【経験者が解説】訪問リハビリとは?仕事内容や働くメリット・注意点をご紹介

更新日 2025年12月04日 公開日 2025年12月10日

#訪問リハビリ

【経験者が解説】訪問リハビリとは?仕事内容や働くメリット・注意点をご紹介

文:内藤 かいせい(理学療法士)

訪問リハビリとはどんな種類のリハビリなのか、どのような仕事をするのか気になる方もいるのではないでしょうか。訪問リハビリは利用者さんの自宅に訪問し、リハビリを実施するサービスであり、医療機関とは大きく異なる特徴を持っています。

この記事では、訪問リハビリ経験者である筆者が仕事内容や1日のスケジュール、その職場で働くメリットなどをご紹介します。どのような仕事なのかを知ることで、訪問リハビリで働くかどうかを決めるきっかけとなるでしょう。

訪問リハビリとは?

訪問リハビリとは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が利用者さんの自宅に訪問し、リハビリを提供するサービスです。このサービスの大きなメリットは、病院や施設に通うことが困難な方でも、住み慣れた環境でリハビリを受けられる点です。

さらに実際の生活の場でリハビリを行えるので、より実用的な支援ができます。このように、訪問リハビリは、利用者さんが自立した生活を送れるよう支援し、生活の質の向上を目指すサービスといえるでしょう。

訪問リハビリでの仕事内容

訪問リハビリでの仕事内容
訪問リハビリに勤めるリハビリ職は、実際にどのような仕事を行っているのでしょうか。ここでは、具体的な仕事内容について解説します。

訪問先での業務

訪問先では、利用者さんの健康状態の確認からリハビリの実施までの業務を行うのが特徴です。具体的な業務内容として、まず血圧や脈拍、体温測定などのバイタルチェックからはじまります。続いて食事や排泄状況などを確認しつつ、利用者さんの体調にあわせてリハビリを実施します。

おもなリハビリ内容としては、以下のとおりです。

・歩行練習
・筋力トレーニング
・可動域訓練
・日常生活動作練習

さらに、手すりの設置や段差の解消などの住環境整備のアドバイス、適切な福祉用具の選択と使用方法の指導を行うこともあります。利用者さんに急変があった場合の対応や連絡、ご家族への介助方法の指導や相談対応も欠かせません。

事業所内での業務

事業所内で行う業務としては、記録の作成や関係機関との連携などです。定期的な書類業務としては、リハビリを行う際に必要なリハビリテーション計画書の作成や更新があげられます。利用者さんの状態にあわせて適切な計画を立案し、定期的に見直しを行います。

そのほかの業務としては、以下のとおりです。

・訪問後のカルテの記載
・報告書の作成
・医師や他の医療専門職との連絡・調整
・翌日の訪問スケジュールの確認

訪問リハビリでの1日の仕事スケジュール

ここでは、訪問リハビリの1日のスケジュールについてみていきましょう。具体的なスケジュールの例については、以下のとおりです。

時間 内容
8:30 出勤・スケジュールの確認
8:50 朝礼・訪問の準備
9:00 訪問開始
12:00 昼休憩
13:00 訪問開始
16:30 事業所に到着・書類業務
17:00 退勤

1日の訪問件数の目安は4〜6件で、日によってカンファレンスが行われることもあります。

訪問リハビリのおもな対象者

訪問リハビリの対象者は、以下のとおりです。

・要支援1から要介護5までの要介護認定を受けている方
・主治医から訪問リハビリが必要であると判断された方

これらの要件を満たした方であれば利用できるため、対象者は幅広いのが特徴です。筋力低下により歩行が困難になった方や日常生活動作に不安を感じる方など、さまざまな方が訪問リハビリを利用できます。1回のリハビリ時間は利用者の希望によりますが、40〜60分が目安です。

訪問リハビリで働くメリット

訪問リハビリで働くメリット

リハビリ職が訪問リハビリで働くメリットには、どのようなものがあげられるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットを解説します。

実際に利用者さんが住む環境でリハビリができる

訪問リハビリのメリットは、利用者さんが実際に生活している環境でリハビリを行える点です。そのため、病院や施設よりも日常生活に直結したリハビリが可能となります。たとえば、自宅内の段差の乗り越えや普段使っているトイレでの立ち座り動作など、生活に必要な動作をその場で確認・練習できます。

また家具の配置や福祉用具の選定など、利用者さんの生活環境にあわせたアドバイスも行えるでしょう。このように実生活に密着したリハビリができることで、日常生活の質向上につながりやすくなります。

