病院・施設でのエレベーター乗降マナー(後編)「降り方」と「見送り」【第34回】
公開日:2019.07.01 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
エレベーターを降りるときも患者さん優先で~患者さんの安心を見届ける
前回説明したエレベーターに乗るときのマナーは、パターンが複数あり複雑に感じた人もいると思います。降りる際にもマナーがありますが、乗るときほど難しくないのでしっかり覚えて落ち着いて対応しましょう。
降りる際は、目上の人から降りるのがマナーです。患者さんと上司が同乗する場合は、患者さんが先に降り、続いて上司が役職の高い順に降ります。目下の人は、扉が開くと同時に操作盤で【開】ボタンを押し、最後の人が降りるまで【開】ボタンを押し続けます。この際、扉が閉まらないよう、もう一方の手で扉を押さえるとより丁寧で安全です。降りる人がいなくなったら、最後に自分が降ります。
乗り合わせた患者さんや上司が先に降りる場合、【開】ボタンを押しながら「どうぞ」と声をかけます。自分が違う階で先に降りる、という場合は、「お先に失礼します」とひと声かけてから降りると感じがいいものです。
自分以外に降りる人がいないとわかっている場合、【閉】ボタンを押して出る方法もありますが、無理する必要はありません。
また、他の人が降りるときは、進路をあけたり一旦エレベーターから降りて外から手で扉を押さえたりして、降りる人がスムーズに安全に降りられるように配慮しましょう。
患者さんが先に降りる場合、院内を詳しく知らないことが多いもの。目的の階に着いたら、患者さんが戸惑わないよう「どうぞ」と声をかけ、降りたらすぐに「こちらです」と進行方向を示す気配りができると安心感が増します。

見送りはエレベーターホールまで~周囲を見渡しタイミングをはかる
患者さんをお見送りする際のルールは施設ごとに決まっていると思いますが、一般的にはエレベーターホールまでお見送りするのがマナーです。
患者さんをエレベーター前で待たせる時間を短くするため、職員が素早くエレベーターのボタンを押しましょう。見送りの職員が複数いる場合は、目下の人がボタンを押しに行きます。ただし、車椅子や杖を使っている患者さんの場合、エレベーターホールに着くまでの時間を考慮し、タイミングを見計らってボタンを押すのも思いやり。エレベーターを長く止めるのを防ぐことができます。
待っている間、雑談することもあると思いますが、エレベーターが来たら切り上げます。開いた扉を手で押さえ、患者さんが安全に乗りこむのを確認しましょう。患者さんが乗ったら、見送りの言葉や挨拶と同時にお辞儀をします。お辞儀はエレベーターの扉が完全に閉まるまで続けるととても丁寧な印象になります。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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