クッキーの代わりに野菜を販売! 管理栄養士が携わる学校募金プロジェクト
公開日:2015.07.09 更新日:2015.07.21
北米では、生徒が学校のために寄付金を募る文化があるのをご存じでしょうか? 学校の運営費用を補てんするために、生徒たちはさまざまな方法で募金活動に励みます。品物のチャリティー販売もそのひとつ。定番商品は、アーモンドチョコレートやクッキーなどの甘いお菓子です。そんななか、カナダのオンタリオ州ではこれまでの常識を覆す“特別プロジェクト”が行われています。
管理栄養士が学校募金を変えるプロジェクトリーダーに
このプロジェクトの名前は、フレッシュ・フロム・ファーム募金プログラム。「学校のチャリティー販売で地元の農作物を売ろう」というものです。オンタリオ州の教育省、農業食品省、果菜生産者協会そしてカナダ栄養士会が一丸となり、2013年から始まりました。
革命的なこの計画のカギとなるのは、実際に野菜を販売する生徒たちを含めたチーム全体を引っぱる管理栄養士です。その務めを果たすのは、カナダ栄養士会のキャシー・オコナーさん。大学のフードサービスや小学校の学校給食分野などに、30年以上携わってきたベテランです。
プログラムの参加教育委員会の数は、初年度には9学区でしたが3年目を迎える2015年現在では28学区に増えています。キャシーさんの話によると、参加を求める人々からは「私たちは、子どもたちがアーモンドチョコレートを販売していることにすっかり嫌気がさしてしまったのです。今こそ、健康的な改善を行うべきでしょう」という声が上がっているとか。そして、彼女自身も、健康的な食事は子どもたちの精神的な幸福と発育にとても重要だと話しています。
チョコレートやクッキーの代わりに、野菜セットはいかが?
お菓子の代わりに売る野菜は、冷蔵する必要がなく日持ちする根菜が中心です。北米では料理をしない家庭も珍しくありませんが、キャシーさんはこの取り組みによって生徒やその家族の食の幅が広がると考えています。
地元の農家が作っている根菜のなかで、地域の人々に食べ方が浸透しているものは何か。キャシーさんは、常に生徒たちや購入者の反応を見てそれを模索しているようです。その結果、初年度に売られたパースニップ(白ニンジン)は次年度にビーツへ変更。そして、今回はビーツに代わってサツマイモを売ることになりました。また、今後は春の募金活動で温室野菜の販売も検討しているそうです。
2015年度に販売する商品は10ドル(約1,000円)の野菜セットと、15ドル(約1,500円)の箱入りリンゴ。野菜セットにはニンジン、タマネギ、サツマイモが3ポンド(約1.36kg)ずつと、ジャガイモ5ポンド(約2.27kg)を入れます。リンゴは1箱約8ポンド(約3.63kg)。現在は、リンゴや野菜を提供してくれるエセックス郡(オンタリオ南西部)の農家を新たに探しているとのことです。
新鮮な野菜や果物の販売で、地域の健康と農業をサポート!
チャリティー販売による売上金の40%は学校へ、50%は農家へ、そして残りの10%はこのプロジェクトの拡大と運営管理の費用に充てられています。過去2年間に生徒たちが売った野菜は、なんと13万kg以上。野菜の販売を通して集まった学校への寄付金は総額11万2千ドル(約1,120万円)を超えました。
流通経路が発展している今の世の中では、はるか遠くから運ばれてきた野菜がたくさんスーパーマーケットに並んでいるのが普通です。そんななか、オンタリオではこの取り組みのおかげで、それだけ多くの人々が地元の新鮮な野菜を消費したことになります。
プログラムマネージャーを務めるオンタリオ州果菜生産者協会のアリソン・ロバートソンさんも、この企画に期待を寄せている人々のうちの一人です。28学区の参加が決まったとはいえ、まだまだ州全体から見ればほんの一握り。彼女は、このプログラムはもっと多くの作物が地元の食卓に並ぶ大きな可能性を秘めていると話しています。
果たして今後、オンタリオ州のこの取り組みはどのような発展を遂げるのでしょうか? プロジェクトの拡大をはじめ、地域の食育に携わる管理栄養士の活躍の場がどんどん広がるといいですね。
【参考URL】
- 学校のために根菜を買ってもらえませんか?農場経営者と栄養士が協力し学校の募金活動に野菜販売を導入|THE WINDSOR STAR
- キャシー・オコナーについて|EWS Eat Well at School
他の記事も読む
- 外出先の五感情報・休憩場所が一目でわかる地図サービス「Calmspot(カームスポット)」 をリリース
- カームダウンスペースは刺激の少ない休憩所。感覚過敏の人の外出を後押し
- 「保険適用サービスから保険適用外(自費)サービスまで。包括的なボディメンテナンスを提供する『Studio&Cafe BALENA』」
- 買い物が最高のリハビリになる。作業療法士が見つけた、人とまちを元気にする“ショッピングリハビリ”とは?
- ろう児が積極的に学習できる環境をオンラインツールで提供「サークルオー」
- ろう児の「孤独」に寄り添う組織を目指す「デフアカデミー」
- ことばの悩み、子どもから大人まで言語聴覚士がサポート。 九州エリアで希少な相談先となる民間相談室が熊本に開室
- “自宅で一人でできるリハビリ”を、オーダーメイドで提供
- 聞こえのバリアフリー実現を目指してー話す側が使える対話支援機器を開発
- 「料理」で認知機能向上を目指す!「なないろクッキングスタジオ」が体現する新たなデイサービスの形
- 全国制覇を目指したい!屋内で旅行気分を味わいながら運動をできる「テレさんぽ」
- 触れ合いを超えてリハビリへ。ドッグセラピーチーム「アビィー」の取り組み
- 下半身麻痺の佐藤弘道「作業療法士、理学療法士の皆さんが一緒に戦ってくれた」
- カフェがつなぐ、人と医療|立場に関係なく誰もが「フラット」に過ごせる「セカンドリビング」
- 1日5回転!型破りな予防特化型デイ「リハビリモンスター」で挑戦と成長が好循環する理由とは
- 目の見えない人はもちろん、見える人も!「音でみるSOUNDFUL RECIPE」で料理をさらに楽しく
- 神奈川大学サッカー部が団地に住み地域活動に取り組む「竹山団地 プロジェクト」
- ないなら造る!高齢者や障がい者の行動範囲が広がる車椅子ロボット「movBot®」
- 装具難民を減らしたい。 “使いたい”装具で暮らしを 支える「装具ラボ STEPs」が描くビジョン
- 「私のことは、私が決める」障がい当事者が運営する求人サイト「パラちゃんねる」が描く包括的な支援





