特養で働く管理栄養士の仕事内容|栄養ケア・マネジメントとは
管理栄養士が活躍できる職場の1つに、「特別養護老人ホーム(特養)」があります。しかし、なかには特養での仕事内容や給料相場がわからず、就職・転職するかどうかを悩んでいる管理栄養士の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、特養で働く管理栄養士の仕事内容について、具体的にご紹介します。また、特養での仕事に向いている方の特徴や、給料相場にも触れるので、ぜひ参考にしてくださいね!
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目次
そもそも特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホーム(特養)は、自宅での生活が困難な高齢者に対して、食事や排泄、入浴などの介護や日常生活の援助、機能訓練などを提供する施設です。主な利用対象者は、要介護度3以上の高齢者の方。施設形態には、相部屋になっている施設と個室になっている施設の2種類があります。
特養は、社会福祉法人や地方自治体などが運営する公的な老人ホームであり、企業などが運営する民間の老人ホームに比べると、利用者さまの負担する費用が安い点に特徴があります。
特養で働く管理栄養士の主な仕事内容
2021年に行われた介護報酬制度の改定により、特養などの施設系サービスの運営基準に「入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行う」ことが盛り込まれました。また、管理栄養士による栄養ケア・マネジメントを行っていない施設は、報酬が減算されるようになりました。管理栄養士は特養において、より一層重要な役割を担うことになったわけです。
(出典:日本栄養士会「令和3年度介護報酬改定、管理栄養士・栄養士これだけは押さえたい3つのポイントをチェック」/https://www.dietitian.or.jp/features/nursing-reward/20210302-01.html)
ここでは、特養で働く管理栄養士の仕事のうち、主な3つを紹介します。
将来性や転職時のポイントも
栄養ケア・マネジメント
管理栄養士の代表的な仕事の1つが、利用者さまの栄養管理を計画的に行う栄養ケア・マネジメントです。利用者さまが低栄養状態にならずに健康な生活を送るためには、適切に栄養を取ることが重要です。管理栄養士は、利用者の栄養状態や食事の摂取状態を詳しく把握し、栄養ケアの計画を立案・改善します。
日本栄養士会が行った、特養で働く管理栄養士の実態調査では、「栄養ケア・マネジメントにおいては、ほかの職種との連携が重要視されている」という結果が出ています。栄養ケア・マネジメントでの多職種協働による連携について、「している」と回答したのは71.9%、「少ししている」が22.6%となっており、合わせると全体の9割以上にのぼります。
(出典:日本栄養士会「特別養護老人ホームにおける管理栄養士の今後のあり方に関する調査研究事業報告書」/https://www.dietitian.or.jp/data/report/18_1.pdf)
たとえば、管理栄養士が看護職と連携することで、血液検査の結果に基づいて必要な栄養を検討できます。このように、管理栄養士と他職種が連携すれば、1人の利用者さまに対して、より多くの角度からのアプローチが可能となるわけです。
献立作成
利用者さまに提供する食事の献立作成業務も、特養における管理栄養士の重要な役割です。献立作成においては、利用者さまが必要とする栄養を摂取できる献立を作成したうえで、食材の発注業務なども担当します。
また、かむ力が弱まっている利用者さまに対しては、柔らかく食べやすい食事を用意するなど、1人ひとりの状況に応じた配慮も大切です。
調理業務・料理提供
献立を作成したら、実際に調理し、利用者に提供します。利用者さまから「おいしかった」「ありがとう」などと声をかけてもらえたときは、やりがいや自分自身の成長を感じられるでしょう。
食事の様子を観察する目的などから、管理栄養士が食事介助を行う場合もあります。日本栄養士会の調査によると、食事介助の頻度は「週に1~3回」が31.0%、「日に1回」が17.1%でした。「していない」と回答した割合も36.0%にのぼるため、管理栄養士が食事介助を行うかどうかは、施設によると言えそうです。
(出典:日本栄養士会「特別養護老人ホームにおける管理栄養士の今後のあり方に関する調査研究事業報告書」/https://www.dietitian.or.jp/data/report/18_1.pdf)
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特養で働く管理栄養士の給料相場
マイナビコメディカルの求人情報から算出した、特養で働く管理栄養士・栄養士の年収相場は、「約260万~310万円」です。下表にまとめた通り、職場によって給料の傾向は異なります。
【職場別】管理栄養士・栄養士の平均年収 | |
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管理栄養士・栄養士全体(※) | 約368万円 |
病院・診療所 | 約300万~400万円 |
福祉施設(介護施設・児童福祉施設など) | 約260万~310万円 |
保育施設 | 約300万~350万円 |
行政機関(公務員) | 約450万~600万円 |
給食施設 | 約330万~400万円 |
その他事業所(美容業界・食品業界など) | 約250万~330万円 |
(※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html)
(それ以外の出典:マイナビコメディカル/https://co-medical.mynavi.jp/)
行政機関で働く管理栄養士・栄養士の平均年収が約450万~600万円ともっとも高く、次いで給食施設、病院・診療所となり、福祉施設はもっとも低い水準となっています。そのため、管理栄養士・栄養士が特養で働く場合、給料面での不安があると感じるかもしれません。
しかし、同じ特養でも施設によって、管理栄養士・栄養士の給料は大きく違います。特に、管理栄養士・栄養士としての経験が豊富な方は、好待遇が期待できるでしょう。また、住宅手当や扶養手当など、各種手当が充実している特養も多く見られます。
できるだけ給料が高い職場を見つけたい場合は、求人検索や応募の際に、賞与や各種手当といった基本給以外の要素にも注目してみてくださいね!
