リハビリは特掲診療料に含まれる!施設基準や算定できる加算などについて現役作業療法士が解説
公開日:2024.10.05
文:かな(作業療法士)
「特掲診療料」は、特定の医療行為をすることで発生する加算であり、リハビリ職に関わるものです。しかし、セラピストのなかには、特掲診療料について詳しくわからないという方がいらっしゃるかもしれません。
今回は特掲診療料とは何か、基本診療料との違いや施設基準などについて解説します。
特掲診療料とは?基本診療料との違いは?
特掲診療料とは、特定の医療行為をしたことに対して発生する診療報酬のことです。
リハビリ職をはじめ、医療従事者の多くは診療報酬から収入を得ています。医療行為の対価として定められている保険点数によって診療報酬が決まっています。
リハビリ20分を1単位として点数が決まっているように、医療行為それぞれに保険点数が定められているのです。
特掲診療料と基本診療料との違い
診療報酬を大別すると、「基本診療料」と「特掲診療料」に分けられます。それぞれの概要と項目については以下の通りです。
基本診療料 | 特掲診療料 | |
---|---|---|
概要 | 初診・再診・入院の際に行われる基本的な診療行為の費用を評価するもの | 基本診療料として一括して支払うことが妥当でない特別の診療行為に対して個々に点数を設定して評価するもの |
項目 | 初・再診料 入院基本料・入院基本料等加算・特定入院料 |
医学管理等・在宅医療・検査・画像診断・投薬・注射・リハビリテーション・精神科専門療法・処置・手術・麻酔・放射線治療・病理診断 |
リハビリを行った場合の保険点数は、特掲診療料のなかの「リハビリテーション」に該当します。「診療明細書」にはどのリハビリが行われたのか、そのリハビリの保険点数が何点だったのか記載されます。リハビリの種類別の保険点数については、のちほど紹介します。
特掲診療料の施設基準とは?
特掲診療料として点数を請求するには、施設基準を満たす必要があります。リハビリの場合は、疾患などにより以下のように区分され、それぞれ該当する施設基準を満たさなければなりません。
●脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)
●運動器リハビリテーション料(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)
●呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)(Ⅱ)
●難病患者リハビリテーション料
●障害児(者)リハビリテーション料
●がん患者リハビリテーション料
●認知症患者リハビリテーション料
●集団コミュニケーション療法料
●精神科作業療法
また、疾患別リハビリテーションの施設基準として、主に以下の項目をそれぞれ満たす必要があります。
●専用の機能訓練室の面積
●必要な器械や器具を備えていること
例えば、同じ脳血管疾患等リハビリテーション料でも、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに分類され、満たすべき人数や必要な物品も異なります。令和6年診療報酬改定時点で施設基準は以下の通りです。
セラピストの人数 | |
---|---|
脳血管Ⅰ | ・PT5人以上 ・OT3人以上 ・言語聴覚療法を行う場合はST1人以上 ※上記を合わせて10人以上 |
脳血管Ⅱ | ・PT1人以上 ・OT1人以上 ・言語聴覚療法を行う場合はST1人以上 ※上記を合わせて4人以上 |
脳血管Ⅲ | ・PT・OT・STのうちいずれか1人以上 |
いずれの場合もセラピストは専従を指します。また、ⅠやⅡの施設基準を満たすには、人数以外にも傾斜台や各種装具、家事用設備などの器具や設備が必要とされています。
【令和6年改定】リハビリの基本の点数以外の加算
特掲診療料に該当するリハビリに関連する加算や点数を見てみましょう。以下は、令和6年診療報酬改定時点での点数です。
急性期リハビリテーション加算(50点)
「急性期リハビリテーション加算」は、早期からのリハビリを進めるための加算です。算定開始からから14日目まで50点の加算ができ、以降30日目までは「早期リハビリテーション加算」として25点算定できます。
ただし、BI10点以下、規定の処置がされているかなどの条件があるため、加算時には条件の確認が必要です。
リハビリテーション総合計画評価料1・2(300点・240点)
「リハビリテーション総合計画評価料」は、他職種と共同してリハビリ計画を策定してリハビリを実施する場合に算定できます。算定に際しての主な注意点は以下の通りです。
●計画書の書式は別紙様式23や別紙様式21の6、またはそれに準じた様式に記載する必要がある。
●患者に内容を説明のうえ交付するとともに、その写しを診療録等に添付する必要がある。
●説明時に患者の理解が得られるよう、記載内容には留意してください。
退院時共同指導料1(1,500点もしくは900点)・2(400点)
「退院時共同指導料1」は、入院中の患者が退院して在宅療養する際に、他職種が共同して説明や指導を行って文書で情報提供した場合に算定できます。
●退院後に介護保険によるリハビリを利用予定であれば、共同指導の際に介護保険のリハビリの事業所の医師やリハビリ職の参加を求めることが望ましい。
加算のためには、他職種、ひいては他の事業所との連携を密に行う必要があります。
リハビリの保険点数は特掲診療料に該当する
診療報酬には「基本診療料」と「特掲診療料」の大きく2つがあり、リハビリテーションは特掲診療料に該当します。特掲診療料は13の項目があり、リハビリはその1つです。特掲診療料を算定するには、それぞれ定められた施設基準を満たさなければいけません。心大血管・脳血管・運動器・呼吸器など、リハビリの種類によって、それぞれ施設基準が異なるため確認しておくとよいでしょう。基本となる疾患別リハビリテーション料のほかに、加算などを算定できる場合もあります。自身が関わるリハビリの特掲診療料を理解するためにも、診療報酬改定の際には、十分にチェックしておきましょう。
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参考
特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。
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