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日本初! アジア理学療法フォーラム開催(その2)~予防理学療法の具体例、歩行支援ロボットの実際2017.11.06

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福祉機器展を見学するアジアPTフォーラムの参加者

前回の日本理学療法士協会主催、アジア理学療法フォーラム学会についてでは、内閣官房健康・医療戦略室共催フォーラム開催で目指すものと、「アジア健康構想」について解説しました。今回は予防理学療法の具体例、歩行支援ロボットの実際について解説します。

予防理学療法の具体例~疫学的にみた特徴~
筑波大学大学院准教授 山田 実 さん

2000年に創設された介護保険制度は、2006年の改正で予防給付が導入されました。介護保険認定者が増えて、社会保障費の増大につながっているからです。

日本の高齢化は世界に先駆けており、2016年において高齢者化率27%、75歳以上の高齢者は人口の13%です。こうした中で、フレイル(虚弱)やサルコペニア(骨格筋量や筋力の低下)は、転倒、入院、死亡などの健康被害をもたらす大きなリスクとなっており、それを予防するためのプログラムが地域住民に対して提供されています。フレイル状態になっても、適切な対応により回復が可能な例もあります。フレイルには、身体的な要素だけでなく、うつや認知機能など社会的な要素が含まれます。身体的フレイルには、関節、骨、筋肉の衰えなどがあります。また、サルコペニアは、運動不足や栄養不良や不健全な生活環境が影響しています。

フレイルの基準は、①動作の緩慢さ(歩行速度の低下)、②筋力の低下、③活動性の低下、④倦怠感・疲労感、⑤体重減少の5つに集約されます。日本では高齢者の10%、前期高齢者4%、後期高齢者16%、85歳以上34%がフレイルに該当します。フレイル高齢者は、転倒のリスクが高まり、医療費支出も増えます。

フレイルの改善には、乳製品の摂取や運動習慣が必要で、社会的な参加が少ないと進行リスクが高まります。フレイルの予防と介入においては、運動プログラムが重要で、我々のメタ分析によれば、週2回から3回、1時間程度の筋力トレーニングを12週間以上続けることが有効と示されており、転倒も減少しています。

一方のサルコペニアは、加齢や筋肉の廃用、内分泌疾患、栄養不良などに伴う骨格筋の減少で、高齢者がフレイルに陥る大きな原因となります。予防には、十分な蛋白質の摂取が必要で、運動と栄養摂取のみが重要な介入であると考えられます。

高齢者に3カ月の筋力トレーニングとアミノ酸のサプリメントを摂取してもらったところ、筋肉量や筋力の増強に効果的だという結果が得られています。メタ分析によれば、運動と蛋白質の組み合わせは、運動単独よりも効果が高いことが示されています。

歩行支援ロボットの実際
藤田保健衛生大学助教 谷川 広樹 さん

藤田保健衛生大学では、国内最大のリハビリ施設があり、入院患者の約35%がリハビリ治療を受けています。また、臨床研究を通じて、患者の運動の計測を行い、評価や改善にもつなげています。さらに、障害を持った人々の自立支援を促すようなロボットや、介護者の負担を軽減するロボットの開発にも取り組んでいます。
中でも活動へ介入することで人を支援するロボットを活動支援ロボット(activity assist robot:AAR)は、トヨタ自動車と共同開発しています。

脳卒中などによる片麻痺患者に対しては、従来、長下肢装具とか短下肢装具を使って運動を行います。長下肢装具は安定しているが、膝が曲がらず足を振り出すのが困難です。一方、短下肢装具は、足を曲げた時に膝が落ちる危険性があります。脳卒中患者は、まず長下肢装具でリハビリを始め、次に短下肢装具を使いますが、長下肢装具では実際の歩行パターンを再現できず、患者のモチベーション低下にもつながっていました。

我々が共同開発した「Welwalk」というロボットは、片側麻痺患者の関節のリハビリに使われています。長下肢装具のように膝を守る一方、短下肢装具のように足を振り出せ、歩行をアシストできるのが利点です。
重度の脳卒中患者は、急性期段階から歩行トレーニングを始めることが大事ですが、安全ベルトにモニターも付いていて、患者の状況を確認しながら進められます。ロボットは、足の振り出しや膝の屈曲を補助してくれます。膝部分にモーターがあり、角度や過重のセンサーも付いていて、これらのセンサーから情報を得た情報をコンピューターが膝のモーターに伝える仕組みです。
PTは、膝の屈曲角度や体の重心がどのように移動したかなど、様々なパラメーターを確認し調整できます。また、効果的な警告を鳴らすことにより、患者も1番適切な姿勢を取れる。記録とフィードバックが容易にできるというメリットもあります。
「Welwalk」は日本国内の30病院で試行的に用いられており、さらなる改善を目指して研究を続けています。

―――今回が初の試みだったアジア理学療法フォーラムでは、様々な意見・事例が共有されました。これを機に相互交流が深まることが望まれています。

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