メールマナー⑪読みやすいメール本文の書き方と例文を解説【第91回】
公開日:2024.06.25
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
ここまで7回にわたってメール本文の書き方について項目別に説明してきました。
今回は、読みやすい本文の書き方について文例を使って説明します。
読みやすいメール本文の書き方
メールを開封してすぐに、読み手は「読みやすい」か「読みにくい」かを感じとります。文章を読まなくても、パッと見た印象だけで「読みたい」「読みたくない」などと判断してしまうのです。
読みやすいメールは、一度読めばすんなり内容が理解できます。読みにくいメールは、一度では内容を理解するのが難しかったり、長文のため最後まで読むのに集中力が必要だったりします。
繰り返し読んでも何を言いたいのか分からない場合、メールの書き手が求めている返信や回答といった行動につながらない結果になってしまいかねません。
本文を書くときは「読みやすい」文章を書くことが大切なのです。ここから、読みやすいメール本文の作成に向けた具体的なポイントをまとめてみます。
適度に改行する
1行の文字数が多くなると横幅が広くなり、読みにくいと感じる人もいます。1行を20~30文字程度にして、文が途中で切れないように、句読点や文節のところで適度に改行するといいでしょう。
適度に行間をとる
メール本文は宛名の後に「挨拶→名乗り→要旨→詳細→結びの挨拶」と続きます。行間を入れずに全てを続けると、メリハリがなく読み手は疲れてしまうかもしれません。たとえば、読んでいる途中で席を立ち、戻って来た時にどこまで読んだのかすぐにわからず、結局最初から読み直すことになってしまうと、忙しい時はイライラにつながってしまう可能性もあるでしょう。
そこで、同じ内容の文章をひとまとまりにして、異なる内容の文章は行間をとり、空白を入れると読みやすくなります。途中で読み返すときも、行間があることで読みたい文章を見つけやすくなる効果があります。
行間は、同じ内容の文章ひとまとまりごとに1行くらい空けるといいでしょう。文章中に意識して「、(読点)」を多めに入れ、ひとまとまりの文章が長くなりすぎないように気を付けることも大切です。どうしても長くなる場合は、2文に分けるなどの工夫をしましょう。
見出しを付ける
「詳細 」でも説明しましたが、本文は箇条書きにすると見た目がすっきりすることに加えて、要点を伝えやすくなります。
箇条書きにする場合、必要事項のみを記載するため、敬語などの言い回しを考える必要がありません。敬語の使い方で迷うことが多い人には、メリットの一つと言えるでしょう。
また、複数の内容を伝えたいときは、◆や●といった記号、(1)(a)などの数字や文字で見出しを付けると、項目が目に留まりやすく、伝えたい内容が一目でわかります。
メール設定は、テキスト形式にする
HTML形式では、画像を埋め込んだり文字の大きさを変えたりすることが可能ですが、データ容量が大きくなったり、メールソフトによって表示されなかったりする場合もあります。
一方、テキスト形式のメールはデータ容量が小さく、異なるメールソフトでも一貫した表示が期待できます。そのため、ビジネスメールはテキスト形式に設定しておくと安心です。
機種依存文字を使わない
パソコン等の環境によって文字化けや表示エラーを起こす可能性がある文字を機種依存文字といいます。
代表的な例として、丸囲みの数字やローマ数字、センチメートルやキログラムなどの単位や特殊な記号などがあります。また、カタカナを使う場合は、半角ではなく全角を使いましょう。
ここまでのポイントを踏まえて、文例を紹介します。
件名 【〇〇会議】日程調整のお願い
本文
関係者各位
お疲れ様です。
リハビリテーション科のマイナビ太郎です。
〇〇について会議を行いたいため、
日程調整のご連絡をさせていただきました。
以下の日程でご都合の良い日時を
〇月〇日(曜日)までにご連絡いただけますと幸いです。
●候補日:
・〇月〇日(○曜日)〇〇:〇〇~〇〇:〇〇
・△月△日(△曜日)△△:△△~△△:△△
・□月□日(□曜日)□□:□□~□□:□□
●所要時間:1時間
●場所: A会議室
お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
************************
医療法人社団〇〇 ●●リハビリテーション病院
リハビリテーション科 科長
マイナビ太郎
電話 ○○-○○○○-○○○○
メール taro-mynavi@○○○○
************************
読みやすいメールは、一度読めば内容がすぐに理解できるため、返信等の次の行動につながりやすいと言えます。
相手がどのような状況でメールを読むのかわからないからこそ、相手の状況を思いやる気持ちを持って、簡潔な文章でメールを作成しましょう。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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