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言語聴覚士が少ない理由は?STの将来性と需要状況を解説

公開日:2023.09.13 更新日:2024.01.11

言語聴覚士が少ないのはなぜ?STの将来性と需要状況を解説

文:tokoshi(言語聴覚士)

言語聴覚士は、同じリハビリ職種である理学療法士や作業療法士と比較すると、全体の数が少ない状況にあります。場合によっては「需要のない職種なのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、実際は言語聴覚士の需要は年々高まりつつあります。本記事では「言語聴覚士の数が少ない理由」とともに、言語聴覚士の将来性や需要について解説します。

言語聴覚士(ST)は人手不足なのが現状

言語聴覚士は、2019年時点で有資格者数が約3万人であり、理学療法士や作業療法士と比較すると人材が少ないのが現状です。理学療法士は2019年時点で約17万人、作業療法士は約9万人の有資格者となっており、その後も増え続けていることから、大きな差があることがわかります。

また、2023年の国家資格受験者数においても、リハビリ職種のなかで、言語聴覚士が最も少ない結果となっています。

2023年 国家資格受験者数
理学療法士 12,948人
作業療法士 5,719人
言語聴覚士 2,515人

有資格者数や受験者数をみると、一見「言語聴覚士は需要がない職種」と思いがちですが、言語聴覚士は小児領域・成人領域ともに需要の高い職種です。

さらに、病院や施設、学校など就職先も幅広いことから、現場で言語聴覚士は「人手不足」となっています。

言語聴覚士(ST)が少ない3つの理由

言語聴覚士が少ないのはなぜ?STの将来性と需要状況を解説

需要が高い職種であるのにもかかわらず、なぜ言語聴覚士の有資格者数は理学療法士や作業療法士よりも少ないのでしょうか。言語聴覚士の有資格者数が少ない3つの理由は下記のとおりです。

1. 他のリハビリ職種よりも認知度が低い
2. 国家資格取得までのハードルが高い
3. ネガティブなイメージを持つ人が多い

順に詳しく解説していきます。

1.他のリハビリ職種よりも認知度が低い

言語聴覚士は、ケガをして整形外科や外科を受診した際にリハビリを受ける機会がある理学療法士や作業療法士に比べると、一般的に認知されにくい傾向にあります。

また、言語聴覚士は「歴史が浅い」ことも、認知度が低いもう1つの要因と言えます。理学療法士・作業療法士が国家資格として法制化されたのは1965年ですが、言語聴覚士は1997年と30年以上の開きがあります。

上記の理由から、他のリハビリ職種と比較すると認知度が低いゆえに、言語聴覚士を知る機会がなく目指す人が少ないのでしょう。

とはいえ、一般的に認知度は低いものの、医療業界や介護業界など、言語聴覚士が働ける現場での需要は高い傾向にあります。また、夜勤はなく、残業少なめの職種であり、ライフワークバランスがとりやすく働きやすい職種とも言えるでしょう。

2.国家資格取得までのハードルが高い

言語聴覚士になるには、国家資格に合格する必要があります。しかし、理学療法士や作業療法士と比較すると、言語聴覚士の国家資格合格率は低く、ハードルが高い印象があります。

実際に2023年の国家資格合格率をみると、言語聴覚士・理学療法士・作業療法士の中で、言語聴覚士が最も合格率が低くなっています。

2023年 国家資格合格率
理学療法士 87.4%
作業療法士 83.8%
言語聴覚士 67.4%

上記の結果をみると「言語聴覚士の資格を取得するのは難しい」と思われるかもしれません。しかし、試験内容としてはそこまで難易度が高いというわけではありません。

過去問題と類似する内容も多く出題されることから、基礎知識問題と過去出題問題の内容や傾向さえ押さえておけば合格に近づくでしょう。

実際に筆者は、アルバイトと学外実習をしながら国家試験の勉強をしていましたが、試験本番では8割正答で現役合格できました。

3.ネガティブなイメージを持つ人が多い

言語聴覚士に対して「転職しにくい」「給料が安い」といったネガティブなイメージを持つ人も多いようです。

実際のところ、言語聴覚士の求人は多い傾向にあります。筆者も、転職活動を始めて2週間で好条件の転職先が決まったことがあります。

転職をする度に、キャリアアップ・年収アップができており、経験を活かした転職で、年収アップがしやすい職種であると言えるでしょう。

言語聴覚士(ST)のニーズが高い3つの分野

言語聴覚士が少ないのはなぜ?STの将来性と需要状況を解説

言語聴覚士のニーズが高い勤務先は、下記のとおりです。

1. 病院・クリニック
2. 介護施設
3. 福祉・教育施設

順に詳しく解説します。

1.病院・クリニック

言語聴覚士の需要割合が最も大きいのは、病院・クリニックです。日本言語聴覚士協会の資料によると、協会員の60.27%が医療機関(一般病院、特定機能病院、診療所など)に所属しています。

主な勤務先としては、リハビリテーション科や小児科、耳鼻咽喉科などが挙げられます。
リハビリテーション科では嚥下障害や発語障害など、小児科では発達障害や口唇口蓋裂による発語障害など、耳鼻咽喉科であれば難聴が専門となることが多いでしょう。それぞれの勤務先によって専門領域が異なるため、自分に合った専門分野を選択できます。

2.介護施設

介護老人保健施設や居宅サービス事業所などの施設に訪問し、利用者さんへのリハビリを行います。介護施設は病院やクリニックなどに次いで、言語聴覚士の需要が高い分野です。介護施設では、集団リハビリやレクリエーションを交えたリハビリ内容が多くなっており、医療現場とは異なる雰囲気や、やりがいを感じられるでしょう。

3.福祉・教育施設

障害者福祉施設、小児療育センター、通園施設など、生活支援を主としたサービスを提供する福祉施設や、学校内に設置された通級者指導教室、特別支援学校(聴覚障害・知的障害・肢体不自由)など、教育支援を中心に行う施設での指導を行います。

介護施設では主に成人領域となりますが、福祉・教育分野では小児領域が主となるでしょう。言語の獲得や集団生活への参加促進、学校や幼稚園などへの情報提供支援など、業務内容は幅広く、成人領域とは違ったやりがいや面白さがあります。

言語聴覚士は、将来性のある職種

高齢化社会が進む日本において、言語聴覚士のニーズはますます大きくなりつつあります。その一方で有資格者数が少なく、医療や介護現場では「言語聴覚士の人手不足」となっています。

言語聴覚士は発語や嚥下などから、自分の得意な分野に特化できるため、ステップアップしやすい職種です。

就職先や転職先も多く、年収アップを目指しやすい傾向にあります。将来性を踏まえて、言語聴覚士としてのスキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。

■関連記事
言語聴覚士はやめたほうがいい?やめとけと言われる理由とは
言語聴覚士になるには?資格取得までの流れと学校選びのポイント

■参考
厚生労働省 第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省 第25回言語聴覚士国家試験の合格発表について
一般社団法人 日本言語聴覚士協会 言語聴覚士とは

tokoshi

tokoshi

言語聴覚士
回復期で失語症と高次脳機能障害を中心としたリハビリ業務に携わる。その後転職し、看取り施設で「最期の食事」を言語聴覚士として支援。現在は訪問リハビリやデイサービスでリハビリをしながらライターとしても活動しています。

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