栄養経営士ってどんな資格?取得のメリットや合格率も解説
「栄養経営士」は、病院などの栄養管理部門におけるマネジメント能力を高めたい管理栄養士の方におすすめの資格です。
この記事では、栄養経営士に求められる能力や資格を取得するメリット、試験に合格するまでの流れなどをご紹介します。管理栄養士としての専門性を深めて、活躍の場をさらに広げたい方は、ぜひ栄養経営士についてチェックしてみてください。
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目次
栄養経営士とは?
栄養経営士とは、管理栄養士向けの民間資格です。取得することで、「栄養管理チームを効率的にマネジメントして、病院や施設の経営に貢献できる能力」や、「病態を正しく把握する能力」を証明できます。
具体的には、栄養管理の分野において、次のような専門知識やスキルを身に付けられます。
・コミュニケーションスキル
・リスクマネジメントの知識
・コンプライアンスに関する知識
・人材育成に関する知識
・病態把握に関する知識
なお、栄養経営士の資格の主催・認定を行っている日本栄養経営実践協会は、栄養経営士を「栄養管理の経営を担う専門職」と定義しています。
(出典:日本栄養経営実践協会「栄養経営士とは」/ http://nutrition-management.jp/qualifications/index.html)
栄養経営士に必要な6つの能力
栄養経営士には、次の6つの能力が求められます。
●栄養経営士に求められる能力
現状分析・評価能力 | 栄養経営士は、所属する栄養部門が病院や施設のなかでどのように位置付けられているかを分析・評価し、経営層から何を求められているかを把握する必要があります。 |
---|---|
目標設定能力 | 栄養部門のリーダーとしてチームが何を目指すべきかを見極め、目標を設定する能力が求められます。 |
適材適所の人事能力 | 栄養部門で働くメンバーの得意分野や性格を把握し、適切な人材配置をする能力が求められます。 |
人事評価能力 | 栄養部門で働くメンバーの成果や技術などを適正に評価して、モチベーションを高める能力が求められます。 |
アウトカムの評価・分析能力 | 仕事の結果を客観的に評価するとともに、うまくいかなかった原因を分析しながらプランを見直し、仕事の質を高めていく能力が求められます。 |
病態把握能力・教育 | 患者さまの複雑な病態を総合的に把握する能力が求められます。また、病態を正しく伝えられるように、自分以外のメンバーを教育する能力も必要です。 |
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「栄養経営士とは」/http://www.nutrition-management.jp/qualifications/index.html)
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栄養経営士の資格を取得するメリット
ここでは、栄養経営士の資格を取得するメリットを5つピックアップし、それぞれの詳細をご紹介します。
- ・他部門との協働体制が作れる
同じ施設で働くさまざまな職種のスタッフに対して、栄養部門の役割や意見をわかりやすく伝えられるようになり、より良い協働体制作りを推進できます。
- ・栄養部門の組織力を強化できる
栄養部門が目指すべき目標を明確に示し、目的意識を持ったメンバーを育てることで、組織力を強化できます。
- ・経営層に栄養部門の有用性をアピールできる
具体的なデータに基づいてプレゼンテーションを行えるようになるため、経営層や事務部門に対して栄養部門の有用性をアピールしやすくなります。また、必要に応じて栄養部門の拡大を働きかけることもできるでしょう。
- ・栄養士の存在意義を明確に示せる
施設のなかで栄養士が担うべき役割を明確にし、職務の選択と集中を行うことで効率的に仕事をこなせます。
- ・チーム医療で栄養のプロとして認められる
病態把握能力が身に付くため、医師や看護師などと共通の言語で会話できるようになり、チーム医療においても「栄養分野のプロ」として認められるでしょう。
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「栄養経営士とは」/http://www.nutrition-management.jp/qualifications/index.html)
栄養経営士試験を受験する人の主な職場
栄養経営士の資格取得を目指す管理栄養士は、どのような職場で働いているのでしょうか。
栄養経営士試験を受験した方の職場として最も多いのは、病院やクリニックです。2020年に行われた第11回試験までの受験者のうち、77.5%が「病医院」に勤めていました。
次に受験者数が多い職場は「介護福祉施設等」で、全受験者に占める割合は15.8%でした。その他、栄養関連企業や行政関連施設に勤める方も、少数ながら栄養経営士の資格認定試験を受験しています。
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「ニュースリリース第11回「栄養経営士」資格認定試験」/http://www.nutrition-management.jp/about/pdf/newsrelease_20201215_114.pdf)