給料が高い傾向にある

訪問リハビリは、給料が高い傾向にあるのもメリットの一つです。そのおもな理由として、インセンティブ制度を導入していることがあげられます。一般的な病院や介護施設では固定給が中心ですが、訪問リハビリでは訪問件数に応じて報酬が基本給に上乗せされる場合があります。このような制度により、頑張った分だけ収入に反映されるため、やりがいを感じながら高収入を目指せるのです。令和6年度のリハビリ職の平均年収は「約444万円」とされていますが、訪問リハビリであればそれ以上の収入を得られる可能性があります。このように、収入アップが期待できる点が訪問リハビリの大きな魅力といえるでしょう。

残業が少ない傾向にある

訪問リハビリは、ほかの医療機関や介護施設と比べて残業が少ない傾向にあります。病院や施設では、リハビリ終了後に事務所に戻ってから記録作業やカルテ記入を行うことが多いです。

しかし、訪問リハビリでは移動時間の合間や訪問先での待機時間を有効活用して書類作業を進められます。

そのため、業務終了時刻になっても大量の事務作業が残っているという状況が起こりにくいのです。

また、訪問リハビリは1日の訪問件数がある程度決まっており、予定された訪問が終われば基本的に業務完了です。訪問リハビリはプライベートとの両立がしやすく、働きやすい職場環境といえるでしょう。

訪問リハビリで働く際に大変に感じる点

訪問リハビリで働く際に大変に感じる点

訪問リハビリは多くのメリットがある反面、大変に感じる場面も少なくありません。ここでは、訪問リハビリで大変に感じる点についてご紹介します。

職場によって移動手段が異なる

訪問リハビリは、職場によって訪問時の移動手段が異なります。車や自転車だけでなく、場所によっては原付で移動する事業所もあります。自転車での移動の場合、体力面での負担が大きくなり、重い機材を持参する場合はさらに大変となるでしょう。

一方で、自動車での移動だとしても細い住宅街の道路を通ったり、狭い駐車場に駐車したりするケースがあります。普段運転に慣れていない方や、ペーパードライバーの方にとっては、毎日の移動そのものがストレスとなる可能性があります。移動手段の違いは日々の業務に大きな影響を与えるため、求人を探す際には事前に移動方法を確認することが重要です。

交通状況や天候に影響を受けやすい

移動に関連して、さらに交通状況や天候の変化に大きく左右されることが多い傾向にあります。とくに雨や雪の日は、移動時間に大きく影響する可能性があります。交通状況についても、道路工事や交通渋滞によって普段のルートが使えず、大幅な迂回が必要となる場合も少なくありません。

これにより次の訪問が遅れ、一日のスケジュール全体に影響を与える恐れもあります。このような状況に対応するためには、余裕をもったスケジュール設定と、急な変更に対する柔軟な対応力が求められます。

訪問先のトラブルは自分で対応する必要がある

訪問先のトラブルは自分で対応する必要があることも、大変な点です。訪問リハビリでは、基本的に1人で利用者さんの自宅を訪問することになります。そのため、現場でなんらかのトラブルが発生した際には、自分自身で初期対応を行わなければいけません。病院や施設とは異なり、同僚や上司が近くにいる環境ではないため、冷静な判断力と適切な対応スキルが求められます。

トラブルが発生した場合は事業所に電話で連絡を取り、指示を仰ぐことになるので、完全に1人で対応するわけではありません。しかし、このような責任の重さは大きなプレッシャーとなることがあります。

訪問リハビリに向いている方の特徴

訪問リハビリに向いている方の特徴

訪問リハビリに向いている方は、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、その特徴について解説します。

在宅でのリハビリに興味がある方

在宅でのリハビリに強い関心を持っている方は、訪問リハビリがおすすめといえます。先述したように、病院や施設でのリハビリとは異なり、訪問リハビリでは利用者さんの実際の住環境にあわせたアプローチができます。

さらに、在宅でのリハビリを通じて利用者さんの生活全体を把握し、福祉用具の選定や住宅改修の提案なども適切に行えるでしょう。このように、在宅でのリハビリに興味があり、利用者さんの生活環境を重視したサポートを行いたい方にとって、訪問リハビリは理想的な働き方といえます。

コミュニケーションが得意な方

コミュニケーション能力に長けている方は、訪問リハビリに向いています。訪問リハビリは一対一の個別対応が基本となり、利用者さんとじっくり向き合いながらリハビリを進めます。利用者さんの体調や気持ちの変化を察知し、適切な声かけや励ましを行うことで、リハビリへの意欲を高められるのです。

また、ご家族に対しても介助方法や注意点を分かりやすく説明し、不安や疑問に寄り添いながら答えることも求められます。このように、さまざまな方との円滑なコミュニケーションを通じて、利用者さんに貢献できる方は、訪問リハビリに適しているといえるでしょう。

