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効果的なディップスのやり方は?筋トレ初心者のために分かりやすくプロが解説

公開日:2024.06.29

効果的なディップスのやり方は?筋トレ初心者のために分かりやすくプロが解説

文:織田 ユウヤ(トレーナー)

「ディップスって効果ある?やり方は?」このような疑問はありませんか?
ディップスは、2本の平行棒を使った上半身の筋トレ方法です。大胸筋や上腕三頭筋を鍛えるトレーニングとして人気があります。ただし、ある程度の筋力と技術が必要なため、初心者の方には難しいかもしれません。

そこで本記事では、プロのトレーナーがディップスの効果的なやり方について解説します。記事を読めば、筋トレ初心者の方でも安心してディップスに挑戦できるようになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

ディップスで鍛えられる部位

効果的なディップスのやり方は?筋トレ初心者のために分かりやすくプロが解説

ディップスで主に鍛えられる筋肉は以下のとおりです。

● 大胸筋下部
● 上腕三頭筋
● 三角筋前部

大胸筋下部

大胸筋は厚い扇の形をした、肩と腕を動かす筋肉です。筋繊維の方向の違いにより上部と中部、下部に分けられます。
ディップスでは大胸筋全体を使いますが、とくに下部を強く刺激します。

上腕三頭筋

上腕三頭筋は腕の後ろにある大きな筋肉で、肩から肘のあたりまで伸びています。主な役割は、肘関節の伸展と肩関節の伸展で、ディップスでは肘の曲げ伸ばし動作で使われます。

三角筋前部

三角筋は大きくて厚い肩の筋肉です。動き方の違いにより前部、中部、後部の3つに分けられますが、ディップスでは主に前部が鍛えられます。
三角筋前部の主な役割は、肩関節での腕の屈曲、水平内転、および内旋です。なお、三角筋全体が同時に収縮すると、肩関節が外転します。

ディップスの効果・メリットとは

「胸や腕の筋トレならベンチプレスで良いのでは?」と思う方もいるでしょう。しかしディップスには次のような効果とメリットがあります。

● 体の使い方がうまくなる
● 全身を動かしながら高重量を扱える
● 狭いスペースでできる

それぞれ解説していきます。

体の使い方がうまくなる

ディップスは筋肉が肥大するだけでなく「体の使い方がうまくなる」効果もあります。
ディップスの運動中は、両手で体を空中に浮かせながら、腹筋と背筋をうまく使ってバランスを保たなければなりません。さらに筋力を調整して、動作速度のコントロールが必要です。
そのためディップスが正しく行えるようになると、体の使い方が格段にうまくなります。

全身を動かしながら高重量を扱える

ディップスの大きなメリットが「全身を動かしながら高重量を扱える」ことです。「全身を動かす」と「高重量を扱う」を同時に満たす運動はそう多くありません。

たとえば、プッシュアップは全身を動かしますが、高重量の負荷をかけるのは難しいトレーニングです。またベンチプレスでは高重量を扱えますが、全身は固定されています。それに対してディップスは全身を動かす運動でありながら、高重量のトレーニングができます。ディップスは自重だけでも高負荷な運動ですが、さらに挑戦したい場合は、専用のベルトにプレートを追加してみましょう。

狭いスペースでできる

環境によっては「狭いスペースでできる」ことがメリットになります。
たとえば自宅でプッシュアップをするためには、少なくとも身長以上のスペースが必要です。部屋の大きさによっては、横になる場所が確保できない場合もあり得ます。
しかしディップスであれば、体を立てたまま上下に動くトレーニングのため、横の面積は少なくてすみます。

「家で上半身の筋トレを行いたいけど十分なスペースがない」と言う方には大きなメリットと言えるでしょう。
ただし専用の器具が必要です。ネットショップなどで販売されていますので、興味のある方は探してみてください。

ディップスの正しいフォーム

ディップスは、体を2本の平行棒上で支え、全身を上下に動かす運動です。一見シンプルですが、フォームが間違っていると筋トレの効果は半減します。
本章ではディップスの正しいやり方について解説しますので、参考にしてください。

ディップスのやり方

”ディップスのやり方“/

ディップスの手順は以下の通りです。

1. 2本のバーの間に立ち、左右のグリップを握る
2. 肘を伸ばして飛び上がるように体を浮かせる
3. 大きく息を吸い、胸を張る
4. 体を少し前傾させて、肘を曲げながら体を下げる
5. 肩が肘よりも低い位置にきたら、1秒止まる
6. 肘が完全に伸びるまで体を押し上げる

この手順通りに進めれば、初心者の方でも問題無くトレーニングできるはずです。
ただしディップスの効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントがあります。順番に見ていきましょう。

回数は「あと3回が限界」を3セット

筋トレの回数とセット数はシンプルで覚えやすい「10回×3セット」が一般的です。
しかし筋力は個々の差が大きく、「10回×3セット」がすべての人に適切な負荷とは言えません。
そこで、おすすめの方法が「あと3回が限界になる回数を3セット」です。
たとえば最大で13回できる人は「10回×3セット」になります。筋力があり最大で20回できる人は「17回×3セット」、5回しかできない人なら「2回×3セット」に設定します。
ポイントは、限界になる一歩手前の回数に設定することです。この方法を使えば、精神的、肉体的な苦痛を減らしつつ、効果的なトレーニングが可能になるでしょう。

