介護施設での栄養士の仕事内容|仕事で役立つ介護食士の資格とは?
栄養士は、特別養護老人ホーム、老人保健施設などの介護施設でも活躍できます。ただし、介護施設では他の職場と異なるスキルや経験が求められるケースも多いため、就職・転職をする際は、仕事の特徴を正しく理解することが大事です。
当記事では、介護の現場で栄養士が担う役割から、任される仕事の内容、やりがい、役立つスキルや資格までを詳しく解説します。介護施設で働くメリットにも触れるので、介護施設への就職・転職を検討している方は、ご一読ください。
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目次
栄養士として介護に関われる介護食士とは?
介護食士とは、要介護者の栄養管理や栄養指導についての専門的な知識を学び、心身の健康維持を支援できる人材であることを証明する資格です。介護食士として活動するには、全国調理職業訓練協会の認定施設で講習会を受講し、修了時の試験に合格する必要があります。介護食士1〜3級の受験資格や講習内容は、以下の通りです。
試験区分 | 民間資格 |
---|---|
受験資格 |
【3級】受講資格不要 【2級】介護食士3級を取得した方 【1級】介護食士2級を取得した後、2年以上介護食調理の実務に従事している25歳以上の方 |
講習内容 |
【3級】 【2級】 【1級】 |
主催団体 | 公益社団法人 全国調理職業訓練協会 |
(出典:全国調理職業訓練協会「介護食士講座・資格の種類」/https://www.kaigosyokushi.jp/qualifications/kaigosyokushi/courses/)
介護食士は、栄養士、調理師、介護福祉士などが、スキルアップのために取得することが多い資格です。栄養士が介護食士を取得すれば、就職・転職する際に、介護施設の献立作りや栄養ケア・マネジメントなどについての専門知識をアピールできるでしょう。
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介護食士を取得するメリット
介護施設における食事は、利用者さま一人ひとりがその人らしい日常を健やかに過ごすためにとても大事です。介護食士の有資格者は、専門知識をもとに利用者の状態に応じた献立を作成したり、栄養不足が懸念される方にエネルギーの摂取方法をアドバイスしたりできるため、食事の提供を通じて利用者さまの健康維持に貢献することができます。
また、日本では急速に高齢化が進行しており、2020年時点の65歳以上人口は3,619万人、高齢化率は28.8%にも上ります。そして内閣府の予測では、2065年に総人口の約2.6人に1人が65歳以上になるとされています。そのため、介護食のプロフェッショナルに対する需要は、今後さらに高まると考えられるでしょう。
(出典:内閣府「令和3年版高齢社会白書(概要版)」/https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/html/gaiyou/s1_1.html)
栄養士が介護食士を取得することは、時代に即した知識を身に付けることにつながります。高齢化社会において、幅広く活躍できる栄養士を目指したい方は、介護食士の資格取得を考えてみるのも良いでしょう。
加えて、介護食の専門知識を持つ人材は、高齢者向けのメニューを提供する飲食店や食品メーカーなどでも重宝されます。介護食士の資格取得は、栄養士の経験を生かしつつ、他の業界で活躍したい方にもおすすめです。
仕事内容から指導ポイント・職場探しまで
介護施設での栄養士の役割・仕事内容
介護施設で働く栄養士は、「食事」や「栄養」などの観点から利用者の健康を守る重要な存在です。栄養士が任される仕事内容は職場によって異なりますが、多くの介護施設で栄養士が担当する業務として、以下の2つが挙げられます。
食事提供
入居型の介護施設では、利用者さまに対して1日3回の食事(朝食・昼食・夕食)を提供するのが一般的です。一方、通所型の施設では、1回の食事だけを提供するケースが多く見られます。
食事を提供するにあたって栄養士が担当する主な業務は、以下の通りです。
●食事提供に関する栄養士の主な業務
- ・献立の作成
- ・食材の選択、発注、在庫管理
- ・調理方法の検討
- ・調理のサポート
介護施設の利用者さまのなかには、飲み込む能力が低下して、普通食を食べられない方もいらっしゃいます。そのため、利用者さまごとの状況を考慮しながら、刻み食やミキサー食など多様な形態の食事を用意することも、栄養士の重要な仕事と言えるでしょう。
また、介護施設では限られた時間のなかで準備・配膳することが求められるため、栄養士は調理師と連携して、効率的な調理方法や手順を検討する必要があります。
