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セラピストと医師にアンケート調査! お互いのコミュニケーション評価は?

公開日:2016.06.20 更新日:2016.07.01

患者さんのリハビリについて、セラピストは医師とコミュニケーションを取らなければならない場面がたくさんあります。そこで理学療法士と整形外科医の場合、お互いの意思疎通について認識のズレはどれくらいあるのでしょうか? カナダのマニトバ大学が行った調査の結果をご紹介します。

理学療法士と整形外科医にアンケート調査を実施

術後の患者さんのリハビリを行うために医師から与えられた情報は完全か。その情報に加えてさらに説明を求める必要があったか。そういったコミュニケーションの質について、セラピストと医師はどのように認識しているのでしょうか? その実態を調べるため、研究者は各専門家にアンケート調査を行いました。
研究者がこの研究で特に注目したのは「コミュニケーションの質に関して双方とも同じ認識を持っているかどうか」と「協働で患者さんを診られる環境を作れば、その認識が良い方向に変わるのか」という2点です。
今回のアンケートには、687名の理学療法士(物理療法の担当者524名、運動療法の担当者163名)と、164名の整形外科医が回答しました。なお、このアンケートでは主に、質問に対し5段階評定で答える「リッカート尺度」を用いています。

立場によって評価が異なるコミュニケーション

自分と他者とのコミュニケーションが「いかに優れているか」、「どういう形になればより好ましいか」、両者の感じ方や考えが必ずしも同じとは限りません。今回の研究では、セラピストと医師の間で認識の差が確認されました。
まず、「医師からセラピストへ情報を伝える際の、コミュニケーションの質」の評価結果は以下のとおりです。

  • 医師の回答平均:4
  • セラピストの回答平均:3

さらに、「医師からのリハビリの指示に不明瞭な点がある」という文に対しては、次の結果が出ました。

  • 医師の回答平均:2(上記の文にあまり同意しない)
  • セラピストの回答平均:3(上記の文に対して中立)

また、「医師からセラピストへ情報を伝える際のコミュニケーションの質」に関して、自由な見解を述べられる文章形式の回答欄でも、やはり立場による決定的な差異が見られます。

  • ポジティブな回答をした医師:約50%
  • ポジティブな回答をしたセラピスト:約18%
  • ネガティブな回答をした医師:約9%
  • ネガティブな回答をしたセラピスト:約58%

以上のように、全体的に見て医師は自身のコミュニケーションの質を高く評価しているものの、情報を受け取る側であるセラピストからの評価はそれよりも低いという結果になりました。

また好ましいコミュニケーション方法についても、セラピストと医師では好みが異なるようです。

  • 医師が好む方法:印刷されたリハビリ計画書
  • セラピストが好む方法:診察ノートと手術内容の報告書

医師がリハビリ内容の書類を望む一方で、セラピストは「患者さんの状態を自分でも把握するほうが業務を行いやすい」と感じていることがうかがえます。

職場環境がコミュニケーション評価に影響を与える

大変興味深いことに、アンケート調査においてコミュニケーションの質に関する認識に差異が見られたのは、セラピストと医師の間だけではありません。職場環境によっても回答に差が見られたといいます。協働的な職場環境は、やはりコミュニケーションの質を良くする要だといえそうです。
先ほどご紹介した「医師からセラピストへ情報を伝える際のコミュニケーションの質」に関する文章形式の回答において、ポジティブな見解を述べた回答者(セラピストと医師の両方を含む)の割合は、職場環境別にみると以下のとおりです。

  1. セラピストが整形外科とは孤立した環境で働いている:約14%
  2. セラピストが整形外科と同じの建物の中で働いている:約40%
  3. セラピストが整形外科と同じの建物の中で、医師と協働的に働いている:約48%

1はセラピストが整形外科とは独立した環境(リハビリ専門クリニックなど)で働いている場合、2は整形外科と同じ建物(病院など)で働いている場合、そして、3はそれに加えて整形外科医と一緒に患者さんを診る時間を持っている場合です。やはり協働しやすい環境で働く医療スタッフほど、コミュニケーションに対してポジティブな回答をしていることがわかります。

立場や職場環境によって、医療チームメンバーそれぞれのコミュニケーション評価はずいぶん異なるようです。その「認識のズレ」を理解しておくことは、医師とのコミュニケーションの円滑化や業務改善を図るうえで重要かもしれません。

 

【参考URL】
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