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第1回生活に活かす作業~洗濯物を干す~

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作業療法士には、対象者が自身の生活を構成する日課や役割、趣味活動などを安全かつできるだけ自立して行えるよう支援することが求められます。また、それとともに対象者の心身機能や能力を多角的な視点で評価し、それらの内容を介護者(支援者)にもわかりやすい形で共有することも重要です。日常生活において欠かせない家事動作の一つである「洗濯」も、作業療法として扱うことができます。今回は、洗濯の導入時の注意点や評価の視点について考えてみましょう。

洗濯物を干す

「洗濯物を干す」という作業には、以下の一連の動作が必要です。それぞれの作業について、主な評価ポイントと期待される効果をご紹介します。

動作項目 主な評価ポイント 期待される効果
洗濯物の運搬 洗濯カゴを持ちながらの移動は可能か?
安全かつ効率の良い移動ルートを選択できているか?
安全な歩行・移動技能の習得
立位でのバランス保持 物干し竿に無理なく手を伸ばせる位置に立位をとれるか?
左右対称の立位をとれているか?
洗濯カゴに手を伸ばす際、身体を捻る・曲げる際にバランスを保持できるか?
静的・動的バランスの向上
洗濯物のシワ伸ばし 洗濯物を把持できるか?
両手(または片手)でシワを伸ばせるか?
洗濯物の大きさや素材に応じて力を加減できるか?
両手の協応・目と手の協応 、上肢機能、片手動作などの向上
洗濯バサミやハンガーの使用 道具の用途に応じ正しく扱えているか?
ピンチ力、指先の器用さは?
手指機能の向上、失行障害の改善
安全の確保 適度に休憩を取り入れているか(ペース配分は適切か)?
作業に集中できているか?
一度失敗したことを適宜修正できているか?
危険を察知し自ら作業方法や環境を工夫しているか?
遂行機能全般の向上

洗濯では、これらの動作を何度も繰り返し行います。対象者の状態によって難易度が変わってくる作業ですが、日常生活に必要とされる基本的な機能を網羅する課題の一つといえるのではないでしょうか。

例えば、車椅子に座っている場合や片手が不自由な場合でも、室内物干しなどを活用すれば段階的な導入ができます。車椅子の場合は、シートに沈みこむような仙骨座位のままでは、両手をうまく機能させられませんので、背筋を伸ばし姿勢を正したり、フットレストを上げて両足を床につけ体幹を安定させるなどの配慮があると良いでしょう。また、片手が不自由な方の場合は、あらかじめテーブルの上で洗濯物をピンチハンガーに挟んでから、物干しにぶら下げるようにするとスムーズです。

洗濯物を干す際のポイント

洗濯は条件によっては危険を伴いやすいため、注意が必要な作業でもあります。雨上がりの庭はとても滑りやすいですし、風が強ければバランスを保ちきれず転倒してしまう恐れもあるため、作業療法士はご本人がそれらの判断をできるか把握することも欠かせません。

また、複雑な作業ほど持っている力の「6~7割」で、安楽に継続できる作業環境を準備するよう心がけます。例えば、洗濯カゴと物干し竿の距離が離れてすぎていると、床や地面に置いてある洗濯カゴに手を伸ばそうと無理に身体をかがめたり、体幹を過度に捻転する恐れがあるため、疲労がたまりやすいだけでなく、転倒のリスクを高めてしまいます。

家族や介護者の管理下で行う際は、手元の近くに椅子やテーブルを置いてカゴから洗濯物を取り出しやすくしたり、手が届きやすい高さの物干しラックを使用したりと、体調や身体機能に応じて環境を調整しておきましょう。

洗濯物を干す作業だけでも、注意点やポイントが多いことがわかると思います。作業療法のヒントとして、ぜひ活かしてみてください。次回は、洗濯物を畳むときの作業を中心にご紹介します。

中山 奈保子(なかやま なおこ)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人 葵会学園「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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