在宅訪問管理栄養士とは?仕事内容・就職先・なるための条件・将来性

更新日 2022年11月11日 公開日 2022年08月17日

#情報収集 #転職検討/準備

医療機関や福祉施設に就職することの多い管理栄養士ですが、近年は「在宅訪問管理栄養士」を目指す管理栄養士も増えています。在宅訪問する管理栄養士とはどのような働き方で、なぜ注目されているのでしょうか。

当記事では、在宅訪問管理栄養士の業務内容や働き方、給料相場などを詳しく紹介していきます。また、在宅訪問管理栄養士のニーズや将来性、在宅訪問管理栄養士になるための流れについても解説するので、「管理栄養士として仕事の幅を広げたい」と考える方は、ぜひお役立てください。

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在宅訪問管理栄養士とは?

在宅訪問管理栄養士とは、在宅医療を必要とする療養者や要介護者が、安全で快適な生活を送ることができるよう、住み慣れた自宅で栄養ケアを行う管理栄養士のことです。

在宅訪問管理栄養士には、医師や看護師、薬剤師などと連携しつつ、在宅療養者の病状や状態に合わせた専門的な栄養相談・指導を行うことが求められます。

在宅療養者のなかには、入院や介護施設への入所を望まず、自宅で生活することにこだわりを持つ方もいます。そのため、自宅にいながらでも栄養バランスの取れた食事ができるように、療養者や家族の悩みに耳を傾けながらサポートすることが大切です。

仕事内容

管理栄養士は、在宅療養者の自宅に訪問し、栄養・食事指導を行います。訪問は療養者ごとに月に1〜2回、1回の訪問は30〜60分程度です。療養者の食事状況・栄養状態についてヒアリングし、食生活の問題を解決できるよう指導します。

栄養・食事指導の内容は、食事管理、偏食や病態などを改善するための提案、体重管理など多岐にわたります。また、療養者の食欲や食べものの好き嫌い、嚥下機能(飲み込む能力)の状態によって、一人ひとりに合わせた栄養指導を行うことも必要です。

訪問栄養相談を終えた後は、医師や看護師、ケアマネジャーなどと連携して、療養者や家族に寄り添った支援を考えます。栄養ケア内容の計画や見直し、今後の訪問の継続可否や終了時期などを判断するのも、管理栄養士の大事な役割です。

就職先

在宅訪問管理栄養士の就職先としては、医療保険が適用される「在宅患者訪問栄養食事指導」が可能な事業所や、介護保険が適用される「居宅療養管理指導」が可能な事業所が挙げられます。

在宅患者訪問栄養食事指導ができる事業所とは、病院やクリニック、診療所などの医療機関のことです。一方、居宅療養管理指導ができる事業所には、介護老人福祉施設や通所施設(デイケア)、ケアハウスなどが該当します。

また、なかには事業所に所属するだけでなく、指定事業所と契約してフリーランスとして働いている在宅訪問管理栄養士もいます。

最近では、在宅患者の訪問栄養指導サービスを開始した薬局が、管理栄養士を積極的に採用しているケースもあり、在宅訪問管理栄養士の活躍の場は少しずつ広がっているといえるでしょう。

給料相場

在宅訪問管理栄養士の年収は、医療機関や福祉施設などに勤務する管理栄養士とほぼ変わりません。

ちなみに、栄養士の平均年収は下表の通りです。

栄養士の年収
約374万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

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職場別の平均給与を公開

在宅訪問管理栄養士とその他の管理栄養士の平均年収に大きな差がないのは、在宅訪問管理栄養士の認知度がまだ高くないことが関係していると考えられます。

しかし、在宅訪問管理栄養士は高い専門性が必要な領域であるため、今後、在宅訪問管理栄養士の認知度が上がれば、賃金アップも期待できると思われます。先を見越して在宅訪問管理栄養士の資格を取得しておくと、転職・就職の際のアピールポイントになったり、仕事の幅が広がったりと、将来の可能性につながるでしょう。

在宅訪問管理栄養士になるには?