職場別の平均給与を公開
特養での勤務が向いている管理栄養士の特徴
特養での勤務は、管理栄養士のなかでも次のような方に向いていると言われます。
・利用者と直接関わりたい方 |
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ほかの介護施設では、利用者さまが食事する場面を直接見るのが難しい場合もあります。一方、特養では近い距離でコミュニケーションをとりながら、直接確認することができるでしょう。 |
・多様な取り組みをしたい方 |
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特養では、利用者さまに楽しんでもらうために、行事食・イベント食など特別な食事の企画や提供も行います。たとえば、クリスマスやお正月、ひな祭りなどに合わせた食事がその一例です。自分のアイデアが料理に反映され、利用者さまがいつも以上に楽しみながら食事をしている様子を見ると、大きなやりがいを感じられるでしょう。 |
おすすめの関連資格
特養で働く管理栄養士にとって、資格の取得が勤務に役立つこともあります。資格取得を目指すのであれば、「介護支援専門員」と「介護食士」の2つがおすすめです。
・介護支援専門員(ケアマネジャー) |
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介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に定められた職種であり、介護や支援を必要とする方へのケア・マネジメントが主な仕事です。ケア・マネジメントとは、要介護者・要支援者からの相談を受けて、希望や健康状態などを確認し、最適なサービスを受けられるよう市区町村や事業者と連絡をとる業務を指します。また、ケアプランの作成も、介護支援専門員にとっての大事な業務です。高齢者1人ひとりに最適な支援を行き届かせるためには、介護支援専門員の果たす役割が非常に重要だと言えるでしょう。 資格取得には、管理栄養士などの勤務実績を5年・900日以上積んだうえで、資格試験に合格する必要があります。 (出典:日本介護支援専門員協会「介護支援専門員とは」/https://www.jcma.or.jp/?p=21659) |
・介護食士 |
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介護食士は、要介護者に対する食事提供に関して、専門的な知識・技術を所有している方に交付される民間資格です。1級〜3級があり、調理訓練校や調理師学校などで講習会を受けた後、修了試験に合格すれば取得できます。 3級は誰でも受講できるうえに、受講時間が72時間と充実しているため、介護食についての基礎知識を固めるのに最適です。介護食に関してさらに専門的な知識を学び、管理栄養士としてのレベルアップを図りたい場合は、2級や1級を受講するとよいでしょう。 (出典:全国調理業訓練協会「介護食士とは」/https://www.kaigosyokushi.jp/qualifications/kaigosyokushi/) |
介護関連の資格を取得していると、キャリアアップや待遇面においても有利に働く場合があります。今後、介護の分野でキャリアを形成しようと思っている管理栄養士の方は、ぜひ資格取得を検討してみましょう。
つらい・疲れたと感じたときの対処法
まとめ
特別養護老人ホーム(特養)とは、要介護度3以上の高齢者を対象とした施設であり、管理栄養士が活躍できる職場の1つです。特養で働く管理栄養士は、主に「栄養ケア・マネジメント」「献立作成」「調理業務・料理提供」の3つの業務を担います。利用者さまから「おいしかった」「ありがとう」と声をかけてもらえたときは、管理栄養士として大きなやりがいを感じられるでしょう。
特養で働くことを検討している管理栄養士の方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルは、医療や介護分野に特化した転職サイトであり、専門知識が豊富なキャリアアドバイザーが、1人ひとりに寄り添いながら、転職活動をしっかりサポートいたします。
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