保育園で働く栄養士・管理栄養士の仕事内容|食育に関する役割・業務も解説!
栄養士・管理栄養士として働くみなさんのなかには、「保育園で子どもと関わりながら仕事をしたい」と考える方が多くいらっしゃいます。しかし一方で、「保育園で働く栄養士・管理栄養士は、実際にどのような仕事をしているのか」「保育園で働く際の注意点は何か」「自分に向いているだろうか」など、保育園勤務に対する疑問や不安の声を聞くことも少なくありません。
そこで当記事では、保育園で働くことに興味を持つ栄養士・管理栄養士の方に向けて、保育園で働く栄養士の役割や食育の重要性、具体的な業務内容、給料相場、適性などを詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
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目次
保育園で働く栄養士・管理栄養士とは?どんな役割がある?
保育園で働く栄養士・管理栄養士は、給食やおやつ、補食などの栄養管理や調理を行います。その際、子どもたちのおなかを満たすだけでなく、健康で安全な食生活を守ることも重要な仕事です。
さらに栄養士・管理栄養士は、子どもたちの食育にも深く関わり、1人ひとりの食への関心を高めることで、心身の健全な成長を支える役割も担っています。
栄養士・管理栄養士は「食育の推進」に欠かせない存在!
子どもへの食育は、その後の「健全な食生活」に大きく関わる重要な取り組みです。そのため、保育園に通う幼い子どもたちの食に密接に関わる栄養士・管理栄養士は、食育の推進に欠かせない存在だとされています。
保育園で食育を行うことの意義は、以下の通りです。
食育とは? |
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食育は、さまざまな経験から食べ物や食事に関する知識を学び、食への興味関心を育むことで、一生を通じて健全な食生活を送れるようにするための教育です。 子どもへの食育は、生活や遊びを通じて食にまつわる体験を促す形で行われます。 |
保育園で食育が推進されている背景 |
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幼児期は、生涯にわたる食習慣や食に対する考え方の基礎が身に付く大事な時期です。そうしたことから、「食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実現できる人間を育てること」を目的に、保育園での食育が推進されています。 また、家庭あるいは保育施設だけで食育を完結するのが困難であることも、保育園での食育が推進されている理由です。食育には「適切な環境作り」や「地域社会との連携」も必要となるため、家庭や地域との密接なつながりを持つ保育園は、きめ細やかな食育を行うために不可欠な存在なのです。 |
(出典:厚生労働省「第4次食育推進基本計画」/https://www.mhlw.go.jp/content/000770380.pdf)
(出典:厚生労働省「第4次食育推進基本計画」に基づく保育所における食育の推進について」/https://www.mhlw.go.jp/content/000766475.pdf)
以上のことから、保育園で働く栄養士・管理栄養士には「家庭や地域と連携しながら、子どもの生涯にわたる食育の基礎を作り上げること」が求められているのです。
仕事内容・待遇・やりがいなどを紹介!
保育園で働く栄養士・管理栄養士の主な仕事内容
保育業界では、栄養士・管理栄養士の求人が豊富です。しかし、保育園で働いた経験がないと、「現場ではどのような業務を行うのか」「働く際にどのような配慮を求められるのか」などについて、不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、保育園の栄養士の主な仕事内容について紹介します。
調理業務・料理提供
食事やおやつ、補食などの調理と提供が栄養士・管理栄養士の主な仕事です。加えて、調理スタッフと保育スタッフをつなぐパイプ役も果たします。
パイプ役の大きな役割として挙げられるのが、「アレルギーを持つ園児への対応」です。近年は食物アレルギーを持つ子どもが増えているため、保育スタッフとの情報交換や保護者との面談、献立への反映、取り違え防止の対策など、アレルギー対策の業務全般が栄養士・管理栄養士の仕事となります。
献立作成
保育園では、1か月単位で給食、おやつなどの献立を作成するのが一般的です。
献立を作成する際はさまざまな配慮が必要とされますが、最も大事なのは栄養バランスへの配慮です。1食のなかに必要な栄養素(五大栄養素やカルシウムなど)をバランスよく取り入れるのはもちろん、おやつや補食との兼ね合いも考える必要があります。また、年齢によって必要な栄養素が異なるため、年齢に合わせた栄養や食事量を意識することも大事です。
子どもたちの食に対する興味を刺激するには、季節やイベントに応じて新しい食材やメニューを取り入れるのが効果的です。ただし、子どもは見慣れないものに対する警戒心が強く、初めて見る食べ物に抵抗感を示すケースもあるため、頻繁に新しいメニューを提供するのは逆効果になりかねません。食べ慣れた食材やメニューを定期的に提供することで、子どもたちがリラックスして食事ができるように工夫しましょう。
食育関連の業務
