医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マイナビコメディカル
マイナビコメディカル

医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

セラピストプラス

マッケンジー法で高い効果が出る患者さんに共通する要素とは?

公開日:2017.01.13 更新日:2017.01.23

理学療法には個々の患者さんに合わせたさまざまなアプローチがあります。どのケースにどの治療法が適しているか、医師の判断はもちろん、理学療法士の経験と勘がものをいう場面もあることでしょう。特定の治療法に適した患者さんの特性がはっきりすれば、よりよい結果を出すための治療法選びに役立つはずです。
そこで今回は、数ある治療法のなかでも「マッケンジー法」に適した患者さんに共通する特徴があるか調べた研究を、米国理学療法協会(APTA)の学会誌『フィジカル・セラピー』からご紹介します。
 
マッケンジー法は、問診と理学検査による「評価」と、「治療」とで構成された介入法です。国際マッケンジー協会日本支部は、同協会のウエブサイトでこれを「脊椎や四肢の問題に対するエビデンスに基づいた評価とマネージメントのシステムである」と説明しています。
今回の研究対象は慢性的な腰痛を抱える患者さん。マッケンジー法がどのような患者さんに適しているのか、ぜひ参考にしてください。

Identifying Patients With Chronic Low Back Pain Who Respond Best to Mechanical Diagnosis and Therapy: Secondary Analysis of a Randomized Controlled Trial

マッケンジー法に最もよい反応を示す慢性腰痛の患者を識別:ランダム化比較試験の二次分析

Alessandra Narciso Garcia, Universidade Cidade de São Paulo
Luciola da Cunha Menezes Costa, Universidade Cidade de São Paulo
Mark Hancock, Macquarie University
Leonardo Oliveira Pena Costae, Universidade Cidade de São Paulo

研究テーマ

マッケンジー法はほかの介入法と同様に、慢性腰痛の患者さんに対する効果は低いとされています。しかし、ある特徴が見られる患者さんのグループではマッケンジー法に最もよく反応し、高い効果が得られるという可能性もあります。このため、ほかの介入法と比較し、どのような患者さんがマッケンジー法によく反応するかを明確にすることは重要な発見となりうるでしょう。
この研究の目的は、すでに腰部症候群と分類されている慢性的な腰痛を持つ患者さんのうち、Back School※に比べてマッケンジー法での介入が適している患者さんのベースライン特性にどのような傾向があるか調べることです。

 ※1969年にスウェーデンの理学療法士Forsell氏が発表した介入プログラム

研究方法

慢性の腰痛を抱える148人の患者さんを被験者とし、マッケンジー法とBack Schoolを比較した前研究から抜き出したデータを二次分析しました。なお、148人のうち今回の研究対象となったのは、ベースライン評価で「短期間でよい反応が見られる」と分類された患者さん140人のみです。
調べられた修飾因子は、以下の通りです。

  • 治療によって明らかに痛みが身体の中枢に限られるようになるか、短期間でよい反応が見られるだけか
  • 治療開始時点の痛みの場所
  • 治療開始時点の痛みの強さ
  • 年齢

この研究の主要評価項目は、1ヵ月間の治療後の「痛みの強さ」と「障害」でした。治療効果のデータは、線形回帰モデルから予測できる交互作用項と群を対比した評価によって修正しました。交互作用は、「痛み」で1.0以上、「障害」で3以上の場合、臨床的に重要と判断しました。

研究結果

若年者のほうが高い効果を示すのではないかという予想に反し、「年齢が高いこと」が研究チームの定めた基準を満たしており、潜在的に重要な修飾因子であると考えられます。
1ヵ月間の治療を行った結果、(Back Schoolと比較し)マッケンジー法による痛みの軽減について、高齢者は若年者よりも1.27ポイント高い効果を得ていました。

結論

慢性的な腰痛を抱えた患者さんがマッケンジー法を受ける場合、患者さんの年齢が高いほど大きな効果が得られる可能性があることを研究結果は示唆しています。しかし今回の試験では、全体から特定の条件で抜き出したサブグループについての研究にまでは至らなかったため、この二次分析の結果は慎重に解釈するとともに、繰り返し試験を行う必要があります。

研究の限界

サンプル量が140と少ないため、治療の主効果を見ることはできたものの、潜在的な修飾因子の交互作用は確認できませんでした。

Reprinted from Phys Ther. 2016;96(5):623-630, with permission of the American Physical Therapy Association. ©2016 American Physical Therapy Association. APTA is not responsible for the translation from English.
(この記事は、米国理学療法協会(APTA)の学会誌『フィジカル・セラピー』96巻5号623~630頁に掲載された論文の概要を翻訳したものであり、セラピストプラスが同協会の許可を得て作成および掲載しています。論文概要の著作権はAPTAにあると同時に、同協会は翻訳文について一切の責任を負いません。)

参考URL

米国理学療法協会・学術誌 『Journal of the American Physical Therapy Association』

国際マッケンジー協会日本支部

今よりさらに良い環境で働けるよう
キャリアドバイザーが全力でサポートします
\今すぐ1分で完了/

    <PR>マイナビコメディカル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  •  LINEで送る

他の記事も読む

おすすめ

TOPへ