スクワットの正しいやり方は?姿勢や動作を徹底解説!
公開日:2024.06.24
文:柴田 太資(トレーニング指導者 大分高校・中学校サッカー部トレーナー)
「キュッと上がったヒップラインに憧れる」「引き締まった美脚を手に入れたい」そう思ったことはありませんか。スクワットは特別な器具を使わなくても、自重だけで引き締まったヒップラインや美脚づくりに役立つトレーニングです。正しい姿勢や動作でスクワットを行うことで、運動効果を高めながら安全に体を鍛えることができます。またスクワットはバリエーション豊富で、自分の体力や鍛えたい部位に合せてトレーニング方法を選択できるのも魅力です。
そこで本記事ではスクワットの効果や、正しいトレーニング方法について解説します。自宅で手軽に筋トレしたい方や、効率よく下半身を鍛えたい方は、ぜひ参考にしてくださいね!
スクワットで鍛えられる筋肉とは
スクワットはおしりの筋肉である大殿筋や太腿の大腿四頭筋、ハムストリングスといった下半身の筋肉を中心に、全身を鍛えられる筋肉トレーニングです。ひと口にスクワットといえど、やり方やフォームのバリエーションが多く、鍛えられる部位もそれぞれ異なります。ここではスクワットの筋トレ効果が大きいとされる、大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの3つの筋肉について解説します。
大殿筋
大殿筋は骨盤の後ろから太ももの外側に付いている、おしりの大部分を占める筋肉です。大殿筋は太腿の筋肉と連携しており、股関節を後ろに伸ばしたり外に広げたりするときに働きます。歩く、しゃがむ、姿勢を維持するといった、日常動作をスムーズに行ううえで欠かせない筋肉です。
大殿筋のトレーニングにおすすめなのは、脚を広い間隔で開いて腰を下ろすワイドスクワットです。ワイドスクワットは太腿と床が並行になるまで深く腰を落とすことで大殿筋をしっかりと刺激できます。ヒップアップ効果が期待できることはもちろん、基礎代謝の向上にも役立ちます。また、引き締めるだけでなくヒップにボリュームが欲しい場合は、バーベルやダンベルで負荷をかけるとより効果的です。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は太腿の前にある4つの筋肉、大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋の総称です。大腿四頭筋はひざを伸ばしたり、股関節を曲げたりといった動きに作用し、歩行をはじめとする下半身の動きに深く関与しています。大腿四頭筋を鍛えることで太腿を引き締められるだけでなく、下半身の強化にもつながります。
大腿四頭筋のトレーニングにおすすめなのは、ブルガリアンスクワットです。ブルガリアンスクワットでは立ち上がり切る寸前で大腿四頭筋に負荷がかからなくなるため、ひざを伸ばしきる前に腰を落とすことがポイントです。ひざが曲がった状態を維持することで、大腿四頭筋を刺激し続けることができます。大腿四頭筋は太腿の前側を構成する大きな筋肉により、鍛えると見た目の変化が分かりやすく、エクササイズのモチベーション維持に役立ちます。
ハムストリングス
ハムストリングスは太腿の後ろ側にある3つの筋肉、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称です。ハムストリングスを構成する筋肉群は、ひざを曲げたり股関節を動かしたりする動きに大きく作用します。ハムストリングスの強さと柔軟性を高く維持することで下半身の安定感が増し、ひざ痛や腰痛の予防にも繋がります。
ハムストリングスのトレーニングにおすすめなのは、ワイドスクワットです。ワイドスクワットではおしりを後ろに突き出すイメージで上体を前傾させ、股関節をしっかりと曲げながら腰を落とすことがハムストリングスを鍛えるポイントです。ハムストリングスを鍛えると同時に大殿筋も刺激されるため、効率的に下半身をシェイプアップできます。
スクワットで得られる3つの効果
スクワットのトレーニング効果は、主に以下の3つです。
①ヒップアップ
②姿勢の改善
③消費カロリーの向上
詳しく見ていきましょう。
①ヒップアップ
