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「第42回日本股関節学会学術集会参加体験記」(後編)吉倉孝則

公開日:2016.03.21 更新日:2016.04.04

大阪股関節学会

2015年10月30日から31日の2日間、グランフロント大阪において開催された第42回日本股関節学会学術集会の参加レポート、後編です。
 
は「専門学会へ参加するメリットその1」をお伝えしましたが、今回は「その2」として続きをご紹介したいと思います。

専門学会に参加するメリットその2

他職種へのアピールの場

この学会にはリハビリ関連職のみではなく医師、看護師など他の職種も多く参加しています。このような場でリハビリの効果や意義についての発表をすることは、他職種にリハビリを知ってもらう機会にもなります。
 
参加している医師や看護師も、普段から股関節疾患の患者さんに関わっているためリハビリについて理解のある方が多いでしょう。しかしこのような学会を通して、「数字」でリハビリの効果を示すことは大切だと思います。リハビリの意義や重要性を認識してもらうには職場などでの普段からの関わりも重要ですが、このように多職種が参加する学会で「リハビリの効果」を発表することも大変有意義であると思います。

より高まる連携

さらに学会の楽しみのひとつが、学会後の「飲み会」だと思います。私は当院の整形外科医が主催する飲み会に参加しました。整形外科の医師と飲みに行く機会は多くはありません。飲み会を通してコミュニケーションを図り、医師と顔の見える関係を築ければ、普段の臨床場面でも連携は高まると思います。またアルコールが入ってリラックスしたこのような場所で、次の研究のアイデアが生まれることもあります。
あるいは全国の股関節のリハビリに関する研究をしている理学療法士で集まって立ち話や飲み会をし、情報を交換することもあります。

今回の学会会場でも、顔なじみの理学療法士と情報交換できました。例えば、人工股関節の手術後の入院期間が、A病院では手術後4日で退院するのですが、B病院では2週間後でした。リハビリ何日目からどのような動作の指導や訓練を取り入れていくのかなども違い、とても参考になりました。

まとめ

普段、私も人工股関節置換術後の患者さんのリハビリを担当しています。同じ手術の後でも、手術前の患者さんの筋力や歩行能力、痛みの程度などによって患者さんの状態は異なります。そのため、常に悩み、疑問を感じ、考えながら患者さんにベストなリハビリを提供できるように努力しています。そんな、悩みを解決する方法の一つが研究だと思います。

例えば「手術後にQOL(生活の質)が低い患者さんは手術前にどのような状態なのか?」と疑問に感じたときには研究データを取り、解析してみることで、答えを探します。そしてこのような専門学会で発表することで、同じ専門分野で研究や患者さんを担当しているセラピストや医師らと議論することができます。また自分の発表によって、他のセラピストの悩みや疑問を解決することができるかもしれません。

今回の股関節学会では、私が疑問に感じている人工股関節術後患者のQOLや患者満足度について、多くの発表がありました。『手術後の歩行速度の改善が患者満足度向上に貢献する』『手術前の患者満足度は手術後2週での患者満足度に影響しない』など、自分で発表をしなかったとしても、自分自身の疑問を解決に導くヒントがありました。また専門学会に参加することで最新のトピックスや知見を聞くことができ、明日からの臨床場面で患者さんを担当する際に、新たな視点からの治療もすることができるでしょう。

股関節学会の他にも呼吸や心臓に関する学会など、どの分野にも専門学会はあります。そのような場でセラピストがリハビリの効果を発表することは有意義だと思います。

あなたも専門学会での発表や参加をしてみてはいかがでしょうか?
 

吉倉孝則 (よしくら たかのり)

吉倉孝則 (よしくら たかのり)

理学療法士。保健学修士。認定理学療法士(運動器)。
星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻卒業。浜松医科大学附属病院リハビリテーション部入職。星城大学大学院健康支援学研究科修了。現在に至る。
大学病院に勤務し、整形外科疾患、がんのリハビリテーションを中心に幅広い疾患のリハビリテーションに従事。院内の緩和ケアチームにも携わり多職種連携を心がけている。
臨床業務以外にも研究活動や学生の指導など教育、地域包括リーダーとして地域包括ケアの構築にも力を入れている。

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