【栄養士向け】摂食嚥下の専門資格を取得してステップアップしよう!

更新日 2024年01月30日 公開日 2024年01月30日

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栄養士がスキルアップを目指すための方法として、最も代表的なのは管理栄養士免許の取得です。栄養士免許の保有者であれば、1~3年の実務経験を積んだ後、管理栄養士国家試験に合格することで、管理栄養士の資格が得られます。

栄養士から管理栄養士になれば業務の幅は広がりますが、管理栄養士としてさらなるスキルアップを目指すのであれば、単純に日々の業務をこなすだけでは足りません。そのため、「より幅広いフィールドで活躍したい」という思いから、関連資格の取得を目指す管理栄養士の方も数多くいらっしゃいます。

本記事では、スキルアップを目指す栄養士や管理栄養士におすすめの資格として、「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」「日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士」を紹介します。

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【栄養士向け】摂食嚥下の専門資格を取得してステップアップしよう!

「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」とは?

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士とは、公益社団法人日本栄養士会と一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会の協働で創設された共同認定制度で、スキルアップを目指す管理栄養士が取得することの多い資格です。

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士を取得した方は、「摂食嚥下リハビリテーションの基本知識と栄養管理技能を有し、摂食嚥下障害を抱える患者さまやそのご家族に適切な食生活・栄養支援を行いながら、生活の質(QOL)の向上に貢献できる管理栄養士」として認められます。

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、2016年から運用が開始された比較的新しい資格であり、2022年4月時点で認定者総数は54人です。

●資格創設の背景
厚生労働省が行った調査によると、「医療施設に入院していた患者さまが帰る先の約7割が自宅であるものの、そのうち約4割が食事における悩みを抱えている」という結果が出ました。そして、食事における悩みの具体例として、「嚥下機能が低下しているから、食事の内容や形状について考えなければならない」「病院食のような、適切な栄養のとれる食事を作れるか不安」などが挙げられています。

また、例年のように「肺炎」が日本人の死因の上位にきており、高齢者が肺炎にかかる原因の多くは「高齢による体力の衰え」や「誤嚥」となっています。

そうした背景のもと、最適な栄養管理と食事マネジメントによって誤嚥のリスクを減らすためにスタートしたのが、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の認定資格制度です。つまり、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、「嚥下機能が低下した患者さまをサポートする」という重要な役割を担っているわけです。

●資格取得者が活躍する場所
嚥下機能の低下には、加齢(老化)だけでなく、自己免疫疾患やストレスも影響するため、若い方であっても嚥下機能の低下は起こり得ます。医療機関における多くの診療科に、摂食嚥下障害を抱える患者さまがいることを考えれば、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、幅広いジャンルで患者さまをサポートできる資格と言えるでしょう。

また、現在は地域包括ケアシステムの構築が積極的に推奨されていることもあり、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士のさらなる需要が見込まれています。

(出典:公益社団法人日本栄養士会「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/certifiedspecialist/dysphagia/

(出典:公益社団法人日本栄養士会「なぜいま、「摂食嚥下リハビリテーション」なのか? 2025年の専門職に必要な視点、スキルを、”プロ”たちが解説」/https://www.dietitian.or.jp/features/category/20171025.html

「日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士」との違い

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士に関連する資格として、「日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士」が挙げられます。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士も、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士と同様に、摂食嚥下リハビリテーションの基本的知識と技能の保有を証明する認定資格ですが、この2つにはいくつかの違いがあります。

いちばん大きな違いとして挙げられるのは、「取得できる職種の違い」です。摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士を取得できるのが、「一定の条件を満たす管理栄養士のみ」である一方、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士には、職種に関する制約がありません。そのため、職種に関係なく一定の条件を満たせば取得することが可能です。実際に、栄養士・管理栄養士のほか、医師や歯科医師、看護師、言語聴覚士などが資格を取得するケースも多く見られます。

また、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の資格を取得するためには、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格取得が必要となります。こうした点から、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の上位資格と考えてもよいでしょう。

(出典:一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会「認定士制度」/https://www.jsdr.or.jp/license/

