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回復期リハビリチームにロボットも仲間入り?

公開日:2015.04.22 更新日:2015.04.30

介護分野へのロボット導入は、人材不足や介護対象者である高齢者の増加に対する解決策のひとつとしてしばしばニュースにもなり、次々と新しいロボットが紹介されています。
一方で、回復期のリハビリにはひとりの患者さんに対して、さまざまな医療従事者や家族と立場や役割の異なる人が連携し合って進めていくため、現場へのロボットの導入については賛否どちらの声もあるでしょう。
ここでは、現在開発が行われているリハビリ用ロボットの紹介と、既に導入されている一例として回復期リハビリテーション病棟を紹介します。そして、これからのロボットとセラピストの関係性についてリポートします。

自動車メーカーがリハビリ支援ロボットを医療機関へ導入開始

2014年12月18日、トヨタ自動車からリハビリをサポートするロボットの医療機関への導入が発表されました。導入されたのは鵜飼リハビリテーション病院(愛知県名古屋市)のほか、33の医療機関に対して、歩行練習アシストロボット23台、バランス練習アシストロボット21台です。導入したロボットによるリハビリの効果などの検証を続け、早期実用化に向けて研究開発を行っていきます。
歩行練習アシストロボットは脚に直接装着して、脚を前に振り出す動作、膝を伸ばして体重を支える動作のサポートを行います。バランス練習アシストロボットは立ち乗り型で、前後左右の体重移動をゲーム感覚でモニターを見ながら行い、バランス機能を回復させていくものです。使用者の回復に合わせて難易度を変える機能があります。

回復期のリハビリに導入されているロボットの事例

福岡リハビリテーション病院は、2011年10月1日に、福岡市内の回復期病院として初めてロボットスーツHAL®を導入したことで注目されています。HAL®は、筑波大学の山海嘉之教授が開発した世界初のサイボーグ型ロボットスーツです。2010年より全国にレンタルが開始され、2012年時点で国内では約140の施設病院で使用されています。国内だけでなく、ドイツ、スウェーデン、デンマークなどヨーロッパをはじめ、世界的にも導入が進んでいます。
ロボットスーツの仕組みは人が身体を動かそうとするときに皮膚表面に現れる生体電気信号をセンサーで読み取り、ロボットスーツのパワーユニットにその情報を伝え、装着者の筋肉をロボットも一体となって動かすというものです。
こちらの病院では主に脳卒中、脊髄疾患の患者さんに、回復期のリハビリで活用されています。ロボットスーツを使用してのリハビリは、回復期に入ったら可能な限り早く始めたほうが正しい歩き方が身につき、歩行能力が向上すると病院側は考えています。同時に、今後はより客観的有効性を証明していかなければならないでしょう。

ロボットを理解しているセラピストが必要

トヨタ自動車は介護・医療支援向けパートナーロボット開発を藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)とともに行ってきました。このようにロボットが導入される現場とそれを使用する患者さんの両方をよくわかっているセラピストがいなければ、本当に必要とされているリハビリロボットが開発され、実用化されていくことは難しいでしょう。
患者さんのリハビリにとって有効なロボットが現場に導入されるようになれば、一定基準のリハビリがどこのリハビリ病院でも共通して実施されるというメリットがあります。ただ、ロボットを利用した歩行運動の習得は、人間が歩くことを覚える学習システムとはかなりかけ離れているのも事実です。障害物、ちょっとした坂道などの外部環境や感情による歩行調整(ヒューマンアイデンティティー)などにおいては、セラピストにしかできないリハビリが必要となるでしょう。セラピストには、患者さんをよく診て、ロボットにできることと人間にしかできないことの的確な判断が求められます。
ロボットも人間もどちらも完璧な存在ではありません。ロボットの特性を理解し、患者さんとロボットをつなげるセラピストが増えていくことで、リハビリの現場でロボットもチームメンバーのひとりとして共存し、最大限の力を発揮できるようになるでしょう。

 

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