移動が苦ではない方

移動することに抵抗がない方は、訪問リハビリの仕事に向いています。訪問リハビリでは、車や自転車を使って利用者さんの自宅を訪問するため、移動時間や体力的な負担がかかります。狭い住宅や階段の多い家など、訪問先に応じた環境にも対応しなければいけません。

しかし、移動を苦に感じず、利用者さんの生活に密着したリハビリを提供できる方はおすすめの職場といえるでしょう。

訪問リハビリに向いていない方の特徴

訪問リハビリに向いていない方の特徴

その方の希望によっては、訪問リハビリに向いていない方もいます。ここでは、訪問リハビリに向いていない方の特徴を解説します。

【車訪問の場合】車の免許を持っていない方

車を使用した訪問リハビリの場合、車の免許を持っていない方には向いていません。多くの訪問リハビリ事業所では、利用者さんのお宅への移動手段として自動車を使用しています。そのため、運転免許証の取得が応募の必要条件として明記されていることがほとんどです。

また、狭い住宅街の道路や限られた駐車スペースでの運転技術も求められるため、ペーパードライバーの方にとっても難易度が高い環境といえるでしょう。免許を持っていない方が訪問リハビリで働くためには、自転車を使用する事業所を探すか、免許を取得してから応募することをおすすめします。

さまざまな症例を経験したい方

さまざまな症例を経験したい方には、訪問リハビリよりも病院などの医療機関の方が適している場合があります。訪問リハビリを利用される方の多くは、維持期の段階にあります。そのため、急性期や回復期とは異なり、大幅な機能改善が期待できる症例に関わる機会は限られるでしょう。

一方、病院では急性期から回復期、維持期まで幅広い段階の患者さんと関わる機会が多いといえます。多様な症例経験を積みたい方は、まず病院での経験を重ねてから訪問リハビリに挑戦するのがおすすめです。

リハビリ機器を活用したい方

リハビリ機器を積極的に活用したい方は、訪問リハビリは向いていない場合があります。訪問リハビリでは、持参できる道具に制限があります。簡易的な訓練用具であれば使用できますが、平行棒やトレーニングマシンなどは活用できません。

利用者さんのお宅のスペースにも限りがあるため、広いリハビリ室で行うようなリハビリは実現が難しいのが現状です。最新のリハビリ機器を使って幅広い治療技術を身につけたい方は、設備の整った医療機関での勤務がおすすめです。

訪問リハビリの仕事内容やメリットをおさえておこう

訪問リハビリは利用者さんの自宅でリハビリを行うため、実生活に即したアプローチができるメリットがあります。そのほかにも、給料が高く残業が少ない傾向にあるメリットがある一方で、移動が大変だと感じる場面も少なくありません。

訪問リハビリがおすすめな方は、在宅に興味がある方やコミュニケーションが得意な方などがあげられます。ぜひ今回の記事を参考にして、訪問リハビリの特徴をおさえておきましょう。

参考

政府統計の総合窓口|令和6年賃金構造基本統計調査

【監修者コメント】
訪問リハビリは、「生活の場」で課題を捉え、動作・環境・支援者を含めて解決していく実践的なフィールドです。病院のように整えられた空間ではないからこそ、転倒リスクの見直し、福祉用具の最適化、介助者の負担低減など、生活に直結する成果を生みやすい特徴があります。一方で、天候や交通、単独訪問時の判断など、現場対応力が求められます。負荷を下げる工夫(移乗の補助具、ルート計画、情報共有の仕組み)と、主治医・ケアマネ・看護・福祉用具との連携が整うほど、療法士の負担は確実に軽くなり、アウトカムも安定します。訪問を選ぶか迷う方は、「生活に密着した支援に魅力を感じるか」「多職種と協働することが好きか」を軸に検討すると良いでしょう。自分の強みを活かせる環境で、無理なく継続できる働き方を見つけてください。

著者プロフィール

内藤 かいせい

理学療法士

理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。

監修者プロフィール

関 勇宇大

理学療法士

2014年、理学療法士免許を取得。回復期リハビリテーション病院にて、脳血管障害患者を中心にリハビリテーション計画を立案し、早期社会復帰を支援。訪問リハビリでは、在宅療養者とその家族に対し、生活環境に即した個別支援を提供。臨床経験で培った専門的知見をもとに、現在は医療ライターとして活動。運動療法クラウドサービス『リハサク』では、運動メニューの解説・動画制作も担当し、医療と表現の両面から、実用性と信頼性の高い情報発信を行っている。

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