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第3回脳卒中の患者さんは自身の歩調の乱れに気づかない?

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脳卒中の患者さんの歩行矯正訓練に励んでいると、改善が困難に思えることはありませんか? たとえ身体的な能力が十分に回復している患者さんであっても、同じような状況に陥る場合があります。
こうした歩行矯正の行き詰まりは、もしかしたら「患者さん自身が改善すべき点を認識できていないこと」がひとつの原因かもしれません。つまり、患者さんに問題点を認識してもらうことは、リハビリを進める際に役立つ可能性があります。
そこで今回は、米国理学療法協会(APTA)の学会誌『フィジカル・セラピー』より、非対称性歩行についての論文をご紹介しましょう。患者さんが歩く際にどの程度で非対称性に気づくものか、その認識能力について調べた研究です。ぜひ参考にしてみてください。

Individuals Poststroke Do Not Perceive Their Spatiotemporal Gait Asymmetries as Abnormal

脳卒中の患者さんは歩調の非対称性を異常として知覚できない
The University of North Carolina at Chapell Hill (UNC)
Clinton J. Wutzke、Richard A. Faldowski、Michael D. Lewek

研究テーマ

脳卒中の患者さんは慢性期まで非対称性歩行が続きます。神経筋は左右対称な歩調で歩くのに十分な状態であるにも関わらず、「足を前へ出すテンポ」や「歩幅」が、左右非対称のままになってしまうのです。
こうした歩行異常が慢性期にまで残るのは、それが異常だと認識できていないことが原因かもしれません。脳卒中後に歩調が乱れるようになったのに、それを「普通だ」と誤認している可能性があります。
この研究の目的は、脳卒中の患者さんが通常の歩行によって、自身の歩調の非対称性に(無意識な感知を含め)気づくことができるかどうかを確認することです。

研究方法

観察に基づく研究を行うため、脳卒中の患者さんに「地面(平らな床)の上」と「トレッドミルの上」を歩いてもらい、データを収集しました。被験者は30名で、そのうち、歩調の非対称性が重度である患者さんはほんの数名です。
なお、この実験で使用したトレッドミルは、ベルトが縦2本に分かれています。研究者は左右のベルトを異なる速度(0~70%)で動かすことができ、これによって、軽度から重度の左右非対称な歩行を被験者に強いることができるのです。
また、被験者にトレッドミルの上を歩いてもらう際には、「ベルトの速さが左右非対称になっていると感じたら知らせるように」と伝えていました。

  • 被験者がはっきりと異常に気付いた時点の非対称性の大きさ
  • 被験者がぼんやりと潜在意識で異常を感じ取った時点の非対称性の大きさ

研究者は上記の2つを記録し、被験者が普通に地面を歩いたときに生じる非対称性の大きさと比較しました。

研究結果

研究の結果、被験者がはっきりと異常に気づき始めるのは、通常通りに地面を歩いたときや、ぼんやりと潜在意識で異常を感じ取った時点の非対称性よりも、大きな差異を経験したときであることがわかりました。「足を前へ出すテンポ」と「歩幅」のいずれが非対称である場合においても、結果は同様でした。
また左右のベルトの速度が異なることに被験者が気づくのは、自身が歩行する上で非対称になっている要素(足を出すテンポまたは歩幅のいずれか)が認識されたときである様子でした。

結論

歩行の非対称性を患者さんに気づいてもらうためには、普通に地面を歩く際に生じる程度を越える非対称性が必要であることを示唆しています。したがって、長期的な歩行矯正と訓練を行うにあたり、非対称な歩行パターンを理解してもらうためには、(今回トレッドミルを使ったように)患者さんに通常の歩行を超える非対称性を経験してもらう必要があるかもしれません。

研究結果の限界

重度歩行非対称性をもつ患者は少数のみがテストされました。患者は動きよりもトレッドミルの速さを識別するように指示されました。

Reprinted from Phys Ther. 2015;95(9):1244-1253, with permission of the American Physical Therapy Association. ©2015 American Physical Therapy Association. APTA is not responsible for the translation from English.
 
(この記事は、米国理学療法協会(APTA)の学会誌『フィジカル・セラピー』95巻9号1244 ~1253頁に掲載された論文の概要を翻訳したものであり、セラピストプラスが同協会の許可を得て作成および掲載しています。論文概要の著作権はAPTAにあると同時に、同協会は翻訳文について一切の責任を負いません。)

参考URL

米国理学療法協会・学術誌 『Journal of the American Physical Therapy Association』


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