動作中は呼吸を止める

肘を曲げる動作を開始してから元の位置に戻るまで、呼吸は止めてください。
なぜなら、動作中に体をコントロールするためには、胸郭を安定させる必要があるからです。
動作中に胸が動くと、体が不安定になります。最初に大きく息を吸い、動作中は息を止め、動作が終了したら息を吸い直しましょう。

上腕骨が水平以下になるまで体を下げるく

ディップスで良くある間違いは、しっかりと動かさないことです。
ほとんどの人は上腕骨が水平になる手前までしか、体を落としません。そのほうが楽だからです。
筋肉の一部しか使わない筋トレは、効果も半減します。とくに初心者の方は回数を気にせず、しっかり動かすことを意識しましょう。

【応用編】鍛えたい部位を変えるには

ディップスは大胸筋下部、上腕三頭筋、三角筋前部に強い刺激を与える運動です。
応用として、上体の角度を変えることで特定の部位により多く負荷をかけることもできます。
たとえば次のように負荷を変えられます。
● 上体を前傾させる=大胸筋全体
● 上体を垂直にする=三角筋前部
それぞれ解説します。

上体を前傾させる=大胸筋全体

体を下降させる際に、上体の前傾を強めると、大胸筋全体を刺激できます。
これは肩関節の屈曲角度が変わることにより、大胸筋中部と上部に負荷がかかりやすくなるためです。
大胸筋を鍛えたい人は、体を前傾させることを意識しましょう。

上体を垂直にする=三角筋前部

上体を垂直にするほど、三角筋前部に負荷をかけられます。上体を垂直にして下降すると、肩関節が大きく後方に引き上げられ、三角筋前部が伸ばされます。そこから肩を屈曲させるため、三角筋前部の動きが大きくなるのです。
三角筋前部を鍛えたい人は、体を垂直に近づけましょう。

ディップスを行う際の注意点

ディップスはすぐれたトレーニングですが、けがのリスクもあります。とくに初心者の方は以下の点に注意してください。

● 事前にウォーミングアップをする
● 動作はゆっくりと行う
● 肩が前方に突出しないように意識する
● 痛みを感じたら即中止する
それぞれ詳しく解説します。

事前にウォーミングアップをする

ディップスを行う前には、必ずウォーミングアップを実施してください。なぜなら体が冷えた状態ではじめると、筋肉や関節を痛めるリスクが高まるからです。
たとえばエアロバイクを10分間漕いだり、肩のストレッチをしたりするなど、軽い運動をしてから、ディップスを行いましょう。とくに大胸筋と三角筋のストレッチは必須のウォーミングアップです。

動作はゆっくりと行う

運動中はゆっくり動くことを心がけてください。
中級者以上の方で良く見られる間違いは、動作が速すぎることです。とくに、体重を負荷として利用するトレーニングでは、速い動きがマイナス要因になることがあります。
ゆっくり動くためには、筋肉を一定の力で収縮させ続ける必要があり、これが良いトレーニング効果をもたらすからです。
また、速い動作は関節を痛める可能性が高くなります。経験者であるほど、意識してゆっくりと動くようにしましょう。

肩が前方に突出しないように意識する

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ディップスの動作中は、胸を張り、肩を後ろに引いた状態を保つようにしてください。
肩が前方に突出すると、肩関節の関節包や靭帯を痛める可能性があります。とくに猫背の人は巻き肩になりやすいため要注意です。
肩甲骨を寄せ、背筋を伸ばし、肩が前方に突出しないように意識しましょう。

痛みを感じたら即中止する

もし何らかの痛みを感じた場合、ただちに中止してください。
小さな違和感でも見過ごしてはいけません。がまんして運動を続けると、組織が損傷し、治療が必要となる可能性があります。
また、体調が悪いときや集中力が低下しているときも、トレーニングを行うべきではありません。休息もトレーニングの一部であると考え、体が回復するまで運動は控えましょう。

まとめ

今回はディップスを効果的に行う方法を紹介しました。
ディップスは大胸筋下部や上腕三頭筋、三角筋前部を中心に広範囲の筋群にアプローチできる優秀なトレーニングです。成功のカギは、胸を張り、正しい姿勢で、ゆっくりと行うことです。
今回紹介した方法を実践していただければ、初心者でもすぐに正しいフォームで実践できるようになるでしょう。この機会にぜひチャレンジしてみてください。

<参考文献>
Rippetoe, M. (2019). スターティングストレングス [Starting Strength] (日本語版). ベースボール・マガジン社
Visual Anatomy Limited. (2024). ヒューマン・アナトミー・アトラス2024 [モバイルアプリ]. 取得元Apple App Store. https://apps.apple.com/jp/app/ヒューマン-アナトミー-アトラス2024/id1117998129
T Nation. (n.d.). Inside the Muscles: Best Chest and Triceps Exercises. T NATION.https://forums.t-nation.com/t/inside-the-muscles-best-chest-and-triceps-exercises/284620

織田 ユウヤ

織田 ユウヤ

順天堂大学スポーツ科学部スポーツマーケティング学科卒業。スポーツショップやフィットネスメーカーの勤務を経て、スポーツジムやメディカルフィットネスジムでトレーナー兼マネージャーを務める。トレーナー歴は15年以上。
各種トレーナー資格、健康運動指導士、NSCA-CPTなどの資格を保有

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