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バランスボードの使い方を徹底解説!効果や目的別の選び方も紹介

公開日:2024.06.28

バランスボードの使い方を徹底解説!効果や目的別の選び方も紹介

文:和田 拓巳(スポーツトレーナー)

体を効率良く鍛えるためには、トレーニングギアがあると便利です。トレーニングギアを使うことでトレーニングの幅が広がり、筋トレがやりやすくなったり、普段鍛えにくい部分・能力を効果的に高められます。その中でもおすすめなのがバランスボードです。バランスボードは不安定なボードの上でバランスを取ることで体幹や筋力が鍛えられるため、さまざまなトレーニングに活用できます。しかし、使ったことがない人にとっては「どのように使えば良いのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回はプロのトレーナーが、バランスボードを使うことで鍛えられる効果やメリットとあわせて、おすすめのエクササイズを解説します。

バランスボードとは

体幹やバランス感覚を鍛えるツールとして活用されているのが「バランスボード」です。バランスボードにはさまざまな商品がありますが、一般的には板の下にローラーや球体が取りつけられているものが多く販売されています。

バランスボードはサーフィンやスケートボード、スノーボードなどのバランス感覚が重要なスポーツのトレーニングとして使用されたり、リハビリテーションや姿勢改善のために用いられたりすることがあります。最近では、自宅でも手軽に取り入れられることから、筋トレやダイエット、子どもの体幹強化などに用いられることもあり、幅広い方々に使用されています。上に立ってグラグラとした不安定な状態で体勢をキープしたり、バランスを取りながらエクササイズを行ったりすることで、普段使われにくい筋肉を刺激することができます。

バランスボードの効果・メリット

バランスボードのメリットを挙げるまえに、バランスボードのトレーニングに対する個人的な意見を述べさせていただきたいと思います。

よく、商品の説明に「体幹が鍛えられる」や「ダイエットに効果的」などと紹介されていますが、専門家から見れば、それらは本当のバランスボードのメリットではありません。単純に筋肉を鍛えたい、体幹部を鍛えたいというのであれば、バランスボードは必要ないと考えています。なぜならバランスボードを使うよりも、基本的なウエイトトレーニングを行ったほうが効果は高いからです。

筋力を高めたい場合、高重量のスクワットとバランスボード上でのスクワット、どちらが筋肉に対して大きな刺激を与えられるかを考えれば一目瞭然です。足元のバランスが悪いというだけで、力を発揮するのが難しくなり、最大筋力を発揮できない状態では、筋肉への刺激も少なくなってしまいます。

では、なぜバランスボードを使ってトレーニングを行う必要があるのでしょうか。専門家目線によるバランスボードのメリットは、以下の項目が挙げられます。

インナーマッスルとアウターマッスルの筋バランスを調整する

インナーマッスルが鍛えられるとして紹介されていることが多いバランスボードですが、実際にはインナーマッスルだけが使われているわけではありません。当然ながら、アウターマッスルも鍛えられています。

重要なのは「インナーマッスルが鍛えられる」ということではありません。バランスボードを使うことで不安定な状態をつくり出し、インナーマッスルとアウターマッスルの筋出力のバランスをうまく調整して、体勢を安定させるということが重要なのです。バランスボードのトレーニングによって、インナーの筋力とアウターの筋力のバランスがうまく取れることで、イメージ通りの体勢でバランスをとることができるようになるのです。

不意の動きに対応できる神経系の発達

バランスボードの最大の特徴が、バランスをくずしたときに体がグラッと動いてしまうこと。このバランスをくずした状態を、いかにリカバリーできるかがスポーツ競技において重要になります。
体勢をくずさないためには、筋力だけでは不十分なのです。重要なのは、体を動かす神経系の発達です。

体勢を立て直すための力の発揮、体勢がくずれたことを察知する能力・反応・反射などの能力は、その状態になったときにはじめて発揮される能力です。逆に、普段の練習やトレーニングでそのような状況が起きなければ、鍛えることができないのです。
バランスボードを活用することで、意図的に体勢がくずれる状態をつくり出し、反応・反射などの神経系の能力を鍛え、リカバリー能力を高めることができます。

重心を保つための柔軟性

リカバリー能力に関連しているのが、重心の移動です。どんな体勢になっても重心が中心から大きくずれないことによって、姿勢を安定させることができます。実は、この重心の安定性は筋力だけでなく、「力を入れない」ということも重要です。どんなに筋力があっても体勢を支える「支持基底面」から重心がはずれてしまうと、バランスをくずして転倒してしまうのです。

支持基底面とは、体の床面に接している部分によりつくられる領域を指します。支持基底面が広く、重心が支持基底面の中心に近いほど安定性は高くなります。両足を広く広げれば支持基底面は広がり、片足になれば支持基底面が狭くなるということです。体勢を安定させるためには、重心が大きくずれる前に体を柔軟に動かし、重心をできるだけ中心からずらさないようにする必要があります。そのためには、力を入れて踏ん張ることではなく、脱力してうまく重心をコントロールすることを身につけることが重要です。

バランスボードを使うことで重心を感じやすくなり、大きく動く重心の変化をうまく察知して柔軟な体の使い方を習得することができるでしょう。

常にバランス感覚が必要なスポーツにおける体軸の意識

サーフィン、スキー、スノーボード、ビーチバレーなど、足元が常に不安定な競技にとって、バランスボードは競技特性に近いトレーニングになります。不安定な状態で理想の姿勢を維持するためには、体軸の安定が重要。体軸とは、体を上下に貫くラインのことで、一般的には頭頂とおしりの穴の少し前(会陰)とくるぶしを通るラインのことを指します。

