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新型コロナの影響で訪問リハビリはどう変わる?現状と今後について

公開日:2020.12.17

文:rana(らな)  理学療法士

新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の影響により、多くの介護事業所が営業の自粛や制限を余儀なくされ、厳しい経営状況に陥っています。

訪問リハビリにおいてはコロナ感染リスクの懸念から利用者のキャンセルや訪問の自粛などが続き、一人あたりの訪問件数が減少傾向にあります。そうした状況の中、新規・中途採用を積極的に行わなくなった事業所もあるようです。

今後の訪問リハビリ業界はどのように変わっていくのでしょうか。現場の状況やデータを踏まえながら考えてみましょう。

多くの介護事業所が経営状況に影響を受けている

全国介護事業者連盟は、2020年5月に「新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響について『緊急調査』(第二次)」を行いました。

この調査は全国の介護事業所の同年2月と4月時の売上減収割合を比較したもの。その結果多くの介護事業所で経営状況が悪化していることがわかりました。

その要因として、次の2点が挙げられます。

①利用者数の減少

新型コロナ感染リスクへの懸念から、利用者の訪問キャンセルや新規依頼の自粛などが増え、訪問リハビリを利用する人数が減少傾向にあります。その影響で収入が減少したことが、経営状況が悪化した一番の要因に挙げられるでしょう。

②感染防止用品の経費増大

新型コロナ感染を予防するため、マスクやアルコール消毒液、ペーパータオルといった備品が、それまで以上に多く必要になりました。

マスクやアルコール消毒液は一時、品薄になり、値段も高騰したため、必要経費が増えたことで経営を圧迫している点も要因に挙げられます。

新型コロナの影響による訪問リハビリの現状

訪問リハビリ現場では以下のような変化がみられます。

①訪問件数の減少

訪問リハビリの利用者は、コロナに感染すると重症化しやすいとされる高齢者が中心です。そのため感染を恐れて、「しばらくの間リハビリを休みたい」と申し出るケースが多くみられました。

また、利用者自身や家族がコロナ感染者との濃厚接触が発覚したことで、職員への感染を配慮してキャンセルすることもあり、全体的に訪問件数が減少している状況にありました。

②職員の人手不足

緊急事態宣言中は、子供の学校が休校になったため出勤できなかったり、早退をしたりする職員も出ました。

また、非常勤勤務者が中心となっている事業所では、感染を懸念して職員が出勤を自粛するといった対応をするところもあり、人手不足から、通常のサービス提供が十分できない事業所もあったようです。

③新規採用を見合わせる

新型コロナの影響を鑑み、何らかの要因で退職者が出ても積極的に新規採用を行わない事業所もあるようです。

実際の訪問件数が少ないうえ、コロナの感染予防として事業所内に出入りする人数を制限するところもあり、新たな職員を増やすことにリスクを感じてしまうのではないでしょうか。

結果として人手不足であったとしても、新規採用を行わない事業所もみられます。

訪問リハビリ業界の今後は?予想される変化

新型コロナの影響によって訪問リハビリ業界の経営状況は悪化してしまいましたが、今後はどのような状況になるのでしょうか。コロナの影響があったからこそ、次のような変化が予想されます。

介護保険申請件数が増える

活動を自粛して外出機会が減ったり、リハビリを休んだりしていることによって高齢者の廃用症候群が進行することが懸念されています。

また、新型コロナ感染を恐れて、介護サービスの利用を控えていた高齢者が、徐々に利用を再開していくことも予想できるでしょう。

そうした理由から、今後は介護保険申請件数が増えていくことが考えられます。

在宅ケアの需要が高まる

高齢者にとって、地域サロンや自治体の体操教室といった活動への参加は、心身の健康を維持するために必要なことです。

しかし、そうした活動が再開されていても、感染を懸念する高齢者は継続して参加を自粛するケースが考えられます。外出の機会がますます減ることで、さらに体調不安を感じる人もいるかもしれません。

感染リスクを避けるためには、大勢の人が集まらずに実施できる在宅ケアとしての訪問リハビリの需要が高まるのではないでしょうか。

訪問リハビリの需要増加により、採用件数も増えていく

コロナ感染予防対策としての活動自粛により、感染すると重症化しやすい高齢者は大幅に活動を制限されてしまいました。体を動かす機会が減り、高齢者の身体機能の低下は、今後社会的な問題になってくるのではないかと考えられます。

高齢者の介護予防を思えば、体を動かしてケアする機会が必要です。しかし、不特定多数の人が集まる場所でのケアは、感染のリスクが高く、実施が難しいでしょう。

その点、訪問リハビリは自宅でリハビリを行うため、病院や施設のような「密」を避けやすいのが大きなメリットです。今後も続く活動自粛により、要介護認定を受ける高齢者が増え、その受け皿となる訪問リハビリの需要が高まっていくことが予想されます。

今後人手不足の介護現場において、訪問リハビリ職員の採用件数も増えていくのではないでしょうか。これから就職・転職を考えている人にとっては、新たな働き方の選択肢を広げるチャンスといえるかもしれません。

<訪問リハビリについてもっと詳しく>
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【参考URL】
rana 理学療法士
理学療法士として総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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