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多職種連携について~スムーズな連携のポイントやおもしろさを紹介~

公開日:2023.06.12

多職種連携について~スムーズな連携のポイントやおもしろさを紹介~

文:宮木美智香(作業療法士)

リハビリを進めて行く上では多職種連携が必須となってきます。
ただ、一言で多職種連携といっても、実際にはどのような職種と関わり、どのようなことをしているのかはなかなかわからないものです。
そこで今回は、病院の例を紹介し、多職種連携において注意したほうがいい点やおもしろさなどを、私の経験を交えて解説していきます。

多職種連携とは

多職種連携は、一般的に、「異なる専門職のチームメンバーや異なる機関や施設が、患者・家族のメリットを最優先に考えて、総合的・包括的なケアを提供するために、協働実践すること」をいいます。

患者さんの支援を行うにあたり、リハビリ職種だけでは、知識や情報が少なく治療や退院支援ができません。
そこで、多職種が連携し、協力しながら関わることで、患者さんやその家族の情報を共有し、多方面の専門的な立場から支援することができます。
これによって患者さんは総合的かつ多角的に効率よくきめ細かい支援を受けることができるわけです。

病院で多職連携に関わる主な職種

病院の場合、多職種連携に関わるのは主に次の職種の人たちです。

職種 職務内容
医師 診断と治療方針を決定して治療を行い、各職種へ適切な指示を出します
看護師 患者さんの日常生活のお世話や診療の補助を行い、身体精神状況を最も把握しています
薬剤師 患者さんの症状に応じて医薬品の名前、保管上の注意、効能、効果、副作用などについて正確な情報提供や服薬指導を行います
管理栄養士 患者さんの栄養管理を行います。生活習慣病の場合、再発予防のため、退院後の栄養指導も行います
医療ソーシャルワーカー 患者さん、家族の生活状況や経済状況などを把握し、退院後のサービス調整などを行いながら退院・転院支援を行います
理学療法士 日常生活動作の自立や介助量軽減をめざして、主に機能訓練を行います
作業療法士 身体機能や高次脳機能などの評価を行い、退院後の日常生活や仕事、余暇活動に向けて訓練を行います
言語聴覚士 嚥下障害、言語障害、高次脳機能障害の評価訓練を行います
ケアマネジャー 介護保険サービス下で、退院後に患者さん、ご家族が暮らしやすいように介護保険サービスの調整を行います

多職種連携が行われる場面

多職種連携について~スムーズな連携のポイントやおもしろさを紹介~

多職種連携は主に次のような場面で行われます。

カンファレンス

カンファレンスでは、医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、リハビリなどの職種が参加し、主に治療方針や今後の方向性について話し合います。

呼吸ケアサポートチーム

医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士などで構成され、人工呼吸器を装着した患者さんや呼吸状態が悪い患者さんに対し、人工呼吸器を外せるタイミングの検討や呼吸訓練を行います。

栄養サポートチーム

医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、介護士、セラピスト(PT、OT、ST)などで構成されています。
低栄養な状態では、体力、筋力、免疫機能などが低下し、治療効果が十分に現れずに合併症を起こしてしまうこともあります。そのため、多職種が連携することで患者さんに適切な栄養管理を適宜実施していきます。

褥瘡対策チーム

医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、管理栄養士などで構成されます。
特に寝たきりの患者さんや高齢者では、ベッドや椅子上で除圧ができないことで、骨の突出している部分の血流障害が起こり、褥瘡ができやすくなってしまいます。
そのため、栄養サポートチームと連携し、栄養状態を評価しながらベッド上のポジショニング、褥瘡予防や治療方法の検討を行います。

多職種連携は、常に患者さんの退院または転院のために行われていますが、特に多職種連携が必要なのは次の場合です。

・口から食事を摂ることができるようになるかどうか
・自宅に退院できるかどうか
・介助量が多い状態で自宅へ退院することになった場合
です。

多職種連携が必要になるケース~私の経験から~

多職種連携について~スムーズな連携のポイントやおもしろさを紹介~

では、具体的にどのような場面で多職種連携を行うのか、私が病院に勤務していたときの1つの例を紹介します。

脳卒中で入院した男性を担当していました。左上下肢に軽度の麻痺がありましたが、初回のカンファレンスでは主治医から症状も落ち着いているため、治療が終了次第、自宅退院可能との説明がありました。

しかし、リハビリ評価とソーシャルワーカーの意見では、自宅へ退院するにはいくつかの懸念事項がありました。そこで、作業療法士の私とケアマネジャーが実際に家屋評価に行くことになりました。
家族の介護力、転倒リスクの箇所、家屋内の動線、入浴方法などを確認しました。その結果、住宅改修と介護サービスの調整をすれば自宅に退院できるという結論になりました。

