【スマホ首でお悩みの方必見】ストレートネック解消アプローチと予防策を解説
公開日:2024.11.02
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
ストレートネックは、現代人の多くが抱えているお悩みです。そしてこのストレートネックは、日常生活の必需品であるスマートフォンの長時間使用が原因となっていることが多いので「スマホ首」とも呼ぶこともあります。
見た目が気になることはもちろんですが、重度になると頭痛や首こりに繋がるケースもあるので、解決したいお悩みですよね。そこで当記事では、ストレートネックを解消するためのアプローチや事前に予防するための対策方法について解説します。ぜひ日常生活に取り入れてみてくださいね。
そもそもストレートネックとは?
本来、背骨は、S字のカーブを持つのが正常です。頚椎と腰椎は前弯(前にカーブしている状態)、胸椎は後弯(後ろにカーブしている状態)しています。このS字カーブがあることで、衝撃を吸収することができ、背骨の神経を守っています。
しかしその頚椎のカーブがなんらかの原因により減少し、真っ直ぐになっていることをストレートネックと言います。つまり頚椎の前弯が減少しているということです。
要因としては、現代人はスマホやPCなどを長時間に渡り使用し、頭が前に出ることが多く、その結果として頚椎のカーブが減少し真っ直ぐになっていることなどが考えられます。
ストレートネックはなぜ治した方が良いのか?
結論からお伝えすると、ストレートネックになり頚椎の弯曲が減少することで、首への負担が大きくなるためです。
人の頭の重さは、約4.5kgあります。本来、人の頭は頚椎の真上に位置するため、首にかかる負担は、4.5~5.5kgと言われます。しかし首が前に傾けば、その分頸部の筋肉で支える必要があるため、負担が増えるのです。実際に、首を約60度傾けることで首にかかる負荷は0度の時と比較し、5〜6倍程度と言われています。1)
その結果、首や肩周りの筋肉の血流が悪化し、首こりや肩こりに悩む方が多いのです。
また弯曲が少なくなることで、椎間板(背骨のクッション)へ掛かる圧が不均一になります。これにより特定の部分に過剰な圧力が掛かるため、椎間板が突出し、頚椎椎間板ヘルニアなどを引き起こす可能性もあります。そうすることで神経を圧迫し、痛みや痺れを引き起こすこともあるのです。
ストレートネック解消アプローチについて解説!
それでは実際にストレートネックを解消していくアプローチについて解説します。ストレートネックになっている方の多くは猫背で、胸郭が前傾し、胸椎が過度に後弯している方を多く見かけます。頚椎の土台は胸郭となるため、まずはその土台となる胸郭のポジションを整えてから、首や肩周りの筋バランスを整えていくことをおすすめします。
【土台を整える】リバースプランク
まずは土台となる胸郭のポジションを整えましょう。胸椎を伸展し、肩甲骨や肩関節の位置も同時に整えやすいためおすすめのエクササイズです。また、頭が落ちないように維持することで、頸部の弯曲を作る筋肉も使うことができます。
⒈体育座りで座り、手をお尻の後ろにおきます。指先はお尻の方を向け、お尻から手の平一枚分後ろに置きましょう。巻き肩にならないように意識しましょう。
⒉胸をしっかりと引き上げながら、お尻を持ち上げます。肩から膝まで一直線になることを意識しましょう。
⒊顎を軽く引き、目線はお臍です。
⒋巻き肩や猫背にならないように意識をしながら、繰り返し実施しましょう。
【首の前側を鍛える】ハンドレッド
次に頚椎のカーブをつくるためのインナーマッスルを使っていきます。特に頸長筋(けいちょうきん)と呼ばれる、頸部の前面の筋肉が重要です。また、お腹の筋肉との連結もあるため、腹部を使うことで同時に賦活を狙います。
⒈仰向けの姿勢で寝て、股関節・膝関節は90度のポジションへ。
⒉軽く頷きながら、頭を持ち上げます。肩甲骨の一番下(下角)まで浮くように上体を起こしましょう。
⒊この時、顎は引きすぎたり頭が前に出ないように、顎と胸の間は拳一つ分程度を維持します。頭のてっぺんを遠くに伸ばす意識で行うと良いでしょう。
【首の後ろ側を整える】スイミング
次に、頸部の弯曲に関連する後頭下筋群(こうとうかきんぐん)や猫背を予防するために重要な僧帽筋(そうぼうきん)下部など、現代人が弱くなっている筋肉を使っていくエクササイズを紹介します。
⒈四つ這いの姿勢になりましょう。頭が落ちないように後頭部を天井に引き上げるような意識です。首を長く伸ばしましょう。さらに意識できる方は、手で床をしっかりと押し、脇の辺り(前鋸筋)を使う感覚を感じます。
⒉スタートポジションをキープしたまま、片手を前方に伸ばしましょう。
⒊反対の手も同様に行います。
【日頃から取り組みたい】ストレートネック予防策
エクササイズで改善を目指すことももちろん効果的ではありますが、日頃からの意識も重要です。また姿勢は環境に大きく依存するため、ご自身の生活環境を整えることもストレートネックの予防に繋がります。ここでは日常的に行える具体的な方法を紹介します。
長時間のスマホやPCの使用を避ける
まずはストレートネックの大きな要因ともなっている、長時間のスマホやPCの使用を避けることが重要です。猫背で頭が前に出ているような姿勢を長時間に渡り取っていることによって、筋のバランスも乱れますし、姿勢を制御する脳への司令も乱れます。
タイマーをかけて30分〜1時間に1回は休憩をするなど、可能な限り小まめに中断することをおすすめします。
定期的に目を動かす
視覚情報も姿勢に大きく関わります。スマホやPCを使用している時には、目が動かず画面に固定されてしまいます。定期的に目線を外し、頭や目を動かすと良いでしょう。
目を動かすことで同時に首も動かすため、頸部の筋肉を動かすきっかけにもなります。できる方は、首を回すようなストレッチもぜひ行ってみてください。
デスクの周辺環境を整える
PCを使用している方の多くは、画面が目線よりも低い印象です。そうすると自然と頭が前に出やすく猫背になるため、ストレートネックを助長します。目線と画面を同じ高さに揃えることで首への負担は軽減します。
また肘の角度が90度となるデスクの高さにすることで、姿勢を保ちやすくなります。
スマホを使用する時には、画面を目線の高さまで持っていくことが推奨されています。
まとめ
ストレートネックは首や肩への負担が大きくなるため、見た目だけでなく不調にも繋がるケースもあるでしょう。ストレートネックの方は、筋肉のバランスが乱れていたり、長時間に渡り頭が前に出ている姿勢を取っていることで脳への感覚情報が乱れているケースを散見します。
今回はそんなストレートネックの方に対して、頚椎の土台となる胸郭を整える方法と頚椎の弯曲に関わる筋肉を使うエクササイズを紹介しました。また、姿勢には環境が大きく影響しているため、日常の環境や生活を変えていくことも予防法も合わせて解説しています。
当記事がストレートネック解消のきっかけに繋がれば幸いです。
参考文献
Bishop, M. D., and A. Pruitt. “Effects of Physical Activity on Recovery from Sciatica: A Systematic Review.” Physical Therapy, vol. 94, no. 6, 2014, pp. 828-843.
服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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