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在宅医療・介護をテクノロジーで支える――臨床経験者たちの挑戦

公開日:2020.12.11 更新日:2021.04.07

取材・文:ナレッジリング(中澤仁美)

ビジネスチャットツールとして広く知られる「Chatwork」(Chatwork株式会社)と連携したサービスを提供する、AIケアプラン・介護記録ソフト「CareViewer」(日本KAIGOソフト株式会社)。2020年5月に実現された機能強化の詳細や、両社のコラボレーションに込められた熱い思いについて、関係者に話を伺いました。

コロナ禍で必要とされる「人と人をつなぐ」機能

CareViewerは、日本KAIGOソフトが介護現場のペーパーレス化を主眼に開発した介護ソフト。2019年にはChatwork社が提供するビジネスチャットツールChatworkと連携して、介護記録をグループチャットへ即時共有できるようにするなど、スタッフ向けの機能を強化していました。

その両社が、今回、連携を強化することになったいちばんの理由は、新型コロナウイルスの蔓延と、それが原因で行われるようになった介護事業所の面会制限です。そう、異常事態の中で認知機能やADLの低下が懸念されるご利用者様や、「(ご利用者様が)どういう状況なのかがわからず不安」という気持ちを抱えるご利用者様の家族のため、情報連携機能をパワーアップさせる必要があったのです。

その一環として、まず実施されたのがグループチャット数の拡大。従来の「1事業所につき1室まで」という制限を取り払い、ご利用者様や目的ごとに複数のグループチャットを作れるようになったのです。また、CareViewerで記録された写真を、各グループチャットで共有することも可能になりました。

もともとChatworkにはビデオ/音声通話機能が搭載されていましたが、そこに写真共有の機能が加わったことで、文字だけでは伝え切れなかったリアルなご利用者様の姿を、家族や他職種などに簡単に伝えられるようになったのです。

日本KAIGOソフトのグループ会社が運営するグループホーム「満快のふる郷 さくら東苗穂」で介護職員として働く柴田悠理さんによると、オンライン面会や写真・データ共有は、ご利用者様やその家族からも好評なのだとか。「最初は不慣れなビデオ通話に不安そうだったご家族も、ご利用者様と会話するうちにいつもどおりの表情に戻っていきます。

おかげで、『直接は会えなくても、こうして話したり様子を教えてもらえたりすることで、大きな安心感を得られました』と好意的な声をいただく機会も増えましたね」。

「満快のふる郷 さくら東苗穂」で、CareViewerを活用しながら働く介護職員の柴田悠理さん。

「介護現場を変えたい!」と手を組んだ両社の思い

そもそも両社が連携に踏み切った背景には、介護業界に対する共通の問題意識がありました。Chatwork社の執行役員である福田升二さんは、次のように説明します。

「日本企業のデジタル化をサポートしている私たちにとって、巨大産業でありながらICT化がなかなか進まない医療・介護分野は、優先的に取り組むべき領域の一つでした。非効率的なコミュニケーションのために問題が起こりやすく、それが結果的に人材不足にもつながっているように思えたのです」。

Chatwork株式会社で、執行役員CSO兼事業推進本部長を務める福田升二さん。

また、Chatwork社で営業などを担当する廣瀬和桂さんは、当時の経緯をこう話してくれました。

「多くの介護現場で、『記録や事務処理に時間がかかりすぎる』『情報が膨大でリアルタイムでの共有が難しい』といった声を聞いていました。そうした介護業界ならではの業務を効率化するにはどうしたらいいか? を模索する中で、その道のプロである日本KAIGOソフトさんに、『一緒に何かできないか』と相談させていただいたのです」。

日本KAIGOソフト側は、この申し出を快諾。同社で取締役兼CTOを務める福原亮さんは、「Chatwork社の取り組みは、うちのサービスにベストマッチだ」と感じたそうです。

「日々の記録をデジタル化するだけでなく、引き継ぎや申し送りといったさまざまな場面で情報共有がしやすくなれば、スタッフ間のコミュニケーションは大幅に改善されるはず。すでに広く普及・定着しているChatworkと連携できるなら、そうした便利な機能をいち早く現場に届けられると考えました」。

日本KAIGOソフト株式会社で、取締役兼CTOを務める福原亮さん。

介護現場では、ICT化が当たり前になる

CareViewerの記録用画面をのぞいてみると、「食事」「排泄」「移動」などの作業について、タブで詳細を選択したり、チェックを入れたりするだけで、簡単に記録が付けられることがわかります。そして、こうした記録内容や写真を、チャットルームを通じてご利用者様の家族や他職種にも簡単に共有できるわけです。

ちなみに「満快のふる郷 さくら東苗穂」では、従来1時間~1時間半程度かかっていた記録業務が、平均20分程度まで短縮されたというから驚きです。柴田さんには「他の業務の合間にサッと入力できるので、終業間際に一日の出来事を思い出しながら必死に文章を考える、という苦労がなくなりました」とそのメリットについて教えてくれました。

よりユーザビリティーの高いサービスを目指して、現場の“生の声”を開発に生かしているのもCareViewerの特徴です。CareViewerの開発を担当した欧(ルビ:おう)陽兪(ルビ:ようゆ)さんは、その点についてこう話してくれました。

「現場の意見を受けて、これまでさまざまな改良を施してきました。たとえば、アプリ版のタッチ領域の拡大もその一つです。現場では、動き回りながら入力するケースが多いので、年齢を重ねたスタッフだと細かな作業が難しかったりします。そこで、当初と比べて指でタッチしたときに反応するエリアを3倍程度に拡大したところ、以前より使いやすくなったと好評でした」。

そうした積み重ねもあって、「満快のふる郷 さくら東苗穂」では、とてもスムーズにCareViewerが導入できたそうです。「デジタル端末に慣れている若いスタッフが年配のスタッフに使い方を説明したのですが、誰もがほとんど苦労なく使い始められたことに驚きました」。

Chatwork株式会社で、事業推進本部セールス部アカウントセールス第1チームに所属する廣瀬和桂さん(写真左)。日本KAIGOソフト株式会社で、CareViewerの開発に従事する台湾出身の欧陽兪さん(写真右)。

日本KAIGOソフトの代表を務める中元秀昭さんは、デジタル化が介護現場にもたらすメリットは「極めて大きい」と話します。

「記録や情報共有にかかる手間を減らすことができれば、現場はご利用者様とじっくり向き合って、より良いケアが提供できます。それによって、ご利用者様やその家族の満足度アップにつながることはもちろん、働く人のモチベーションも格段に向上するはず。最終的には紙ベースの記録を完全に撤廃し、ポケットにスマートフォンが1台あればOKという現場環境を実現したいですね」。

ICT化で事務作業などの非本質的な業務を効率化し、そこから生まれた時間をご利用者様のために使う——。こうした取り組みが、「介護の質」の改善につながっていくことを期待しましょう。

日本KAIGOソフト株式会社の代表である中元秀昭さん。母体となるさくらCSホールディングス株式会社でも、代表取締役を務めている。

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