スクワットはおしりの大きな筋肉(大殿筋)を鍛えられるため、ヒップアップ効果が期待できます。大殿筋を効率よく鍛えるためには深く腰を落とすことと、股関節をしっかり曲げることを意識しましょう。腰の落とし方が浅いと太腿の前の筋肉である大腿四頭筋に負荷がかかり、大殿筋への効果が半減してしまいます。トレーナ―がいない状態でスクワットを行う際は、動作中の姿を鏡で確認しましょう。鏡でひざの角度や腰の落とし方などを確認することで、スクワットの正しい姿勢と動作が身につきます。
②姿勢の改善
抗重力筋とは、重力に対して立位や座位などの姿勢を保持するために働く筋肉のことです。抗重力筋は大殿筋や大腿四頭筋をはじめ、背筋や腹筋など全身に張り巡らされ、重力に対して常にバランスを保っています。日常生活で無意識に姿勢を保つことができるのは、抗重力筋が正常に機能しているからです。このことから、抗重力筋の衰えは姿勢のくずれにつながると考えられます。
スクワットは自分の体重を使って行う自重トレーニングであり、大殿筋や大腿四頭筋、ハムストリングスにある抗重力筋を効率よく鍛えることができます。スクワットは抗重力筋を強化するだけでなく、姿勢改善効果も期待できるでしょう。
③消費カロリーの向上
人間の筋肉の約7割は下半身に集中しており、スクワットではおしりや太腿といった下半身の筋肉をまんべんなく鍛えられます。スクワットで下半身を強化することで基礎代謝が上がり、筋トレによる活動量の増加に伴い消費カロリーも向上します。スクワットを継続することは、太りにくい体づくりにも役立ちます。
【種類別】スクワットの正しい姿勢と動作
スクワットには、さまざまなバリエーションがあります。それぞれ適切な姿勢と動作に注意しながら、安全かつ効果的にトレーニングをおこないましょう。
ノーマルスクワット(自体重)
スクワットはしゃがむ深さによって名称が変わり、深く腰を落とすほど筋肉の負荷が高くなります。
・フルスクワット :ひざよりも低い位置までおしりを下げる、最も深いスクワット
・パラレルスクワット :太ももの前側が床と平行になるまで下げるスクワット
・ハーフスクワット :ひざが90度に曲がるまで下げるスクワット
・クォータースクワット:ひざが45度に曲がるまで下げるスクワット
ここでは、ハーフスクワットの姿勢と動作を画像付きで解説します。
1. 足を肩幅に開いて立ち、つま先は30度外側に向ける。
2. 足裏全体に均等に体重をかけたまま、おしりを後方に引いて4秒かけて腰を落とす。動作中、つま先とひざは同じ向きになるように注意する。
3. ひざの角度が90度になったら一度静止し、2秒かけて立ち上がる。1セット10回〜20回を2〜3セット行いましょう。
スプリットスクワット
片足でおこなうスクワットです。通常のスクワットより強度が高まるため、バランスが崩れやすい場合は壁や手すりなどで体を支えながら行いましょう。
1. 足を前後に1m程度ひらき、両足ともつま先をまっすぐ前に向けて立つ。前足は足裏全体に均等に体重をかけ、後ろ足はつま先立ちの姿勢をつくる。
2. 前足に約8割体重をかけたまま、ひざが90度になるまで4秒かけて腰を落とす。動作中、つま先とひざは常に正面に向ける。
3. ひざの角度が90度のところで一度静止し、2秒かけて立ち上がる。片脚1セット10回〜20回を2〜3セット行いましょう。
ブルガリアンスクワット
スプリットスクワットの後ろの足を、台に乗せた状態でおこなうスクワットです。前足のトレーニング強度が上がるうえ、後ろ足の太腿前のストレッチ効果も期待できます。ヒップアップや美脚づくりにおすすめのトレーニングです。
1. 足を前後に1m程度ひらき、後ろの足は台(30~40cm程度の高さ)の上に乗せる。前足は足裏全体に均等に体重をかけ、後ろ足はつま先立ちの姿勢をつくる。
2.前足に約8割体重をかけたまま、ひざが90度になるまで4秒かけて腰を落とす。動作中、つま先とひざは常に正面に向ける。
3. ひざの角度が90度のところで一度静止し、2秒かけて立ち上がる。片脚1セット10回〜20回を2〜3セット行いましょう。
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バーベルスクワット
バーベルをかついでおこなうスクワットです。バーベルを担ぐ位置や足幅によって名称が異なります。
・バックスクワット:首の後ろにバーベルをかつぐ
・フロントスクワット:首の前でバーベルをかつぐ
