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精神科リハビリに使える作業療法ウォーミングアップ3選

公開日:2016.09.19 更新日:2016.09.28

精神科の患者は緊張が強く、周りの人となじむのにも時間がかかりがちです。作業療法に取り組むためにも、まずは環境に慣れる工夫を取り入れましょう。特にグループワークの場合は、ウォーミングアップを行うことで場がほぐれ、気持ちが落ち着きやすくなります。リハビリの前に、心と身体の準備運動を行ってみませんか?

ウォーミングアップのねらいとは

ウォーミングアップは作業療法の最初に行います。プログラムの目的に合わせたウォーミングアップを行うことで、場をほぐし、参加意欲を高めてくれます。グループワークを行う場合でも、知らない患者さん同士が集まっていては緊張してしまって、スムーズな作業を行うことが難しくなります。ワークの前に緊張をほぐす運動をしたり、患者さん同士が触れ合う時間を持ったりすることで、リハビリの効果も高まります。精神科リハで手軽に使える方法を3つ紹介します。

「空気のボール」で心をほぐしましょう

ねらい:イメージを使って自由に身体を動かします。見えないボールを投げて遊ぶことで、対人緊張をほぐし、患者同士、患者と作業療法士との関わりを強める効果があります。

用意するもの:特になし

やりかた:

  1. 患者グループと作業療法士が輪になって広がります。
  2. まずは、このウォーミングアップのねらいを伝えます。続けて「これからイメージを使って、ボール投げをします」と言って、作業療法士がジェスチャーを使って空気のボールを誰かに投げます。
  3. ボールを投げられた患者はそのボールを受け取り、ほかの誰かに向かって投げていきます。

実際のボールではなく、ボールがある「振り」をしてのやり取りなのに、なぜか普通のボール以上にお互いの想いを送り合うような温かな雰囲気ができ上がります。人と関わりたいのに関わり方がわからない、何を話していいかわからない、という患者さんがいるときには特にお勧めです。何も話さなくてもお互いに交流ができ、自然と仲間意識が芽生えてきます。

「素敵なプレゼント」で創造性をゆたかに

ねらい:ものがなくてもイメージでプレゼントが贈れます。お互いが温かい気持ちになり、自発性や創造性も高まります。グループの発達にも有効です。

用意するもの:何もなくてもできますが、きれいに包装してリボンをかけた箱などを用意してもよいでしょう。

やりかた:

  1. まずは、ねらいを伝えます。内容を簡単に説明した後、作業療法士からスタートし、声かけをしながら最初の患者さんにイメージのプレゼントを渡します。
    例えば、「今日はAさんのお誕生日ですね。私からすばらしいイメージのプレゼントを差し上げたいと思います」ときっかけを作り、「真っ赤なバラを50本、花束にしてもらいました。とてもいい匂いです。どうぞ」などと言いながら花束を渡すジェスチャーをします。Aさんが受け取ったら、拍手でお祝いします。
  2. 「Aさん、今度はあなたが誰かに素敵なプレゼントをあげましょうか」と次の動作を促します。Aさんがグループ内のBさんにイメージのプレゼントを渡し、全体で拍手を送ります。
  3. 同様にBさんからCさん、CさんからDさんのように順にプレゼントを贈ります。

グループが大きい場合、自分の番を待っている人は不安を感じやすいようです。安心感を与えるために「まだもらってない人は誰と誰でしょうか?」と聞き、「もう少しお待ちくださいね」などと声かけしながら進めていきましょう。

コミュニケーション活動として「お国自慢・わが家の自慢」

ねらい:話しやすい雰囲気を作り、発表の練習として。故郷を思い出すことで回想法のような効果も。お互いを知ることでグループの発達にも役立ちます。ミーティングのような会話を使ったリハビリ時におすすめです。

用意するもの:特にありません。人数が多い場合は日本地図などを用意するとわかりやすいでしょう。

やりかた:

  1. まずはねらいを伝えます。その後、「今日はお国自慢、わが家の自慢をテーマに、ちょっとひとこと話してみましょうか。わが家の自慢というのは、家で作る漬け物とか、何でもいいですよ。では、私から始めますね」と最初のきっかけを作ります。まずは作業療法士から話を始めましょう。
    例えば「私のお国自慢をします。私は札幌出身です。6月の東京は梅雨ですが、6月の札幌は梅雨がなく、からっとして爽やかな季節です。緑がきれいで素敵な街です」と実際に経験のある内容を語り、周囲への同意を促します。
  2. 「では、次はどなたかお国自慢・わが家の自慢をしてくれますか?」と、患者さんを指名します。1人が話すたびに、皆で拍手をするのもよいでしょう。

記憶に障害がある患者さんであっても、自分の故郷のことになると鮮明に覚えていることも多いようです。故郷のことを思い出すことで記憶がよみがえり、脳の活性化になります。また、地域のことを自慢することで不快に思う人もいませんし、患者さん同士がお互いを知り交流するきっかけ作りにも役立ちます。

よりよいリハビリにするために

作業療法で課題となる内容をきちんと説明するように、ウォーミングアップでも活動の名前とねらいを伝えることはとても大切です。「これから『空気のボール』を始めます。ねらいは……」というようにはっきりと伝えるようにしましょう。何のためにやるのかがわかることで、患者さんも安心してリハビリに集中できます。作業療法の集中力を上げるためにも、積極的に取り入れたいですね。

 

【参考URL】
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