学校における食育とは?必要性や国の施策・事例を分かりやすく解説

更新日 2024年02月21日 公開日 2024年02月21日

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現在は「食育」という言葉が世間的にも浸透し、さまざまな場所で食育に関する取り組みが実施されるようになりました。もちろん小学校や中学校も食育を実践する場の1つ。多くの教育機関で、食材や栄養素の学習、作物の栽培活動、調理活動などが行われています。

しかし、なかには「食事の大切さはわかるけれど、食育の必要性がよくわからない」「食育はどうやって実践すればいいのだろう」と疑問を抱いている方がいらっしゃることも事実です。そこで本記事では、学校における食育の必要性や食育を推進する国の施策、実際の食育の事例などを紹介します。

これから管理栄養士・栄養士を目指す方はもちろん、栄養教諭に興味がある管理栄養士・栄養士の方、実際に学校栄養士として勤務している方も、最後まで読んで食育への理解を深めてください。

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学校における食育とは?必要性や国の施策・事例を分かりやすく解説

学校における食育の必要性とは?

食育とは、「さまざまな経験から食べ物や食事に関する知識を学び、食への興味関心を育むことで、一生を通じて健全な食生活を送れるようにするための教育」です。農林水産省と文部科学省では、食育を以下のように定義しています。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。

(出典:農林水産省「食育の推進」/https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/

子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいくことが重要となっています。

(出典:文部科学省「食育って何?」/https://www.mext.go.jp/syokuiku/what/index.html

日本では、急速な経済の発展に伴って生活水準が向上し、ライフスタイルや食に関する価値観が多様化しました。しかし、そうした状況のなかで核家族化や食事の簡素化も進み、家庭生活において家族が別々のものを食べる個食や、1人で食べる孤食が増えていきました。

そうした問題は子ども世代にも影響を与え、子どもの食生活の乱れ(栄養の偏りや朝食の欠食など)や、肥満・過度の痩せといった問題も発生しています。そうしたなか、子どもの健康な心身を育むための「健全な食生活」が重要視されるようになり、家庭はもちろん学校においても、積極的に食育に取り組むべきという声が高まっていきました。

その結果、2005年に「食育基本法」、2006年には「食育推進基本計画」が制定され、保育園や幼稚園、学校などでも食育の実践が推進されるようになったのです。

(出典:文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」/https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm

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学校での食育を推進する施策

食育は、本来家庭を中心に行うべきものですが、核家族化や共働き世帯の増加などの影響で、保護者による子どもへの食事管理が行き届かなくなっているのが現状です。そこで、国は前述したような法律の制定や、栄養教諭制度の創設などを通して、学校における食育の推進を図る方針を打ち出しました。

ここからは、国による食育推進の取り組みについて解説します。

食育基本法・食育推進基本計画

食育基本法とは、国や自治体、国民自身が食育を総合的かつ計画的に推進するための方向性を示した法律です。食育基本法では、「適切な判断力を身に付けて健全な食生活を実現し、健康の増進と豊かな人間形成に役立てること」が食育であるとして、全国的に食育を展開するように定めています。また、食育における保護者や教育関係者の役割・責務も記載しています。

その食育基本法にのっとって、具体的な施策の方針・指針や目標を決めたものが食育推進基本計画です。国が打ち出す食育推進基本計画は、食育推進会議によって5年ごとに作成されており、2021年には令和3~7年度を計画期間とする「第4次食育推進基本計画」が発表されました。第4次食育推進基本計画では、生涯を通じた心身の健康を支える食育の促進、持続可能な食を支える食育の促進、コロナ禍による「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進を重点事項としています。

このように、日本においては食育基本法という法律に基づき、食育推進基本計画を作成して、時代に即した食育の実践に取り組んでいます。

(出典:農林水産省「食育基本法」/https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-20.pdf

(出典:農林水産省「第4次食育推進基本計画(令和3~7年度)の概要」/https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-2.pdf

栄養教諭制度

栄養教諭制度とは、学校での食に関する指導体制を整備するために創設された制度です。現代は、子どもたちの偏った食事や不規則な食生活などが問題となっており、「食の自己管理能力」や「望ましい食習慣」を子どもたちに身に付けさせる必要があります。しかし、一般的な教職員が食育を指導するのは簡単ではありません。そこで、2005年4月に栄養教諭制度が始まり、全国の小中学校への栄養教諭の配置が進められました。

栄養教諭になれるのは、原則的に栄養教諭普通免許状を取得した方です。栄養教諭は、食に関する指導や学校給食の管理のほか、食育指導に関する計画の立案、家庭と教育関係者との連携・調整など、学校における食育推進の中核的な役割を担います。令和3年度時点で栄養教諭は全国に6,752人が配置されており、その数は年々増えています。

学校において食育を適切に推進するには、専門的な知識を持つ栄養教諭による指導が欠かせないでしょう。

(出典:文部科学省「栄養教諭制度の概要」/https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/04111101/003.htm

