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vol.13

「栞」でライフセイバーから理学療法士へ
三浦貴大が演じたセラピストと患者のリアル
俳優 三浦貴大

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若手の中でも演技派として映画にドラマに引っ張りだこの三浦貴大さん。今回主演男優を務めた映画『栞』では、理学療法士として患者に向き合い、生と死の狭間で悩む主人公を演じています。学生時代にライフセーバーをしていた経験があり、その時の経験と重なる部分も多かったという三浦さん。人の命や生活に寄り添う仕事を通して感じたこと、映画を通して伝えたいことを聞きました。

――映画『栞』の中で、病院で理学療法士として働く主人公 高野雅哉を演じた三浦貴大さん。主演俳優のキャスティングは、三浦さんが大学時代にライフセービングの経験があったことが決め手になったといいます。実際に演じてみて、ライフセーバーと理学療法士の仕事で共通するところはありましたか?

人の命、生活を守る仕事を通して見えた
苦難を背負いながら進む生きざま

両方とも命に向き合う仕事なので、共感できるところは多々ありました。ライフセーバーは、海や川で溺れる人を助けるという仕事です。理学療法士は、怪我をした人が社会復帰できるようにする仕事で、生死が直接決まるわけではありません。患者さんが命にかかわるような大怪我をしたとしても、それ自体は別の人が対応し、その後が理学療法士の役目。社会復帰できるよう体の機能を調整していきます。

でも僕は、患者さんが望むような生活を送れるように身体機能を回復させ“生活を守る”ことは、命を守ることと同等だと思っています。「瀕死の状態を死なないように」助けるか、その後「生きる張り合いを持ち続けられるよう」助けるか、ただ順番が違うだけだと思うんです。両方ともなくてはならない、大切な仕事だと思います

 

救えなかったことから立ち直ることは多分ない
それでも歩き続けたい

――映画の中では、救えない命がありました。患者のためにできることはあるか、主人公は葛藤します。三浦さんがライフセーバーをしていた頃も、そのような経験はありましたか? また、どうやって立ち直りましたか?
ライフセーバーとして、目の前で人が亡くなる経験をしています。やはり、自分の無力さに苛まれますね。その時の自分の絶望感、やるせなさから立ち直ることは多分、ずっとないんだろうと思います。後悔しっぱなしのまま、そのことを背負ったまま次に進んでいました。『もしあれができたら助けられたかも』『もしこうだったら』と思いながら自分でできるだけの努力をして。そこは雅哉と重なりますね。身内のような近しい存在の人の死とはまた違う感情なんですが、悲しいだけでなくて、命や生活を守る役割を担ってその人と向き合っている責任を感じるんです。救いようのない状況だったと言われても、自分の能力がもっと高ければ救えたかもしれないと思ってしまいます。周りのせいにできないから、立ち直れないんでしょうね。でもまた胸苦しいままで現場に行くんです。『もうやめたい』『次こそは』という気持ち両方を持って

――三浦さんご自身の経験と重なる部分があったから、演技もスムーズに入り込めたのでしょうか?
そうですね。技術は別として精神面ではとても気持ちが重なったので役作りはとてもスムーズでした。周りでいろいろなことが起こり、それを受け止めていく過程は、自分の中でもすんなり雅哉として受け止められたと思います。病院の中のシーンは、ほぼストーリーの順番通りに撮影できたので、気持ちの起伏は自然に任せられました。後半に大分の田舎でのシーンがありますが、閉ざされた病院という空間から一転し、まるで違う作品を撮っているような感覚になりました。主人公の雅哉はいったん職場を離れ、一時的に違う環境に身を置くことで、自分自身や仕事に対し新たな距離感で向き合えたのですが、短期間でもそういう時間があると、行き詰ったところに道が開ける気がしました。

また、監督は理学療法士という経歴を持っているからこそ、大げさで絶望的すぎたり、都合の悪いところを隠してきれいごとで話を終わらせることがなかったです。ストーリーの基本がほぼ実話ということもあり、納得できるリアルさがあって自然に演じられました。監督からのオーダーは、『感じたままに演じて』ということだったのですが、映画の中には監督自身が実際に体験したエピソードも多く描かれています。演技指導は特になく、代わりにその時の辛かったこと、嬉しかったこと、感じたことを訥々と話してくださり、その状況を理解し追体験することによって演技をしました

理学療法士の友人たちの協力で演技向上
阿部進之介さんは役者的アスリート!

