筋トレに最適なインターバルは?自分に合った時間を考える方法を解説
公開日:2024.12.20
筋トレの効果を最大限に高めるためには「どのくらいの重量を何回繰り返せば良いのか」といった、負荷量がフォーカスされがちです。しかし実は、セットとセットの間のインターバル(休憩時間)を適切に設定することも、重要な要素となります。そしてこのインターバルは、筋トレの目的に合わせて最適な時間に設定する必要があります。
そこで今回は、筋トレの目的に合わせたインターバルについて解説します。「自分に合ったインターバルの目安がわからない」という人は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
どのくらいの時間インターバルを取る必要があるのか
筋トレでは、目的に合わせてインターバル(休憩時間)の長さを調整することで、効果的にトレーニングをすることができます。筋トレの目的は主に、以下の3つがあります。
1. 筋持久力の向上(繰り返しの負荷を何回続けられるかという筋肉の持久力)
2. 筋肥大(筋肉の体積が増加すること)
3. 筋力アップ(筋肉が一回の収縮で発揮する力)
「筋持久力の向上」が目的であれば、インターバルは1分程度。「筋肥大」が目的であれば、1〜2分程度。「筋力アップ」が目的であれば、2〜5分程度が目安となります。
短い時間のインターバルのメリット
インターバルを短くすることで得られる主なメリットに、「成長ホルモンの分泌量の増加」があります。またそのほかに「トレーニング効率の向上」や、「筋肥大の促進」などのメリットもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
成長ホルモンの分泌量増加
成長ホルモンとは、睡眠中や運動後などに分泌されるホルモンで、若年層に多く分泌されます。年齢とともに分泌量は低下していきますが、筋トレにより、成長ホルモンの分泌量を増加させることができると言われています。
長時間のトレーニングよりも、短時間で高強度のトレーニングを行う方が、成長ホルモンの分泌に有効です。特に短い時間のインターバルによって、分泌が促進されやすくなると報告されています。成長ホルモンはたんぱく質の合成を促す働きがあり、筋肉の修復や成長に効果的です。とくに「筋肥大」において重要な役割を果たします。
トレーニング効率の向上
短い時間のインターバルは、トレーニングの総時間を短縮することができるため、効率的なワークアウトが可能となります。時間の制約がある中でも効果的なトレーニングを行えるため、筋トレの習慣化にもつながりやすくなるでしょう。
筋肥大の促進
短い時間のインターバルでは、筋肉への負荷が持続的にかかりやすく、筋繊維がより多く損傷する傾向にあります。筋肉は、損傷した筋繊維が修復する際に、より大きく太く成長します。そのため筋肥大を目的とする場合には、短時間のインターバルが効果的です。
脂肪燃焼効果が高まる
短い時間のインターバルにより、心拍数が高まりやすくなります。心拍数が高まることで、運動後も代謝活動が持続し、エネルギーが消費され続けます。これを「アフターバーン効果」と言います。この「アフターバーン効果」により、脂肪燃焼効果が高まるメリットが期待できます。
短い時間のインターバルのデメリット
短い時間のインターバルは、多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。効果的にトレーニングをする上で、短い時間のインターバルのデメリットもしっかりと理解しておきましょう。
パフォーマンスの低下
短い時間のインターバルでは、筋肉の回復が不十分なまま次のセットに入ります。そのため持ち上げられる重量や回数が減少したり、正しいフォームを維持することが難しいなど、パフォーマンスが低下する可能性があります。その結果、十分なトレーニング効果を発揮できない可能性が考えられます。
けがの危険性
短い時間のインターバルによって、筋肉の疲労や脳の疲労が蓄積されると、正しいフォームを維持することが難しくなります。フォームが崩れてしまうことで、一部の関節や筋肉に過度な負担がかかりやすくなり、けがの危険性が高まります。特に高重量での筋トレでは、負荷量が大きいため、より注意が必要です。
心拍数と血圧の上昇
短い時間のインターバルでは、心拍数が高まり、血圧も上昇する傾向にあります。心拍数や血圧の急激な変動は、健康に悪影響を与える可能性があります。心疾患や高血圧などのリスクのある方は、とくに注意が必要です。
長い時間のインターバルのメリット
長い時間のインターバルには、「筋力アップに効果的」「効果的な重量や回数がこなしやすくなる」「正しいフォームを維持しやすい」「けがのリスクの軽減」「ホルモンバランスの安定化」などのメリットがあります。順に解説していきます。
筋力アップに効果的
最大筋力(1回で持ち上げることのできる最大重量)を向上させるためには、1セット単位で最大筋力を出し切ってトレーニングを行うことが重要です。長い時間のインターバルをとることで、筋肉の疲労を十分に回復させてから、次のセットに入ることができます。その結果、1セットあたりの筋出力を最大限まで高めやすくなり、筋力アップの効果が期待できます。
効果的な重量や回数がこなしやすくなる
