管理栄養士の面接対策完全ガイド│質問15例の回答案と準備ポイント

文:清水花菜
(管理栄養士、フードコーディネーター)
管理栄養士の面接において「専門知識はあるけれど、どう伝えてよいか分からない」「現場経験をうまくアピールできるか不安」と感じていませんか。面接で大切なのは、知識の暗記ではなく現場で培った実務力を伝える形で示すことです。
本記事では、面接官が重視する4つの評価軸をもとに、よく聞かれる質問15例の回答例をご紹介します。ご自身の経験と組み合わせて活用してください。
管理栄養士の面接対策│面接官が見る4つの評価軸

管理栄養士の面接では、面接官は「この人になら安心して利用者さんを任せられるか」を以下の4つの軸で評価しています。
➀専門性・安全意識
管理栄養士は人の命に直結する食事を扱う職種です。アレルギーの誤配膳や食中毒などの重大事故を防ぐため、面接官は生労働省『大量調理施設衛生管理マニュアル』に基づいたHACCP的管理を実践し、」「安全を最優先に考えて行動できるか」を重視します。
②多職種連携・コミュニケーション力
現代の医療・介護・保育現場では、チーム医療が不可欠です。介護施設では看護師や介護職との連携が、保育園では保育士や保護者との情報共有が欠かせません。
③改善・現場対応力
現場では予定通りに進まないことが日常的です。残食率の高さ、発注ミス等による食材の不足、災害時や感染症による人材不足への対応など、問題を発見し解決できる人材が求められます。
④姿勢・人間性
利用者さんを第一に考える気持ちが何より大切です。「おかずを噛みにくそうにされていたので、小さく切ると全部食べることができた」など、利用者さんの変化に気づく姿勢や人間性が評価されます。
管理栄養士の面接でよく聞かれる質問・回答例