――患者と向き合ってリハビリをするシーンも印象的でしたが、体の動きや患者さんとのやり取りはどうやって学びましたか?
監督の指導もありましたし、理学療法士の友人たちの話を聞くこともありました。理学療法士にも専門がいろいろあり、高齢が原因の疾患なのか、ケガなのかなどによって、コミュニケーションの取り方も違うようです。実際の現場も見学させていただきましたが、患者さんと頻繁に接しているせいか、ささいな会話のやり取りも自然で、自分の演技の中にもその空気感を出せればと思いました。

患者さんと一緒にリハビリをするシーンは、半身不随になってしまうラガーマン役の阿部進之介さんと何度も練習しました。実際にどこが動かなくて、どこかどう動くのか、監督の指導を受けたのですが、阿部さんに置いて行かれないように必死でした。

阿部さんは役者的アスリート。役者を始めた10年ほど前に共演して、今でも最も尊敬する役者の1人です。その時は不良ものの作品で、お腹を殴られて咳が出てしまうシーンがあったのですが、“
『咳払いひとつ流すな』と阿部さんに言われたんです。無意識のところにも意味を見出すような人で、10年経った今でも、その時の言葉を時折思い出しています

――ライフセーバーの経歴があって身体能力はとても高そうですが、それでも動きを学ぶことは大変なのでしょうか?
自分は決して運動神経が良いわけではないんですよ。生まれつき腱が緩いせいかケガをしやすくて、理学療法士の方には何度もお世話になってきました(笑)。運動が好きなわけではなく、水の中にいることが好きで水泳を始めたんです。ライフセービングを始めたら知識も学ぶので、どうすれば人が助かるかがわかるわけです。でも、知識があっても練習で身につけなければ人を救えません。そんな強迫観念に駆られて、やめられなくなりました

――映画では、患者の生死だけでなく、家族の病という壁も立ちはだかります。尊厳死など答えのないテーマも。見どころを教えてください。
明るくウキウキするようなストーリーではありませんが、困難や苦しみを受け入れながら進む姿に、希望を見出していただければと思います。理学療法士は技術的なものももちろんですが、患者さんの日常に寄り添うことで、患者さんの気持ちにも影響を与える存在でもあると思います。動かなくなってしまった体は、まず気持ちが動かないと動かないんです。肉体的にも精神的にもケアする理学療法士という仕事は、大変な面はあると思いますが、素敵な仕事だと思います

 
――俳優として、これから目指していきたい方向は?
ライフセーバーや理学療法士は、他人の命や生活を守ることに直結するので、なくてはならない仕事だと思います。一方、役者は命がかかっているわけではありません。娯楽であって、人生のおまけ。でも、そこに大の大人たちが一生懸命取り組んで、観た人に感動を与えたり、あまり普段考えない誰かの状況を伝えたりできるところに、また違った魅力を感じます。直接人の命は救えなくても、作品を通して命の大切さとか生き方を伝えていかれればと思います

――そんなストイックな三浦さんは、オフタイムはどうやって息抜きをしていますか?
家で漫画を読む時間が癒しです。ジャンルは幅広く読みます。あとは、ピザやカレー、ラーメンが大好き。学生時代はハードに運動をしていましたが、今は運動量がかなり減っているのに食欲が減らないんです(苦笑)。太ったらヤバいと思いながらも、おいしいからやめられないですね(笑)

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映画「栞」
10月26日(金)より新宿バルト9ほか全国順次公開
配給:NexTone 配給協力:ティ・ジョイ
Ⓒ映画「栞」製作委員会

出演:三浦貴大
阿部進之介、白石聖、池端レイナ/福本清三/鶴見辰吾
監督:榊原有佑
脚本:眞武泰徳  共同脚本:岡本丈嗣  音楽:魚返明未
主題歌:「Winter」作曲:Liam Picker/西川悟平
上映時間:118分/公式サイト:shiori-movie.com

三浦貴大(みうら・たかひろ)

三浦貴大(みうら・たかひろ)

1985年11月10日生まれ、東京都出身。
2010年、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でデビュー。近年の主な映画出演作に『キッズ・リターン 再会の時』、『永遠の0』、『サムライフ』、『ローリング』、『怒り』、『追憶』など。公開待機作に『ばぁちゃんロード』(4/14公開)、『四月の永い夢』(5/12公開)、『3D彼女 リアルガール』(18年秋公開)などがある。

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