ニーズの高い医療専門職の中でも、主に放射線を扱う診療放射線技師は人気の高い職業です。
医療技術が発展したことや平均寿命の高まりを受けて、これからさらに医療系の労働人口は増加すると考えられており、それに伴って診療放射線技師のニーズは年々高まっています。
人口が多く大病院が集中している関東圏は特に医療系の求人数が多く、待遇も高いという特徴があるのです。
この記事では、埼玉県における「診療放射線技師の求人状況」や「平均年収」を紹介しているので、これから埼玉県で診療放射線技師として勤務したい方はぜひ参考にしてみてください。
1. 埼玉県の診療放射線技師求人の特徴は?
全国的に需要が高まっている診療放射線技師ですが、埼玉県の診療放射線技師の実情はどのようなものなのでしょうか。
ここからは埼玉県の診療放射線技師に関する求人に焦点を当てて、働くフィールドや必要な経験などをみていきましょう。
1-1. 埼玉県の診療放射線技師が働くフィールドは?
診療放射線技師が活躍するフィールドは大きく3つに分類されます。
- ・病院やクリニックなどの医療機関
- ・医療機器の販売などを行う医療関連企業
- ・放射線を取り扱う企業
の3つに大別でき、就業先によって診療放射線技師が行う仕事内容は大きく異なるのです。
医療機関に就職した場合、任される業務は多岐にわたります。
おおまかには医師の指示を受けて、放射線を使用した検査業務と治療を通して患者さんの治療をサポートするのが仕事です。
医療機関で行う主な業務内容としては、MRI撮影や、マンモグラフィー検査、CT検査などが挙げられます。
放射線を利用しないMRI撮影については診療放射線技師でなくても担当できますが、小規模な医療機関であれば臨床検査技師が在籍していない場合も多いので、診療放射線技師が撮影や検査を全て任されるケースも多く見られるのです。
医療機器関連企業に就職した場合、基本的には営業職として勤務することが多いです。
放射線機器を商材として、医療機関に対してBtoBの営業を行います。
放射線機器の説明や操作指導はもちろん、もしトラブルが起きた際にはすぐに駆けつけてサポートを行わなければなりません。
医療職に比べるとビジネス要素が増えており毛色も異なる職種ですが、診療放射線技師としての知識やノウハウが活かせる希少な職種でもあります。
放射線を取り扱う企業へ就職した場合は、技術職として勤務します。
専門知識を活かして放射線の測定を行ったり、放射線を利用した非破壊検査を手がけたりします。
医療、営業のどちらとも異なる職種ですが、放射線を用いて社会に貢献したい方にとっては非常にやりがいを感じる職種と言えるでしょう。
医療関連企業や放射線を扱う企業の求人は多くありませんでしたが、自分がどんなスタイルで診療放射線技師としての知識を活かしていきたいのか考えながら勤務先を選ぶと入社後のギャップを抑えながら就業できるでしょう。
主流となるのは医療職ですが、医療職の中でも就業先の医療機関によって職務内容は異なります。
求人の内容を見てみると、急性期医療を担う医療機関やスポーツトレーニングを専門に扱う医療機関、人間ドック専門の医療機関などがあり、医療機関のターゲットとなる患者さんが違うため携わる業務には開きがあると言えるでしょう。
勤務先によって求められる経験や知識が異なるので、あらかじめどのような医療機関で勤務したいのかをはっきりとさせてから必要となる経験やスキルを理解していくと、スムーズに転職活動を進められます。
1-2. 埼玉県の診療放射線技師求人で求められている経験・スキル
診療放射線技師は「医師」や「歯科医師」以外で放射線の利用が認められている唯一の資格・職種です。
人体へ悪影響を及ぼす可能性もあるため、扱いには充分な注意と深い知識が求められます。
加えて、放射線を正しく扱って医療の最前線に立つ仕事でもあるため、高度な専門知識と責任感は必須と言えるでしょう。
CTスキャンからMRI撮影、マンモグラフィ撮影、超音波撮影まで幅広い医療業務をこなす診療放射線技師ですが、実はMRIや超音波撮影は放射線を利用していないため、法律上は臨床検査技師が撮影を行っても問題はありません。
しかし、地域密着型の病院や小規模な診療所では人員を削減している可能性が高いので、放射線を扱わない撮影についても診療放射線技師が兼任することが多いのです。
埼玉県の診療放射線技師の求人を見てみると、ほとんどが小規模の病院によるものでした。
そのため、埼玉県で診療放射線技師として就業するにはMRIやCTスキャンなど各種撮影の経験、知識が求められるでしょう。
しかし、未経験でも可、という条件が多く見られるので、診療放射線技師としての自覚があれば門扉は広く開かれています。
2. 【診療放射線技師の年収】全国と埼玉県の平均を比較!