栄養士・管理栄養士は献立作成以外にも、食育まわりの業務を行う必要があります。主な業務として挙げられるのは、「地域と連携した食育イベントを行う」「各家庭の相談・支援役を果たす」などです。
なお、そうした業務の多くは、厚生労働省が提示する『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』をもとに行われます。以下に、指針から抜粋した「食育のねらい」と「食育の内容」を紹介するので、それを参考に食育まわりの業務をイメージしてみましょう。
食育のねらい |
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「ねらい」は食育の目標をより具体化したもので、「子どもが身に付けることが望まれる心情、意欲、態度などを示した事項」とされています。 「ねらい」は年齢によって変わりますが、最初は食材を見る・触る・味わうといった「食」そのものの体験を深め、徐々に健康や人間関係、文化などを絡めた取り組みを行うとよいでしょう。 |
食育の内容 |
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「内容」は「ねらい」の達成を援助する事項とされています。 離乳食期から2歳までは、食べること自体の経験を深める時期で、楽しい雰囲気のなかでさまざまな食を経験することが大切です。 3歳以降の食育活動では、「地元や他地域の郷土料理を紹介する」「畑などで食材を作る」「クッキング保育を行う」など、食を通じて体験を深めるような活動がよいでしょう。 取り組みのなかで、いつも給食を作ってくれる栄養士・管理栄養士や調理師の存在を示すと、調理してくれる方への興味や感謝を引き出すことにもつながります。 |
(出典:厚生労働省「『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』(概要)」/https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0604-2k.pdf)
食育を行う際は、食そのものに対する興味や体験を深めるだけでなく、子どもたちを取り巻く環境や文化への理解を深めるような指導も大切です。
保育園で働く栄養士・管理栄養士の給料相場
次の表は、管理栄養士を含む栄養士の平均年収を事業所の種類別に表したものです。それによると、保育園で働く栄養士・管理栄養士の年収は「300万~350万円」が相場となっています。
なお、栄養士全体の年収以外は、マイナビコメディカルの求人情報をもとに算出しています。
栄養士全体(※) | 約368万円 |
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病院・診療所 | 約300万~400万円 |
福祉施設(介護施設・児童福祉施設など) | 約260万~310万円 |
保育施設 | 約300万~350万円 |
行政機関(公務員) | 約450万~600万円 |
給食施設 | 約330万~400万円 |
その他事業所(美容業界・食品業界など) | 約250万~330万円 |
(※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html)
保育施設で働く栄養士・管理栄養士の年収は、行政機関や病院、給食施設勤務と比べると低めの水準ですが、福祉施設やその他事業所よりは高いことが分かります。
なお、保育園の栄養士・管理栄養士の求人では、正社員、パート社員などの雇用形態が多く見られます。正社員の場合は、月収が約20万前後で別途賞与がある求人、パート社員では時給1,000円前後の求人がほとんどでした。
年収にはっきりとした地域差は見られませんが、同じ地域でも、事業所の規模などによって待遇に差が出る傾向にあります。
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保育園での勤務が向いている方の特徴
栄養士・管理栄養士は、勤務先によって仕事内容や役割、求められる資質が異なります。ここでは、保育園での勤務が向いている方の特徴について解説しましょう。
保育園は、子どもと触れ合うことが好きな方におすすめの職場です。子どもの成長を間近で見られたり、子どもから直接「おいしかった」などの反応がもらえたりするため、やりがいも大きいでしょう。離乳食や幼児食を取り扱う機会が多いことから、子育ての経験や離乳食の知識がある方にも向いています。大量調理の経験があるとさらによいでしょう。
また、保育園の栄養士・管理栄養士は食育に深く関わり、子どもたちの食に対する興味や知識、選択する力を育てる必要があります。そのため、自分自身も食材やレシピへの興味、探究心を持っていることが大切です。
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まとめ
保育園の栄養士・管理栄養士は、給食やおやつ、補食を提供するだけでなく、アレルギー対応や食育の推進など、きめ細やかに子どもたちをサポートする役割を求められます。子どもたちの健康やその後の食生活を左右する仕事のため、プレッシャーを感じることもありますが、その分やりがいが大きいのも保育園勤務の特徴です。
特に、子どもたちの成長を間近で見られたり、「おいしかった」と言ってもらえたりする場面では、保育園勤務ならではの喜びを実感できるでしょう。
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