(出典:文部科学省「栄養教諭の配置状況(令和3年5月1日現在)」/https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/08040314.htm

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学校給食の充実化

学校給食の充実を図ることも、国による食育推進施策の一環です。令和3年度における国公私立学校の給食実施率は95.6%となっており、大多数の学校が給食を通して子どもの健康増進を図り、給食を活用した食育にも取り組んでいます。

学校給食における食育の代表例は「地場産物の活用」で、地場産物を学校給食に取り入れることによって、「地域の自然、食文化、産業、生産や流通に関わる人たちの努力を理解する」などの効果が期待されています。なお、令和4年度の調査によると、学校給食における国産食材の使用割合の全国平均は89.2%、地場産物は56.5%となっていました。

また、国では米飯給食の普及・定着にも取り組んでいます。米飯は、日本の伝統的な食文化であり、地域の食文化を通してふるさとに関心を持たせるという教育的意義もあります。令和3年度の調査では、完全給食の国公私立学校すべてが米飯給食を実施しており、1週間あたりの米飯給食の実施回数は3.5回でした。米の消費を増やすだけでなく、子どもたちに日本型の食生活と味覚を伝えるために、今後も米飯給食は積極的に行われるでしょう。

(出典:文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」/https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm

(出典:文部科学省「学校給食実施状況等調査-令和3年度結果の概要」/https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/kyuushoku/kekka/k_detail/1413836.htm

(出典:文部科学省「令和4年度学校給食における地場産物・国産食材の使用状況調査」/https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/eiyou/gaiyou/1406811_00004.htm

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学校における食育推進の取り組みの例

学校における食育を推進するために、平成26年度から平成28年度にかけてはスーパー食育スクール事業が行われました。スーパー食育スクール事業とは、先進的な食育プログラムを開発するスーパー食育スクールを指定し、栄養教諭や外部の専門家を活用しながら食育を進める事業です。

ここからは、スーパー食育スクールにおいて、どのような食育が行われているのかを解説します。

肥満傾向児の出現率を抑える取り組み

食生活の多様化や生活スタイルの変化に伴って、子どもの肥満が増加したことを受け、肥満傾向にある子どもを減らす取り組みを行っている学校があります。具体的な活動として挙げられるのは、「給食で主食となるごはんの量を決める」「かみごたえのある食事にする」「カロリースケールを置いてエネルギー量を計測する」などです。

肥満は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ることが大きな要因となっています。食事ごとのカロリーやかむ回数を意識させることは、食べすぎを防ぐのに有効な手段と言えるでしょう。

(出典:文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」/https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm

食生活・生活習慣を改善する取り組み

食育においては、日々の食生活に限らず、生活習慣を見直すことも重要です。ただし、「具体的に何をどうすればよいのか」を子どもでも分かるように説明しなければ、食育につなげることはできません。そうした観点から、ホームルームや授業の合間に栄養教諭による食育指導を実施したり、給食中に校内放送で食に関する情報を提供したりしている学校もあります。

食生活・生活習慣の見直しには家庭の協力も不可欠ですが、家庭での協力を仰ぐには「給食だより」を使った啓蒙活動が効果的だとされています。給食だよりは児童の保護者がよく目にする媒体のため、家庭における食育の方法を載せることで、実践してもらえる可能性が上がるでしょう。

(出典:文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」/https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm

食を通して体力の向上を図る取り組み

近年は、健康的な心身を作るだけでなく、スポーツのパフォーマンスを高めるために食育が活用されることも少なくありません。野球やサッカーの強豪校など、スポーツが盛んな学校では、子どもの体力向上を目的とした食育に取り組んでいるところも数多く見られます。具体的な活動として挙げられるのは、「低脂肪・高たんぱく質の食事メニューを提供する」「食育指導による体力の変化を検証するテストを実施する」などです。

さらに、保護者向けの講演会やお知らせの発行を行い、「食を通した体づくりの方法」を家庭と共有する学校もあります。生徒だけでなく、保護者にも協力してもらうことで、体力向上を目指した食育が実践できるでしょう。

(出典:文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」/https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1292952.htm

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まとめ

現代は、核家族化や共働き世帯の増加などの影響で、保護者による子どもへの食事管理が行き届かなくなっているのが現状です。そのため、学校における食育推進活動への期待は年々高まっています。

そうしたなか、国は食育基本法や食育推進基本計画、栄養教諭制度などを整備することで、学校での食育指導を推進しています。学校栄養士や栄養教諭として活躍されている方や、学校栄養士、栄養教諭を目指している方は、実際の取り組みを参考にしながら、「どのような食育を実践すればよいのか」を考えてみましょう。

マイナビコメディカルでは、食育に関する情報のほかにも、管理栄養士・栄養士の方に役立つ情報を数多く発信しています。転職を検討している管理栄養士・栄養士の方に向けて、キャリアアドバイザーによる転職サポートも行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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