全国の診療放射線技師の年収は勤務先によって大きく異なります。
まずは診療放射線技師の就業先として人気の高い医療職に焦点を当てて見てみましょう。
国立病院の診療放射線技師として勤務する場合は「独立行政法人国立病院機構職員給与規定」によって給与額が定められています。
国立病院の職員はその職務内容によって細かく分類が分けられており、診療放射線技師の分類は医療専門職です。
それによると、国立病院の医療専門職は「520万円」が平均年収です。平均年齢は38歳程度で、国立病院の初任給は学歴によって以下のように分かれています。
- ・大学院卒…19万7000円
- ・大卒…18万4400円
- ・短大卒…17万3200円
医療法人で勤務する場合は法人の規模によって給与額が大きく異なります。
2019年の日本診療放射線技師会誌で発表された「診療放射線技師の需給現状と将来需要および処遇改善 に関する調査研究」によると、埼玉県の診療放射線技師の初任給平均額は2016年時点で200,948円であり、時給換算すると1,243円でした。
全国の診療放射線技師の初任給平均額は199,012円なので、全国の平均値と比較すると初任給ベースでも2,000円ほど給与額が多くなることが読みとれるので、全国的にみても高水準の賃金が支払われていると言えるでしょう。
これらの理由としては、埼玉県は全国でも5番目に人口が多い都道府県であり多くの医療機関が存在していること、診療放射線技師の供給が追いついていない状況であることが挙げられます。
”診療放射線技師が「足り ていない」と回答している施設が約半数,超過勤務が 10時間を越える施設が約4割,有給取得日数も5日未 満と回答している施設が12%を超えており,業務実態 からは診療放射線技師の増員が必要な状況にあるといえる”
引用:http://www.jart.jp/activity/ib0rgt0000004sn5-att/2019-01_paper.pdf
希少な職種である診療放射線技師は求人の母数自体は多くないものの、需要自体は非常に高い職種です。
そのため、先述したように未経験でも応募が可能な求人も散見されています。
3. 【埼玉県の診療放射線技師】求人が多いエリアを調査
埼玉県は東京のベッドタウンとしても人気が高く、780万人が暮らしている大都市のひとつです。
日本の中でも5番目に人口が多く、様々な業種、職種の求人が出回っていますが、その多くは県庁所在地であり埼玉県下で最大規模の中枢都市「さいたま市」に集中しています。
また、2番目に人口が多い川口市も求人数では負けておらず、診療放射線技師の求人を見つけることもできました。
駅に焦点を当ててみると、東京へのアクセスが良い「大宮」付近は利便性も高く、病院の数も多いので診療放射線技師の求人を見つけやすいでしょう。
診療放射線技師の求人が多く出されている埼玉県のエリアは以下のとおりです。
129万人を擁するさいたま市は、埼玉県で最も多くの人口を抱える県庁所在地でもあります。
人口が多いぶん医療機関の数も増えるので、必然的に診療放射線技師の求人も多く出回っていますが、2位、3位の川口市、川越市も診療放射線技師の求人が散見されました。
これ以外の自治体であっても、診療放射線技師であれば営業職や技術職として就業できるので、視野を広げて求人を探してみると好条件の求人に出会える可能性が高まります。
まとめ
埼玉県は診療放射線技師の初任給平均額も全国に比べて高い傾向にあり、需要に対して供給が追いついていない状況が続いています。
こうした背景は、埼玉県で診療放射線技師を目指している方にとって強い追い風となるでしょう。
医療職以外にも診療放射線技師としての知識を活かせる職種があるので、どのような職務内容を希望するのかあらかじめイメージしておくと、満足のいく転職活動が実現できます。
ぜひこの記事を通して埼玉県の診療放射線技師の実情を理解し、転職活動に役立ててみてください。