筋トレの効果を高めるためには、持ち上げる重量や回数も重要な指標となります。短い時間のインターバルでは、筋肉が疲労しやすく、必要な重量や回数をこなすことが難しい傾向があります。しかし長い時間のインターバルにより、筋肉の疲労が回復する時間を確保することで、十分な重量や回数をこなしやすくなります。
正しいフォームを維持しやすい
狙った筋肉へ効果的に刺激を入れるためには、正しいフォームで筋トレを行うことがポイントです。長い時間のインターバルをとることで、筋肉の疲労が回復する時間を確保し、正しいフォームを維持しやすくなります。また疲労は筋肉だけでなく、脳にも生じます。短い時間のインターバルでは、脳の疲労が蓄積し、集中力が低下することでフォームが崩れてしまう傾向があります。そこでインターバルの時間を長くすることで、脳の疲労も回復する時間が確保できるため、正しいフォームを維持しやすくなります。
けがのリスクの軽減
前述したように、インターバルの時間を長くすることで、正しいフォームを維持しやすくなります。その結果、一部の関節や筋肉へ過度な負荷が集中することを防ぎ、けがのリスクを軽減するメリットにつながります。
ホルモンバランスの安定化
短い時間のインターバルでは、成長ホルモンの分泌促進が期待できる一方で、「コルチゾール」の分泌量も増加します。この「コルチゾール」とは、ストレスホルモンとも言われ、過剰なトレーニングにより多く分泌されると考えられています。インターバルの時間を長くとり、短時間のインターバルに比べてコルチゾールの分泌を抑えることで、ホルモンバランスを安定させるメリットが期待できると考えられています。
長い時間のインターバルのデメリット
長い時間のインターバルには、メリットがある一方で、デメリットも存在します。効果的にトレーニングする上で、長い時間のインターバルのデメリットもしっかりと理解しておきましょう。
トレーニング効率の低下
長い時間のインターバルをとることで、1回のトレーニング時間が長くなります。そのため、限られた時間内でのトレーニング効率が低下します。また長時間になることで集中力が低下し、筋力やパワーを爆発的に発揮して、運動の成果を引き出す「筋トレパフォーマンス」も低下する場合があります。
筋肉へ十分な負荷をかけにくい
筋肉を成長させるためには、筋肉へ集中的に負荷をかける必要があります。筋肉は、刺激を与えることで筋繊維が損傷し、それが回復する過程でより大きく太く成長します。しかしインターバルが長過ぎると、筋肉へ集中的に負荷をかけることが難しくなり、効果が減少してしまう可能性があります。
成長ホルモン分泌の影響が少ない
短い時間のインターバルでは、成長ホルモンの分泌量が急激に増加する傾向にあることが知られています。しかし長い時間のインターバルでは、成長ホルモンの急激な増加は見込めないと考えられています。そのため、成長ホルモンによるトレーニングの相乗効果が得られにくくなるデメリットがあります。
目的に合わせたインターバル例
筋トレのインターバルは、長さによって期待できる効果が変わります。そのためどのような効果を狙うのか、目的を明確にすることが重要です。ここからは、一般的な筋トレの目的「筋持久力の向上」「筋肥大」「筋力アップ」にそれぞれ適した、具体的なインターバルの長さについて解説します。
筋持久力の向上が目的
「筋持久力」を向上させるためには、短めのインターバルが効果的です。具体的には30秒〜1分程度に設定します。筋肉が完全に回復しない状態で次のセットに入ることになるため、疲労状態で力を発揮しなければならず、筋持久力が鍛えられます。しかし過度な疲労は、パフォーマンスの低下やけがのリスクが高まるため、中等度の負荷(最大挙上重量の50〜70%程度)で15〜20回を目安に反復するようにしましょう。
筋肥大が目的
「筋肥大」を目的とする場合には、1〜2分程度の短めのインターバルが効果的です。筋肉が多少回復した状態で次のセットに入ることで、パフォーマンスの低下を抑えつつ、筋肉への刺激を十分に入れることができます。中等度から高度の負荷(最大挙上重量の70〜85%程度)で6〜12回を目安に反復します。損傷した筋繊維は回復する過程で大きく太くなるため、筋肥大が起こりやすくなります。
筋力アップが目的
「筋力アップ」を目的とする場合には、「筋持久力の向上」や「筋肥大」を狙った際のインターバルよりも、少し長めの2〜5分程度に設定します。長めのインターバルをとることで、筋肉の疲労を回復する時間が確保できるため、セットごとに最大限の力を発揮しやすくなるはずです。高度の負荷(最大挙上重量の85%以上)で、1〜5回程度を目安におこないます。負荷量が大きくなるため、短いインターバルではパフォーマンスが低下しやすくなります。逆に長いインターバルをとって疲労回復を促すことで、次のセットで再び最大の力を発揮しやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、筋トレに最適なインターバル(休憩時間)について解説しました。インターバルの時間設定は、筋トレの目的によって異なるため、まずは筋トレの目的を明確にする必要があります。
また短いインターバル、長いインターバルには、それぞれメリットとデメリットがあります。「筋持久力の向上」「筋肥大」「筋力アップ」など、目的に合わせて最適なインターバル(休憩時間)をとり、効果的にトレーニングをしていきましょう。
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