栄養ケア・マネジメント
栄養士は介護施設の利用者さまに対する、栄養ケアや栄養マネジメントも担当します。栄養ケア・栄養マネジメントとは、一人ひとりの食事量や運動量などを把握しつつ栄養ケア計画を作成し、食事を提供することです。栄養ケア計画を作成する際には、アレルギーの有無、食事形態なども考慮しなくてはなりません。
栄養ケアや栄養マネジメントは、介護スタッフなどと連携して進めるのが一般的です。栄養士は、食事と健康の専門家として栄養ケアや栄養マネジメントに参加し、介護施設の食事の質向上をサポートすることになります。
なお、2021年度の介護報酬改定では、栄養ケアや栄養マネジメントの強化が掲げられており、高齢者にとっての食の重要性が見直されています。介護施設における栄養士の役割は、今後さらに重要視されると考えて良いでしょう。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の概要(栄養関連)」/https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000818036.pdf)
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栄養士が介護施設で働くやりがい
前述したように、日本の高齢化がさらに進行すれば、介護施設で働く栄養士への需要が一層高まると予想されます。事実、2021年度の介護報酬改定を受けて、介護施設で働く栄養士が活躍する機会も広がりました。
(出典:公益社団法人日本栄養士会「介護報酬について」/https://www.dietitian.or.jp/data/nursing-reward/)
そうした状況を踏まえると、介護施設で働く栄養士には将来性があり、理想とするキャリアプランを実現しやすい環境だと言えます。
また、介護施設で働く栄養士は、以下のような場面でやりがいを感じることができるでしょう。
●栄養士がやりがいを感じる場面
- ・自分の作った献立が「おいしかった」と評価されたとき
- ・季節ごとのイベント食を企画し、利用者さまの食事に対する意欲を引き出せたとき
- ・食の細くなった利用者さまに喜ばれる献立を作成し、笑顔で完食してくれたとき
介護施設においては、栄養士が利用者さまの食事介助を担当し、状況を確認することもあります。介助中に「今日の食事はおいしかった」などの言葉を掛けてもらうことは、栄養士にとって非常に喜ばしく、献立作成や栄養ケア・マネジメントの苦労が報われたように感じられるでしょう。
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栄養士が介護施設で働く上で役立つスキル
栄養士が介護施設で働く際は、さまざまなスキルや経験が必要となります。たとえば、利用者さま本人や介護士から食事、健康に関する情報を引き出すには、十分なコミュニケーションスキルが必要です。その際は、「どのような食事であれば食べられるか」「食事に関して困っていることはないか」など、相手の状況や表情、話し方などを確認しながら対応することが求められるでしょう。
また、介護施設で働く栄養士は、会議に参加して介護職員や医師などと情報交換することもあります。専門分野が異なるスタッフとスムーズに情報交換するためにも、コミュニケーションスキルは大切です。
加えて、利用者さまとの会話や食事中の様子からニーズを汲み取った上で、一人ひとりに望ましい栄養ケア計画を作成し、ご家族に提案するのも栄養士の役割です。専門知識を持たない方に分かりやすく説明し、同意を得るためには、ある程度のプレゼンテーションスキルも必要になるでしょう。
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まとめ
介護施設で働く栄養士は、利用者さまに対する食事の提供、栄養ケア計画の作成・実践などの業務を担当します。介護施設で栄養士が活躍するためには、コミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルを身に付ける必要があるでしょう。
当記事を読んで、「介護施設で働いてみたい」と感じた栄養士の方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルのキャリアアドバイザーは、栄養士の就職・転職に精通しており、求人探しや応募書類の作成、面接のアドバイスまで、しっかりとサポートいたします。
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