仕事を教えてくれない上司や先輩に対して自分ができること【第62回】
公開日:2021.12.09 更新日:2023.09.04
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
入職したらすぐに仕事を教えてもらえるもの。セラピストに限ったことではありませんが、そう思っている人は少なくないと思います。しかし、思うようにならないこともあるのが社会人。
入職したものの
「先輩に聞きたいけど、何を聞いていいのかわからない」
「忙しそうで、声をかけるタイミングがわからない」
このような状況になると途方にくれてしまいますよね。
セラピストとして成長するためには、教えてもらうのを待つだけでなく、自分から一歩踏み出して、教えてもらうための行動をとることも大切です。
今回は「仕事を教えてもらうためのポイント」について考えてみます。
仕事を教えてもらえないときにできること
セラピストの勤め先には、研修担当者や研修プログラムが決まっている場合と、研修体制が定まっていない職場とがあります。上司が仕事を教えてくれない場合、まずは、自分で何ができるか考えましょう。
上司に教える気がないからと言って、自分が何もやらなくていいわけではありません。
むしろ、わからないからと何もしないでいると「やる気がない」「仕事ができない人」というイメージを持たれてしまい、マイナスの印象を持たれてしまうこともあります。そんな事態を避けるためにも、積極的に自分から行動することが大切です。
とはいえ、何も分からないのに、自分から何をすればいいの?と思う人もいるかもしれませんね。
上司が仕事を教えてくれない場合は先輩に尋ねてみる
直属の上司が教えてくれない場合、まずは他の先輩に尋ねてみることを考えましょう。他部署の場合は、やり方が異なるかもしれませんが、おおよその仕事の流れはわかるはずです。
何もせずにただ指導を待つのではなく、何かできることはないか、周囲の人に尋ねてみるのも一手です。
積極的に自分から仕事をしようとする姿勢を見せることで、上司が少しずつ教えてくれるようになるかもしれませんし、他の先輩が手助けして教えてくれるかもしれません。
上司の動きを見て仕事の流れや立ち居振る舞いを覚える
何も教えてくれない上司でも、上司の動きを見て真似することは可能です。患者さん応対などは、必ず自分も将来やる仕事です。仕事の流れや立ち居振る舞いなどを見て覚える、を繰り返しましょう。
周囲の先輩たちの動きも同様にしっかり観察して覚えてしまうといいですね。
仕事に役立つ本を読む
また、現場の仕事とは異なりますが、仕事術やコミュニケーション関連のビジネス本などを読むと、自分の考え方の幅を広げたり患者さんとの対話に役立つ一般常識などが身についたりするため、おすすめです。
上司に仕事を教えてもらうためのポイント
ここで一つ考えてほしいことがあります。
仕事を教えてくれない上司は、本当に教えたくないと思っているのでしょうか? もしかしたら、教えたくないと思ってしまう理由が何かあるのかもしれません。次は、上司に仕事を教えてもらうためのポイントについて考えてみましょう。
仕事を教えたくないと思ってしまう部下にはいくつかの傾向があります。「仕事への熱意や真剣みが感じられない」「感謝や尊敬の気持ちが伝わってこない」「人の話を素直に聞かない」などなどがあげられます。
これらを反面教師にして、上司が仕事を教えたくなる行動をすれば、それまで教える気配がなかった上司の気が変わるかもしれません。仕事を教えてもらうためのポイントをまとめてみます。
1.仕事に対する熱意や真剣さが感じられる
入職したての頃は右も左も分からないことばかりですが、それでもやる気があるかどうかは上司にはすぐに分かります。「明るく挨拶する」「上司の質問にハキハキ答える」「教えてもらったらすぐにメモを取る」などの行動から、「仕事を早く覚えよう」「職場に早く馴染もう」という気持ちが伝わります。
何事にも一生懸命、真剣に取り組む姿勢を見せることで、周囲は「もっと教えよう」「きちんと説明しよう」と思うものです。
2.感謝と尊敬を伝える
仕事を教えてもらったら、必ず「ありがとうございます」とお礼の言葉を言いましょう。どんな小さなことでも教えてもらったら心から感謝する……当たり前のことですが、その当たり前が出来ない人が少なからずいます。
感謝の言葉を言いながら、よそ見をしたり、目を合わせなかったり、腕組みや足組みをしたりしていたら、上司はどんな気持ちになるでしょう。敬意や謝意は、言葉と表情と態度が一致した時に相手にしっかり伝わります。
そうすれば上司は嬉しい気持ちになり、これからもしっかり教えよう、と思うでしょう。
思っているだけでは伝わらないのが人の心。感謝の思いを伝えて、上司が仕事を教えたくなる部下になりましょう。
3.素直に話を聞く
入職直後から上司の話に口ごたえする人は少ないと思いますが、何か指摘されて言い訳をしたり、上司の言い分が間違っていると指摘したりするのは考えもの。上司の話を素直に聞いてすぐに行動すると、上司は教えてよかったと思います。
仕事に慣れるまではミスすることもありますが、そんなとき、すぐに謝るのも素直さのあらわれ。素直に上司の話を聞くことが、上司が教えたくなる重要なポイントです。
4.教えてもらったら必ずメモを取る
仕事を覚えるまでは、何か教えてもらったらメモを取りましょう。いつでも必ず筆記用具とメモ帳を携帯して、上司に声をかけられたら、すぐにメモを取る準備をします。
どんな小さなこともメモして、上司に同じことを何度も言わせないように、わからないことがあればその場で質問します。熱心にメモを取る姿勢を見て、上司はやる気を感じとります。
「急いで書いたせいで自分でも読めなかった」ということがないように、早めに内容を見直し復習、必要に応じて清書するなどの工夫も大切です。
5.質問には思いやりをあらわすクッション言葉を添える
教えてくれない上司に質問するのはハードルが高いかもしれませんが、自分からアクションを起こさなければ、何も前に進みません。
質問するときには、「今お時間よろしいですか」「お忙しいところ恐れ入りますが、教えてほしいことがあるのですが……」のようにクッション言葉を使いましょう。教えてもらうことは上司の貴重な時間を奪うことでもあります。
自分のために時間を使って教えてくれる上司の立場を思いやり、感謝やいたわりの気持ちを言葉にして伝えましょう。
忙しい上司を気遣う姿勢は、質問の仕方にもあらわれます。質問は、要点を絞って要領よく。緊張して難しいと感じるときは、事前に質問内容をメモしておくといいでしょう。
仕事に対する積極的な姿勢が上司の考えを変える
仕事を教えてくれない上司を責めたり愚痴を言ったりしているだけでは、自分自身の成長がありません。自分から積極的に仕事を覚えようとする姿勢を見せて、上司が教えたくなる部下を目指してほしいと思います。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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