バランスボードに乗っていると、自然とバランスが取れる位置があります。そのときの姿勢が、体軸がまっすぐな状態に近い姿勢です。バランスボードのトレーニングを繰り返すうちに「この位置でバランスが取りやすいな」と感じるようになります。それが体軸を意識できている状態なのです。体軸を安定させるには、先ほど紹介したような「筋バランス」「反応・反射などの神経系の能力」「重心移動のための柔軟性」が必要になります。

足元が不安定な競技の場合、練習以外でそのような感覚をつかむのは難しいものです。バランスボードを活用することで、シーズンオフなど理想的な練習環境でなくても、競技に近い動きやバランス感覚を整えるトレーニングができるというのは大きなメリットです。

バランスボードを使ったトレーニング3選

ここでは、バランスボードを使ったトレーニングを紹介していきます。

両足バランス

”両足バランス“/

1.バランスボードの上に片足をのせます。
2.バランスをとりながら、反対側の足もバランスボードにのせます。
3.両足でバランスをとりながら、20秒間キープしましょう。

もっとも簡単なエクササイズです。ただ、慣れていない人にとってはこのエクササイズも難しく感じることでしょう。まずは時間を気にせず、短時間でも良いのでバランスボード上でバランスを取ることを意識しましょう。慣れてきたら時間を伸ばしていきます。

バランスランジ

”バランスランジ“/

1.バランスボードの中心に片足をのせます。
2.バランスボードにのせた脚を前にして、脚を前後に開きます。
3.バランスボードにのせた脚のひざが90度になるまで、上体を下ろしていきます。
4.90度まで下ろしたら、元の姿勢に戻ります。片側10回×3セットを目安に行います。

動作がともなうエクササイズなのでバランスがとりにくくなります。バランスばかり気にしているとフォームがくずれます。まずはひざを曲げる角度が浅くても良いので、バランスをとりながらフォームを正しく行うことからはじめてみましょう。慣れてきたら、前側ではなく後ろ側の足にのせて行うバリエーションもありますので、チャレンジしてみてください。

バランスプランク

”バランスプランク“/

1.うつぶせになり、前腕をバランスボードの上にのせます。
2.体をしっかり伸ばし、つま先で体を支えるようにして体を床から浮かせます。
3.バランスをとりながら、20秒間キープしましょう。

上半身を刺激するエクササイズです。おしりを高く上げずに、体を一直線にすることを意識して行いましょう。初心者はひざを床につけて行う方法からはじめても良いでしょう。

バランスボードの種類・選び方

最後にバランスボードの選び方を紹介します。

バランスボードの形状と目的

バランスボードには、大きく分けて以下の3つの形状があります。

●円盤型:板の下に半球体などのスタンドがついているもので、もっともオーソドックスなバランスボード。
●ボード型:真ん中がくぼんだ沿った板一枚物のバランスボード。
●ローラー型:ローラーの上にまっすぐな板を敷くタイプのバランスボード。

バランスボードは体力や目的にあわせて選ぶ必要があります。難易度としては、易しい順に、ボード型>円盤型>ローラー型となります。

バランスボード初心者の方はボード型・円盤型から、トレーニング上級者であればローラー型に挑戦してみても良いでしょう。また、バランスボードを使用する目的にあわせて選ぶことも重要です。

体づくりの1つとして→ボード型、円盤型
スポーツのパフォーマンスアップとして→円盤型、ローラー型
ケガのリハビリとして→円盤型
子どものための遊びとして→ボード型

目的別におすすめのバランスボードの形状を紹介しました。ぜひ参考にしてみて下さい。

バランスボードの高さ

バランスボードを選ぶ際は、床からの高さがどれくらいになるかも確認しておきましょう。立つ部分が床から高くなればなるほど、難易度は高くなります。初心者は低めなものを、バランスボードに慣れている人は強度を高めるために高いものをチョイスしてみると良いでしょう。

バランスボードの素材

機能には影響ありませんが、肌触りや乗ったときの感触を気にするのであれば、ボードの素材も気にしてみましょう。

ベーシックなものは木製で、すべすべした肌触りが特徴です。靴下などで乗ると滑る可能性があるので、注意が必要です。樹脂系・ゴム系の滑り止めがついたタイプもあります。樹脂系やゴム系は滑りにくく乗りやすいのが特徴ですが、滑り止めの凹凸が気になったり、足が痛む場合もあります。使う環境や好みにあわせて選んでみましょう。

まとめ

今回はバランスボードの使い方や特徴について、専門家目線から解説してみました。バランスボードを使うことで、筋肉を鍛えるだけでなく、さまざまな体の機能を高めることができます。バランスボードは自宅でも簡単に使えるので、自宅でのトレーニングとしても活躍してくれます。体の機能向上にバランスボードを活用してみましょう!

<参考文献>
なし

和田 拓巳

和田 拓巳

スポーツ選手やオリンピック候補選手、アーティストのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。
医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会もしており、講師業にも力を入れている。テレビや雑誌など各種メディアに出演およびトレーニング監修を行う。
著書に「見るだけ筋トレ」(青春出版社)がある。

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