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第4回昔懐かしい出来事を通じた心の交わり「回想法」

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懐かしい出来事をあれこれと語り合うことを通じ、心の安定をもたらす「回想法」。
回想法は、高齢者を対象とする心理療法として、米国の精神科医バトラーによって提唱されて以来、多くの分野でその応用が研究されてきました。回想は、大脳皮質全体の約3割を占める前頭前野の血流量を増加させ、孤独感の解消や意欲の改善、記憶の維持といった効果が期待できるといわれています。
認知症高齢者に対するリハビリテーションの分野においては、認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)の進行予防・改善に効果があり、誤嚥や転倒など、日常生活に支障をきたす恐れのある薬物療法のみに頼らない療法として、多くの医療機関・施設等で導入されています。

回想法で守るべき3つのルール

ご存じの通り、回想法には個人を対象に一対一で行うものと、グループを対象に行うものの2種類があります。個人を対象に行う場合は、個人の人生や価値観がより尊重され、グループを対象とする場合は、メンバー間の相互交流を図るメリットがあるでしょう。いずれの方法においても、聞き手によって語られる内容が変化することもしばしば。そのような状況でも、「思い出しながら語る」ことを妨げないよう、
1.「否定しない」
2.「他言しない」
3.「受け入れる」
この3つのルールを守ることが大切です。

また、回想法では、対象者が自然と昔の思い出を語り出してくれるような環境を整えることが最大のポイントとなります。単に、対象者のプライバシーに関わる事柄を根掘り葉掘り聞き出すのではなく、テーマを決めて対象者の五感を刺激するようなもの(写真や音楽、おもちゃ、地図、生活用品など)を用意することが大切です。
対象者自らが準備した物を用いるのもアイデアの一つといえます。例えば、「私の宝物」をテーマに、それぞれ自慢の一品を持ち寄ってもらい、それにまつわるエピソードや思いを語ってもらうのも良いでしょう。

家庭・地域で回想法を取り入れるには?

回想法は、地域コミュニティや家庭でも気軽に取り入れることができます。例えば、宮城県仙台市を拠点として活動するNPO法人・20世紀アーカイブ仙台では、故郷の風景を再現する写真や8ミリフィルム、昭和の暮らしに活躍した道具などを見て、触れて、楽しむ茶話会を県内各所で実施し、被災地に暮らす高齢者のコミュニティづくりの一つとして関心が寄せられています。
回想法を用いた催しが定着していけば、地域における介護予防の効果が期待できるだけではなく、将来的に認知症高齢者を支える仕組みが生まれ、地域に根付いていく可能性が高まるでしょう。

では、家庭ではどのように回想法を取り入れていったら良いでしょうか。この場合、必ずしも既存のルールにこだわる必要はありません。大切なのは、回想を通じた語り合いと心の交わり。懐かしい歌を聞きながら、映画を見ながら昔の思い出を振り返るのもよし、「おふくろの味」を楽しみながら、自分の小さな頃の出来事を語ってみせるのもよし。家族そろって地元のお祭りに出かけ、祭囃子の賑わいや屋台から香るおいしそうな匂いを嗅ぎながら、昔懐かしい思い出を語り合ってみるのも良いでしょう。

今、目の前で起きていることを理解しにくく不安や緊張を強いられがちな認知症高齢者にとって、いかに心地の良い時間を過ごすかが、症状の進行予防や社会との結びつき、QOL向上の鍵となるのはいうまでもありません。
昔懐かしい出来事を笑顔で振り返る時間は、たとえ湧き上がる思いを言葉にできないとしても、対象者の心を潤す有意義なものです。脳機能の改善をも期待できる回想法は、認知症高齢者のリハビリテーションだけではなく、地域コミュニティや各家庭においても、身近な存在となっていくことが望まれます。

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中山 奈保子(なかやま なおこ)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人 葵会学園「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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