リハビリ新時代のエース! 患者さんの可能性を広げる「リハビリ支援ロボット」へ高まる期待
公開日:2015.06.25 更新日:2015.07.06
これまで成し得なかった治療を実現できるかもしれない……そんな可能性を秘めているのが「リハビリ支援ロボット」です。近年、ロボットを導入する病院や施設が増加しており、次々と成果を挙げています。患者さん自身も、その効果に驚きや喜びの声を上げる方が多いのだとか。今回は、リハビリ支援ロボットに寄せられる期待とその効果に迫ります。
活躍の場を広げるリハビリ支援ロボット
今、リハビリの現場では、ロボットを活用した治療が大きな注目を集めています。なかでも話題になっているのが、業界を牽引するサイバーダイン社のロボットスーツ「HAL(ハル)®」。2013年度末時点で、全国162施設に導入されている人気のロボットです。2015年3月には、各現場の功績から新医療機器として下肢タイプの薬事承認申請が行われており、今後のさらなる導入と活躍が期待されています。
県外からの患者さんも! 「ロボットリハビリテーション外来」が大好評
ロボットの活躍は、患者さんの支援にとどまりません。導入によって、患者さんが急増した病院も増えているようです。利用者の拡大を期待し、佐賀大学医学部附属病院ではロボット治療に特化した「ロボットリハビリテーション外来」が開設されました。
8種類のロボットがそろう専門外来では、患者さんの状態に合った機種を選ぶことが可能です(2015年5月現在)。豊富な選択肢を用意することで、より適切な治療ができる環境が整えられています。脳梗塞や脳出血、脊髄障害などによってマヒのある患者さんが多く、困難な治療でありながらもリハビリへの満足度が高いのが特徴的です。
佐賀大学医学部附属病院では、その評判の高さから口コミによって来院者数が拡大し、リハビリロボット外来での予約がなかなか取れない状況なのだとか。県外からの患者さんも増え、さらなる受け入れ拡大が期待されています。
理学療法士の治療効果を高める
ロボットの活用によって期待されるのが、理学療法士による治療効果の向上です。ロボットによるリハビリ支援は反復した動作を何度も行えるため、リハビリの量が自然と増え、相乗効果が高まります。また、患者さんは実動作をしっかり行うことで満足感が得られ、心理的にポジティブな影響を与えられるでしょう。
本来、理学療法士が行っている動作をロボットが無理なく代行してくれるため、理学療法士の身体的な負担も軽減されるのがうれしいところ。高齢化の波を受け、リハビリを必要とする患者さんはあとを絶ちません。一人の理学療法士がこれまでより多くの患者さんへ対応することができるため、効率も上がります。
このように、患者さんに質のよい治療を提供しながらも、現場の悩みを解消へと導くのがロボットのよさ。リハビリ支援ロボットの導入は患者さんだけでなく、施設側にとってもうれしい結果を生むでしょう。
患者さんの可能性を広げるロボットのチカラ
ロボットが持つ最大の魅力は、人間の理学療法士では行き届きにくいサポートが行える点です。ロボットに内蔵されるコンピュータが、患者さんの脳から筋肉に送る信号を解析し、関節を動かす際に自然な動きを誘導する仕組みになっています。神経伝達をリアルタイムに読み取ってアシストすることで、立てなかったり歩けなかったりしていた患者さんの負担も少なくなり、回復度が高まったという事例が数多くあるそうです。
また、下半身にマヒのある患者さんが下肢タイプのロボットスーツを装着してリハビリを受けたところ、「動きたいと思ったとおりにサポートしてくれているように感じた」「リハビリ後、ロボットを外した状態でも足が動かしやすくなった気がする」などの感想がありました。
治療への意欲を高め、希望を与える
治療において最も大切なものは、患者さんのポジティブな気持ち。ロボットによる訓練は、患者さん自身が効果を体感しやすく、治療への意欲も高まるようです。リハビリに希望を与えるロボットの存在は、理学療法士の強い味方となるでしょう。
【参考URL】
- リハビリ、ロボットが手ほどき 記者が装着し体験|日本経済新聞
- 【ニュース】HAL®医療用(下肢タイプ)が国内で新医療機器 としての薬事承認申請を行いました|CYBRDINE
- トレンドビュー◎7種類のロボットそろえた佐賀大病院 国内で開設進む「ロボットリハビリ外来」
- リハビリテーション医療における ロボット訓練|産業医科大学リハビリテーション医学
- ロボットスーツで歩行改善 十勝リハビリセンター導入|WEB TOKACHI
他の記事も読む
- 聞こえのバリアフリー実現を目指してー話す側が使える対話支援機器を開発
- 「料理」で認知機能向上を目指す!「なないろクッキングスタジオ」が体現する新たなデイサービスの形
- 全国制覇を目指したい!屋内で旅行気分を味わいながら運動をできる「テレさんぽ」
- 触れ合いを超えてリハビリへ。ドッグセラピーチーム「アビィー」の取り組み
- 下半身麻痺の佐藤弘道「作業療法士、理学療法士の皆さんが一緒に戦ってくれた」
- カフェがつなぐ、人と医療|立場に関係なく誰もが「フラット」に過ごせる「セカンドリビング」
- 1日5回転!型破りな予防特化型デイ「リハビリモンスター」で挑戦と成長が好循環する理由とは
- 目の見えない人はもちろん、見える人も!「音でみるSOUNDFUL RECIPE」で料理をさらに楽しく
- 神奈川大学サッカー部が団地に住み地域活動に取り組む「竹山団地 プロジェクト」
- ないなら造る!高齢者や障がい者の行動範囲が広がる車椅子ロボット「movBot®」
- 装具難民を減らしたい。 “使いたい”装具で暮らしを 支える「装具ラボ STEPs」が描くビジョン
- 「私のことは、私が決める」障がい当事者が運営する求人サイト「パラちゃんねる」が描く包括的な支援
- らくちん×おしゃれの新提案。片手で着られる「one hand magic」に注目!
- 「作戦マン」が子どもを救う! 飛騨市発、学校作業療法室の取り組みを紹介
- 職人技と福祉をつなぐ『HUREL(触れる)バッグ』~革のハギレから始まった新しい就労支援の形~
- 調理と木工作業で脳も体も元気に! “お仕事あっせん型”デイサービスの取り組み
- 理学療法士がアパレルへ!?セラピストが介護のオシャレをご提案
- 日本理学療法士協会斉藤会長に聞く、理学療法士の未来とキャリア
- 管理栄養士・栄養士2,129人が語る真実は?やりがいや働き方について大調査!
- 能登半島地震避難所で「介護人材」不足、体調悪化させる人が続出