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第18回呼吸器疾患~息苦しさをまねかないADL

公開日:2020.06.16 更新日:2020.07.17

慢性閉塞性肺疾患、肺炎、肺癌、気管支喘息をはじめとした呼吸器疾患では、普段の生活で息切れしやすくなり、身の回りの簡単な動作でもおっくうに感じるようになります。加齢による影響も大きいため、心と身体に負担をかけ過ぎない動作を習慣化することが大切です。


呼吸と日常生活でQOLを高めよう

鼻詰まりや喉の痛み、咳が出る、痰がからむなど、鼻や喉に違和感があるだけでも、身体がだるく疲れやすくなったという経験がある方は多いと思います。慢性閉塞性肺疾患、肺炎、肺癌、気管支喘息などの呼吸器疾患では、息苦しさ、咳、痰といった症状によって、日常生活のちょっとした動作にも支障をきたすようになります。さらに症状が悪化、あるいは持続していくと、徐々に動くことがおっくうになり、食欲が落ち、体重が減少し、全身の体力と抵抗力が低下する悪循環に陥る恐れがあります。
呼吸器の疾患は日常生活の動作だけではなく、罹患者の生活の質にもかかわります。病気の進行を遅らせるとともに、日常生活においてできるだけ安楽な動作、息苦しさをまねかない動作の習慣づけを促すことが大切です。

気をつけたい動作1:胸郭の動きを妨げる動作

呼吸運動の要となる胸郭の動きが妨げられると、息苦しくなってしまいます。特に、腕を肩より上にあげる動作は要注意で、洗濯物を干す動作、背の高い棚に物をあげる動作、上着の着脱などが該当します。例えばシャツは、かぶって着るタイプではなくボタンがついているタイプや、簡単に着ることができるデザインをおすすめしましょう。

気をつけたい動作2:お腹を圧迫する動作

靴や靴下、ズボンの着脱など、身体を屈める動作では、お腹(横隔膜)を圧迫してしまうため、椅子に座って行うか、洋服のデザインや素材選びを工夫するようアドバイスをします。猫背で肩をまるめ、スマートフォンを操作し続けるのも、同様の影響が考えられるので、訓練時間以外の過ごし方にも目を向けてみましょう。

排便や洗顔では、どうしても途中で息を止めなくてはなりません。しかし、ほんのわずかな時間でも身体に酸素を取り込めないと、心臓に負担がかかるので注意が必要です。また、おしゃべりに夢中になる時も、酸素を取り込めていない可能性があるので注意しましょう。

自分の呼吸に意識を向ける時間をつくる
~口をすぼめて息をゆっくり吐く~

両手を大きく動かす時、一瞬大きな力を入れる動作は、息を吐きながら行うよう指導します。歯磨きをする、身体をゴシゴシ洗う、掃除機をかけるなどの動作では、同じ動きを繰り返すうちに、つい息を止めていることもしばしばあります。息を吐き出す時は、一気に吐き出すのではなく、口をすぼめてゆっくりと吐き出すのがベターです。途中で一度胸に手を当て、自分の呼吸に意識を向けリズムを取り戻すなどして、自分の呼吸に意識を向けるよう声がけを行います。

心と身体の「見える」化

定期受診や運動療法はもちろんのこと、呼吸器疾患を患う方自身が正しい知識のもと、自分の心と身体の状態を管理し、必要な行動を起こすセルフマネジメントが健康増進につながります。どのような動作で息苦しさを感じたか、あるいは軽減したと感じたか。息苦しさの有無や程度を5段階評価でわかりやすく示し、天気やその日の気分も合わせて記録するなど、いつでも振り返りができるように働きかけることもおすすめです。

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中山 奈保子(なかやま なおこ)

中山 奈保子(なかやま なおこ)

作業療法士。
1998年作業療法士免許取得後、宮城県・福島県内の病院および施設、作業療法士養成校の専任教員等を歴任。
2011年、東日本大震災で被災したことを期に災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足後、二児の母・作業療法士として「病気や障害、災害に負けない心と身体を」をテーマに執筆・講演活動などを行っている。2018年より、学校法人医療創生大学「千葉・柏リハビリテーション学院」作業療法学科教員。


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