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栄養経営士の資格を取得する方法
栄養経営士の資格認定試験を受けるための条件として、「基礎講習の修了」と「管理栄養士として2年以上の実務経験」が求められます。
基礎講習の受講から栄養経営士の認定証交付までの流れは、下記のようになっています。
↓
②栄養経営士資格認定試験の受験
↓
③合格後、日本栄養経営実践協会へ資格認定の登録申請
↓
④入会・資格認定審査
↓
⑤日本栄養経営実践協会への入会と栄養経営士の資格認定
↓
⑥栄養経営士認定証(会員証)の交付
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「受験ガイダンス」/http://www.nutrition-management.jp/exam/index.html)
栄養経営士資格認定基礎講習は、資格の有無や年齢、学歴などを問わず受講できる講習です。申し込みは日本栄養経営実践協会のWebサイトから行うことができます。
基礎講習を受ける際は、会場での講義とWeb講義を組み合わせる形式か、DVDを視聴して修了レポートを提出する形式かを選べます。講習で学ぶ内容や受講料金はどちらの形式を選んでも同じですが、会場での受講は東京または大阪のみで開催日程も限られるため、都合のつきやすい受講形式を選ぶようにしましょう。
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「資格認定基礎講習について」/http://www.nutrition-management.jp/exam/basic_class.html)
なお、管理栄養士としての実務経験が2年に満たない方でも、基礎講習と認定審査を受けることで「栄養経営サポーター」としての登録が可能です。栄養経営サポーターになると、日本栄養経営実践協会が主催するセミナーが割引されるなどの特典が受けられます。
栄養経営士の資格認定試験の概要
栄養経営士の資格認定試験は、2021年からオンラインで受けられるIBT方式に変更されました。スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどインターネットに接続できる機器があれば、24時間いつでも受験可能です。
資格認定試験の概要は下記の通りです。
試験時間 | 80分間 |
---|---|
出題内容 |
・病棟業務管理 ・コスト管理 ・組織マネジメント ・人材教育マネジメント ・多職種協働コミュニケーション ・病態栄養 |
出題形式 | 5つの選択肢から1つ選んで回答 |
出題数 | 50問 |
合格基準 | 総得点の6割程度 |
受験料 | 9,500円(消費税・システム利用料を含む) |
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「栄養経営士資格認定試験実施概要」/http://www.nutrition-management.jp/exam/index.html)
試験を受ける際は、まず日本栄養経営実践協会のWebサイトからエントリーフォームに必要事項を入力しましょう。入力項目は「基礎講習の受講番号」「管理栄養士資格の取得日」「実務経験の有無」などです。
フォームから受験を申し込んだ後は、管理栄養士免許証のコピーと職務経歴書を郵送またはメールで提出してください。書類審査を通過すると、メールでIDとパスワードが送られてくるので、ログインして受験費用の決済を行えば試験を受けられます。
なお、合否結果は試験終了後すぐに確認することが可能です。試験に合格した後は、資格認定の登録申請や日本栄養経営実践協会への入会手続きなどを忘れずに行いましょう。
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「栄養経営士資格認定試験実施概要」/http://www.nutrition-management.jp/exam/index.html)
栄養経営士の試験合格率
2020年に行われた第11回の栄養経営士資格認定試験の合格率は75.4%でした。第1回から第11回までの累計でも、総受験者数1,267名のうち74.9%にあたる949名が合格しており、栄養経営士の資格認定試験の合格率は、おおよそ75%前後と言えるでしょう。
受験者の年齢分布を見ると、30〜40代の方が半分以上を占めています。
(出典:一般社団法人日本栄養経営実践協会「ニュースリリース第11回「栄養経営士」資格認定試験」/http://www.nutrition-management.jp/about/pdf/newsrelease_20201215_114.pdf)
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まとめ
栄養経営士は、管理栄養士として2年以上の実務経験がある方向けの民間資格で、所定の講習を受講すれば、オンラインでいつでも受験できます。栄養経営士を取得することで、栄養管理のマネジメントスキルを身に付けたことの証明になるでしょう。
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※当記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています
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