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「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」の取得方法

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士を取得するためには、下記の条件を満たさなければなりません。

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の資格申請条件
1. 管理栄養士免許を保有している
2 .日本栄養士会・日本摂食嚥下リハビリテーション学会の会員である
3. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格を取得している
4. 下記すべての認定要件を満たしている
・管理栄養士免許を取得後、5年以上の実務経験を有している
・5年以上の実務経験のうち、摂食嚥下障害を抱える方の栄養管理に通算3年以上従事している
・日本栄養士会・日本摂食嚥下リハビリテーション学会が指定する専門研修を履修している
・摂食嚥下機能に関する実績5症例と実務経験歴を提出している
・過去3年間のうちに、指定の学術集会・関連研究会などにおいて、摂食嚥下に関する筆頭発表または筆頭論文を1篇以上有している

申請条件をすべて満たすことで、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士認定試験の受験資格を得られます。基本的な資格取得の流れは、以下の通りです。

STEP1 管理栄養士免許を保有し、5年以上の実務経験を積む
(うち通算3年以上は、摂食嚥下障害を抱える方の栄養管理に従事する)
STEP2 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士を取得する
STEP3 摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の資格申請条件を満たした上で、認定試験を受ける
STEP4 認定試験に合格すると、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の資格を取得できる

なお、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士には、5年間の認定期間が定められています。取得後は、5年ごとに資格更新を行わなければならないことを覚えておきましょう。

(出典:公益社団法人日本栄養士会「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/certifiedspecialist/dysphagia/

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「日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士」の取得方法

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士を取得するためには、まず下記の条件を満たさなければなりません。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格申請条件
1. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会の会員歴が2年以上である
2. 摂食嚥下に関わる臨床または研究歴が通算3年以上ある
3. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会のインターネット学習プログラム(eラーニング)の全課程の受講を修了している

上記の申請条件をすべて満たせば、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の認定審査(書類審査)・認定試験の受験資格を得られます。基本的な資格取得の流れは、以下の通りです。

STEP1 書類審査に必要となる各書類を事務局に提出する
STEP2 書類審査に合格したあと、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士試験を受ける
STEP3 認定試験に合格すると、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格を取得できる

なお、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士も、5年間の認定期間が定められているため、取得後5年ごとに資格更新を行わなければならないことを覚えておきましょう。

(出典:一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会「認定士制度」/https://www.jsdr.or.jp/license/

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さらなるステップアップに言語聴覚士とのダブルライセンスもおすすめ

栄養士・管理栄養士のステップアップには、言語聴覚士の資格取得もおすすめです。言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」といった機能に課題を抱えている方に、摂食・嚥下機能訓練や口腔ケアなどの専門的なリハビリを提供し、自分らしい生活ができるように支援する専門職です。

近年は、チーム医療や多職種連携が推進されているため、栄養士・管理栄養士と言語聴覚士のダブルライセンスを取得することで、「より幅広いフィールドでの活躍」や「よりよい医療の提供」が実現できるでしょう。

言語聴覚士の資格を取得するためには、指定された養成機関(大学や専修学校など)に通った上で、国家試験に合格する必要があります。そのため、ハードルが高いことは確かですが、養成機関によっては夜間部を開設しているところもあり、働きながら言語聴覚士の資格取得を実現する方も数多くいらっしゃいます。

栄養士・管理栄養士として、さらなるステップアップを目指したい方は、言語聴覚士資格とのダブルライセンスを目指してみてはいかがでしょうか。

(出典:一般社団法人日本言語聴覚士協会「言語聴覚士を目指す」/https://www.japanslht.or.jp/aim/

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まとめ

摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、摂食嚥下リハビリテーションに関する基本知識と栄養管理知識を有し、摂食嚥下障害を抱える患者さまやそのご家族に適切な食生活・栄養支援を行えることの証となる資格です。高齢化が進むなか、「嚥下機能が低下した患者さまの指導・サポートを行える管理栄養士」の需要は、今後さらに高まるでしょう。

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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

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