医師が提示した退院日では間に合わなくなったため、家屋評価の結果とリハビリの目標を報告し、退院日数を予定よりも延長して自宅退院することになりました。
ソーシャルワーカー、作業療法士の私、そしてケアマネジャーが連携することで、なんとか自宅退院にこぎつけた例です。

多職種連携で気をつけること

前述した通り、患者さんを支援していくためにはさまざまな職種が関わっています。
各職種がどのような仕事をしているかを知っていても、その具体的な内容や各職種のスケジュールなどはわかりません。

そのため、お互いの職種がどのような役割を持っているのか理解・尊重し合いながら意見交換をすることが大切になります。では、どのようなことに気をつければいいでしょうか。私の体験をもとに説明していきたいと思います。

専門用語を多用しないように気をつける

医療職種といっても、リハビリのことをすべて知っているわけではなく、わからない専門用語もあります。
例えば、「ROM」は「関節の可動域」のことで、医療職であればわかる可能性が高い言葉ですが、「関節の可動域」のほうがよりわかりやすく、患者さんの状態もイメージしやすくなります。

名前を呼んで話しかける

ほかの職種の人たちも一緒に働いている同僚です。名前を覚えていないのは失礼なため、名前で呼ぶようにします。名前がわからないと、「〇〇さんのことなんですけど……」と言われても、誰のことかわかりません。最初、名前を覚えるのは大変ですが、先輩や同期と情報共有をして、できるだけ名前を覚えるようにしましょう。

時間帯に気をつける

作業療法士が関わることの多い看護師は、早番、日勤、遅番、夜勤、夜勤明けなど出勤時間がさまざまです。そのため、時間帯によっては忙しいときもあるため、話しかける時間帯に気をつける必要があります。

ゆっくり話を聞きたい、聞いてもらいたい場合には、相手の時間を考慮します。病院によっては、勤務時間などがナースステーションに掲示されている場合もあるため、事前にチェックしておくとよいでしょう。

多職種連携の難しさ

多職種連携にはもちろん難しさや誤解によるトラブルもあります。その例を1つ紹介します。

私がまだ新人だった頃、片麻痺の患者さんを担当しました。食べることが好きな方で、ご家族が「またおいしいものを食べさせてあげたい」と希望していました。そこで、座位は不安定でしたが、言語聴覚士より、経口摂取可能との情報をもらっていたため、作業療法士の私は、食事の自力摂取を目標に食事動作の練習を行っていました。ところが、理学療法士も同じように食事動作練習を行い、食事時の介助なども行っていたのです。

それを知り、当時の私はこう思っていました。
「なんで日常生活動作の練習を理学療法士がやっているんだ!」
「私が何もできないと思われているのだろうか?」
「私のやっていることは違っているのだろうか?」

そして自分の作業療法士としての役割を奪われたような悔しい気持ちでいっぱいになったのです。

そこで私は、その理学療法士になぜ食事動作の練習を行っているのかを聞いてみました。
すると、「食事の自力摂取ができるようになるための食事動作時の座位や姿勢の評価をしていること」「座位時の上肢機能を見ていること」「実際に介助をすることでどのような体の使い方をしているか」「どのようにしたら少しでも自分で食べられるようになるかを見ている」と教えてくれました。

理学療法士は、作業療法士の私とはまた違ったアプローチで食事動作練習をしていたのです。
この例からもわかるように、多職種連携では密なコミュニケーションがとても大切になります。そうすれば変な誤解もなくなり、スムーズに連携できるのではないかと思います。

多職種連携には新たな発見がある

新人さんや話すことが苦手な人は、多職種と関わることが苦手だったり、対立や反発などを避けて自分の意見をうまく伝えられなかったりすることもあると思います。
しかし、「患者さんをよくしたい」「患者さんによりいい生活を送ってほしい」という思いは皆同じです。

自分の職種にはどんな役割があるのか、今一度振り返り、患者さんと目標に向かってどのような評価、訓練を行っているのか自信を持って伝えてみましょう。時には、訓練で困っていることやわからないことを相談してみるのもいいかもしれません。自分の職種とは違った視点で教えてくれるので、新たな発見にもつながります。
そして、この “自分とは違う新しい視点” こそが、多職種連携ならではのおもしろさであり、醍醐味だと私は思っています。

宮木 美智香

宮木 美智香

作業療法士/福祉住環境コーディネーター
2006年、一度作業療法士の国試に落ちるも、2007年には合格。一般病院を経て、訪問リハビリやデイサービス、有料老人ホームなどで勤務している。

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