対象者が精神的な欲求を充足できるかを配慮しましょう。パーソナリティ障害では、自分が参加している作業活動に対し、価値や役割感を見いだしにくく、無意味感、空虚感、退屈感を抱きやすくなっていることも予測されます。私たちは常に、自発的な活動経験を生み出せるよう環境を調整しながら、対象者と関わることが大切なのではないでしょうか。

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【参考文献】
「作業療法学ゴールドマスターテキスト 改訂第2版」長崎重信(監修)(メジカルビュー社)
「よくわかる臨床心理学 改訂新版」下山春彦(編集)(ミネルヴァ書房)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人 葵会学園「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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