ここでは管理栄養士の面接でよく聞かれる質問15例と、面接官に好印象を与える回答をまとめました。
①志望動機
質問
当施設を志望された理由をお聞かせください。
回答例
以前から、利用者さん一人ひとりの生活背景や好みに寄り添うことが大切だと考えており、前職では高齢の方に合わせて噛みやすさや味付けを工夫してきました。そうした経験から、貴施設の「個別性を重視した栄養管理」という方針に強く共感し、志望いたしました。
②自己紹介
質問
簡単に自己紹介をお願いします。
回答例
○○大学栄養学科を卒業後、管理栄養士として○年間、給食管理と栄養指導を担当してまいりました。これまで高齢者施設を中心に勤務し、献立作成や栄養管理を担当してきました。
③長所(強み)
質問
ご自身の強みはどのようなところだと思いますか。
回答例
私の強みは、相手を尊重したコミュニケーションです。専門用語を分かりやすく説明し、患者さんに安心感を持っていただけるよう努めています。コミュニケーションをとりながら「続けやすい工夫」を一緒に考えた結果、3か月間の指導継続者数を月10名から16名まで増やすことができました。
④短所(弱み)
質問
ご自身の課題や改善したいと思っている点はありますか。
回答例
私は細部にこだわりすぎて、作業に時間がかかってしまうことがあります。そのため、現在は業務ごとに優先順位をつけ、進捗を同僚に確認してもらうようにしています。
⑤前職の退職理由
質問
前職を退職された理由をお聞かせください。
回答例
前職では給食管理が中心でしたが、患者さんと直接関わる栄養指導に力を入れたいと考えるようになりました。現在は糖尿病療養指導士の資格取得に向けて勉強中で、より専門性の高い栄養サポートを提供していきたいと考え転職を決意しました。
⑥管理栄養士を目指したきっかけ
質問
管理栄養士を目指そうと思ったきっかけは何ですか。
回答例
私が管理栄養士を目指したきっかけは、祖母の糖尿病食を家族で工夫した経験です。制限が多く食事を楽しめずにいた祖母でしたが、好みに合う献立に変えると笑顔で食事をするようになり、体調も改善しました。その時に感じた「食の力で人を支えられる喜び」がこの職業を志すきっかけとなりました。
⑦食事提供で問題が起きた時の対応
質問
食事提供でトラブルが発生した際、どのように対応されましたか。
回答例
誤配膳が発生した際には、利用者さんの安全を最優先にし、すぐに誤った食事を下げて正しい食事を提供しました。そのうえで謝罪を直接お伝えし、安心いただけるようなコミュニケーションをとりました。トラブル収束後には原因を振り返り、調理工程を確認して改善案を共有し、再発防止につなげました。
⑧直近の改善事例
質問
直近で取り組まれた改善事例があれば、具体的に教えてください。
回答例
残食率25%の病棟で患者さんに直接お話を伺ったところ、「味が物足りない」「食べにくい」との声がありました。香辛料の使用と食材の大きさを調整した結果、3週間で残食率が10%に改善し、「美味しくなった」と喜ばれました。この取り組みを標準化して他病棟にも展開し、月1回の効果測定を継続しています。
⑨多職種連携の進め方のポイント
質問
他職種と連携する際に心がけていることや工夫していることは何ですか。
回答例
私が大切にしているポイントは「必要な情報を、必要なタイミングで伝えること」です。栄養状態の急激な変化は24時間以内に関係職種へ報告し、日々の細かな様子は週2回の定例会議で共有しています。各職種の専門性を尊重し合うことで、より良いケアが実現できると考えています。
⑩栄養指導での成功事例
質問
栄養指導でうまくいった事例を教えてください。
回答例
脂質異常症の患者さんが菓子パンを毎日2個召し上がっていたため、まずは1週間に14個を10個に減らす目標を一緒に設定しました。2週間で達成されたため、他の食品への置き換えを提案すると「無理なく続けられる」と喜ばれ、3か月後にはコレステロール値が30mg/dl改善しました。
⑪仕事をするうえで心がけていること
質問
日々の仕事のなかで特に心がけていることは何ですか。
回答例
栄養相談の時には、「実行できる方法を一緒に探す」ことを心がけています。一人暮らしの方には電子レンジで作れるレシピを、共働き家庭には作り置きメニューを提案するなど、生活スタイルに合わせた現実的で続けやすい工夫を大切にしています。
⑫入職後に取り組みたいこと
質問
入職後に挑戦してみたいことや、取り組みたい業務はありますか。
回答例
まずは安全な食事提供の手順を習得し、職員や利用者さんとの信頼関係を築きます。そのうえで、栄養管理の知識を他職種と共有する勉強会の開催や、ご家族向けの栄養相談の充実を図っていきたいです。
⑬印象に残っているエピソード
質問
これまでの経験のなかで、特に印象に残っているエピソードを教えてください。
回答例
入院中の患者さんが「味が薄くて食欲がない」と訴えられていました。医師と相談し、香辛料の使用と彩りを工夫した献立に変更したところ、1食あたりの摂取量が4割から7割まで増加し、笑顔で「美味しい」と言っていただけました。小さな工夫が大きな変化を生むと実感した瞬間でした。
⑭どんな管理栄養士になりたいか
質問
将来的にどんな管理栄養士になりたいと考えていますか。
回答例
利用者さんが「また食べたい」と心から思える食事を提供できる管理栄養士を目指しています。栄養バランスはもちろん、見た目の美しさや食べる楽しさも大切にし、食事の時間が1日のなかで最も幸せな時間になるような環境づくりに貢献したいと思います。
⑮質問(逆質問)
質問
当施設や業務内容について、何か質問はありますか。
回答例
貴施設の〇〇の取り組みに共感いたします。現在この部署で重点的に取り組まれている課題や目標があれば教えていただけますか。
管理栄養士の面接|準備とマナーチェックリスト
面接当日は緊張するものですが、事前の準備をしっかりとおこなうことで落ち着いて臨めます。面接に向けた準備とマナーを紹介します。
面接時に持参するもの
面接前日までに準備できるようにチェックリストを用意しました。
・職務経歴書
・資格証の写し
・筆記用具
・腕時計
・認印
・面接先の連絡先・経路メモ
・クリアファイル
・ハンカチ・ティッシュなどの日常の携行品
・現金
・充電器
上記のほか、管理栄養士としての専門性をアピールできる実績資料集(ポートフォリオ)があれば持参しましょう。
以下のような内容をA4サイズでまとめるのが基本ですが、業務で作成したパンフレットなどを持参しても良いでしょう。
・栄養教育資料
・改善事例(数値での成果)
・研修発表資料
・行事(夏祭り、敬老会、バイキングなどイベント食を含む)の企画書
当日の身だしなみと面接マナー
面接では第一印象がとても大切です。服装はシンプルで清潔感を重視しましょう。また、スマートフォンやスマートウォッチは必ずマナーモードに設定し、集中できる環境を整えてください。
当日は、10分前の到着が基本マナーです。受付で名前を伝え、入室時はドアを3回ノックし、一礼してから入るのが礼儀です。着席は面接官の指示を待ち、落ち着いて受け答えを心がけましょう。最後に退室する際も、感謝の気持ちを込めて一礼すると好印象です。
面接が終わったら、その日のうち、遅くとも24時間以内にお礼メールを送りましょう。感謝の言葉に加えて、改めて入社意欲を伝えることで誠意が伝わります。
管理栄養士の面接対策で転職を成功させよう
管理栄養士の面接では、具体的な数字やエピソードで他の候補者との差別化を図ることが重要です。本記事の回答例をあなたの経験と組み合わせて活用し、管理栄養士としての責任感とやりがいを伝えられる回答を考えてみてください。
参考
厚生労働省『大量調理施設衛生管理マニュアル』
厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』
文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応指針」
日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」
面接では、知識や資格だけでなく「安全を最優先に行動できるか」「チームの一員として信頼されるか」が重視されます。特に管理栄養士は、アレルギー対応や食中毒予防、嚥下調整食の提供など、利用者の命に直結する業務を担っています。
志望動機や自己PRを考えるときには、「自分の経験をどう活かして利用者の安心につなげられるか」を意識すると、面接官に強い印象を与えられると思います。
本記事が、皆さんが自信を持って面接に臨み、管理栄養士としての第一歩を踏み出すお役に立てれば幸いです。
著者プロフィール

清水花菜
管理栄養士/フードコーディネーター
2001年に管理栄養士免許を取得。委託給食会社を経て、総合病院、クリニック、特別養護老人ホームなど、医療や介護の現場で従事。25年間の管理栄養士歴のなかで、転職を10回以上行い、さまざまな職場で経験と人脈を広げてきた。現在はライターとしての活動とオンラインでの健康や栄養相談の準備をしている。
監修者プロフィール

武井 香七
管理栄養士
帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。