在宅訪問管理栄養士になるには、事前学習プログラムを受講し、認定試験とレポート審査に合格する必要があります。

また、次の2点が認定試験に申請する資格として必須です。1点目は、日本栄養士会の会員であり、日本在宅栄養管理学会の正会員で「管理栄養士」であること。2点目は、管理栄養士の登録から5年以上経過し、病院・診療所・高齢者施設などにおいて管理栄養士として従事した日数が通算で900日以上あること(週休2日と仮定して、3年6カ月以上の期間が必要)です。

(出典:一般社団法人日本在宅栄養管理学会 在宅訪問管理栄養士 認定制度について/https://www.houeiken.jp/nintei/

認定までの流れ

在宅訪問管理栄養士は、下記の流れに沿って認定されます。

1. 資料請求・申し込み 在宅訪問管理栄養士に興味がわいたら、まずは日本在宅栄養管理学会のホームページから資料請求をするのがおすすめです。資料を読み、認定試験の内容や受験資格、期間、受験費用などに問題がないかしっかり確認しましょう。

インターネット上で申し込みや受講料の入金を済ませた後、事前学習のテキストが送付されます。

2. 事前学習・確認テスト テキストを使用し、インターネットカレッジにて事前学習プログラムを受講します。インターネット上で学習を進めるため、自分の都合のよい時間に、好きな場所でプログラムを受講できます。

事前学習プログラムの内容は、在宅療養者の実態や関係法令などです。プログラム受講後には確認テストがあり、30問の設問で正答率が60%以上となれば合格です。

3. ファーストステップ学習 確認テスト合格後は、約10時間のファーストステップ学習プログラムを受講します。全14講義あり、訪問栄養食事指導の流れ、各病状に合わせた栄養管理方法などを学びます。

ファーストステップ学習を受講後、セカンドステップ学習と認定試験の受験申し込みを期日までに行いましょう。

4. セカンドステップ学習・認定試験 セカンドステップ学習は、事例による実践形式トレーニングのワークショップです。ワークショップは2日かけて行い、1日目は約6時間、2日目は約3時間のプログラムとなっています。

2日目のセカンドステップ学習終了後、60分の認定試験を行います。

5. レポート提出 認定試験合格後に控えているのが、「在宅訪問栄養食事指導実施・実践症例検討報告レポート」の提出です。実際に行った訪問栄養食事指導の内容などをまとめます。

認定試験の合格通知後、2カ月以内に提出しなければならないため注意が必要です。

6. 認定 レポート審査まで合格すると、在宅訪問管理栄養士として認定されます。認定資格の有効期限は5年間となり、更新する際は研修会などへの参加が必要になります。

認定試験の申込やレポートの提出など、期日が厳密に決まっている手順もあるため、注意する必要があります。

在宅訪問管理栄養士の需要・将来性

厚生労働省が「地域包括ケアシステム」を推進していることもあり、今後、在宅訪問管理栄養士の需要は高まると考えられます。

地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を長く続けられるように、地域ぐるみでサポート体制を整える取り組みです。この取り組みが進めば、病院や施設に入らず、自宅で過ごす高齢者がますます増加するでしょう。

しかし、在宅で生活する高齢者の場合、病院や施設のような徹底した食事管理ができず、栄養バランスが偏ることも考えられます。だからこそ、高齢者の自宅において専門的な食事・栄養改善を行うことができる在宅訪問管理栄養士の存在が必要とされるのです。

なお、管理栄養士を募集する調剤薬局のなかには、在宅訪問管理栄養士の資格取得を支援する事業所もあります。こうした動きが広まれば、現職で働きながら資格を取る以外にも、転職先で効率よく資格取得を目指せるケースが増えていくでしょう。

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まとめ

現在行われている地域包括ケアシステムの推進によって、在宅訪問管理栄養士への期待が高まっています。在宅訪問管理栄養士になるには、管理栄養士の資格取得に加えて、認定試験に合格することが必要です。在宅訪問管理栄養士の将来性や必要性を見据えて、認定試験にチャレンジしておけば、転職・就職活動の幅も広がるでしょう。

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