・オーバーヘッドスクワット:バンザイでバーベルを持つ
・ワイドスクワット:足幅を開いて行うバックスクワット
ここではもっとも基本的なバックスクワットの動作を、パラレルスクワットの定義に基づいて解説します。
1. 肩甲骨を背骨によせ、肩の筋肉の上にバーベルを乗せ立ち上がる。足を肩幅に開き、つま先は30度外側に向ける。自分の重心とバーベルの重心が、足の真上にあるようなイメージで姿勢を保つ。
2. 足裏全体に均等に体重をかけたまま、おしりを後方に引いて4秒かけて腰を落とす。動作中、つま先とひざは同じ向きになるように注意する。
3. 太腿の前側が床と平行になるところで一度静止し、2秒かけて立ち上がる。呼吸はしゃがむときに吸い、立ち上がる時に吐く。1セット10回を2〜3セット行いましょう。
スクワットの3つの注意点
スクワットで運動効果を得るためには、注意するべきポイントがあります。
①つま先とひざの向きを揃える
②呼吸を意識する
③足裏全体で重心をとる
詳しく見ていきましょう。
①つま先とひざの向きを揃える
スクワットを行う際は、必ずつま先とひざの向きを揃えましょう。つま先とひざの向きがバラバラだと、鍛えられる筋肉に偏りが生じやすくなります。
また、ひざの靭帯や股関節に大きな負担がかかるおそれがあることから、ひざ痛や腰痛の原因にもなりかねません。つま先とひざの向きを揃えることで、不要な負荷を軽減しながら安全にトレーニングできます。
②呼吸を意識する
スクワットでは息を吐きながら立ち上がり、ゆっくりと息を吸いながら腰を落とすことが基本です。呼吸を止めた状態でトレーニングを行うと、血圧が上がりやすくなり心臓や血管への負担になります。適切な呼吸は安全性を高めることはもちろん、運動効果の向上にもつながります。
③足裏全体で重心をとる
スクワットを行う際は、足裏全体で重心をとることが大切です。足裏全体で重心をとることで体の安定感が増し、負荷をかけたい筋肉に適切にアプローチできます。つま先やかかとに重心が偏ると体がブレやすくなり、運動効率の低下につながると考えられます。
スクワットでは「ひざがつま先よりも前に出ないように腰を落とす」ことが注意点として挙げられますが、あまり気にする必要はありません。骨格や体型によってどうしてもひざがつま先よりも出てしまったり、けがのリスクに配慮した結果あえてフォームを変えたりすることもあるからです。足裏の重心に気を付けることで、過度に意識しなくても自然に正しい姿勢や動作でトレーニングできるでしょう。
まとめ
スクワットは正しい姿勢と動作で行うことで、より効率よく安全に下半身を鍛えられます。下半身を鍛えると自然に良い姿勢を保てるようになったり、消費カロリーが向上したりと、長期の健康につながる効果が期待できます。また、スクワットにはさまざまな種類があり、鍛えたい部位にあわせてメニューを組み合わせられることも魅力です。おしりのたるみや太腿の贅肉にしっかりとアプローチできるため、下半身に悩みを抱える女性にピッタリの筋肉トレーニングです。ここでお伝えした内容を、ぜひ理想の体づくりに役立ててくださいね。
<参考文献>
ストレングス&コンディショニング / 著:Thomas R.Baechle Roger W.Earle
パーソナルトレーナーズバイブル / 企画・構成:阿部良仁 岩間徹 監修:矢野雅知
科学的に正しい筋トレ 最強の教科書 / 著:庵野拓将
![柴田 太資](https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/wp-content/uploads/sites/2/2024/03/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-e1713489778450.jpg)
柴田 太資
プロアスリートのトレーニング指導、放課後等デイサービスセンターや学童保育など子どもの運動指導、健康増進のためのパーソナルトレーニングなど、幼児から高齢者まで幅広い世代を対象にトレーニングを指導する。専属契約する大分高校サッカー部はプロ選手も多数輩出する全国大会常連の強豪校。パーソナルトレーニングジムの経営や24時間型フィットネスクラブの運営にも携わる。
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