管理栄養士は社会貢献できる仕事!これからの管理栄養士の役割とは

更新日 2024年03月12日 公開日 2024年03月12日

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管理栄養士は、献立作成や食材の発注・管理のほか、個人や集団に対して栄養管理・栄養指導を行うのが主な仕事です。病院や学校、保育施設、介護福祉施設、研究機関などさまざまな場所で需要のある職業であり、管理栄養士国家資格の取得者も年々増加しています。

また、管理栄養士は、高齢化の進行や生活習慣病患者の増加が著しい現代において、「食や栄養を通じた社会貢献」ができる職業でもあります。

そこで今回は、管理栄養士が知っておきたい健康や食の課題、管理栄養士が社会貢献を行う方法、これからの管理栄養士に求められる役割などについて徹底的に解説します。

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管理栄養士は社会貢献できる仕事!これからの管理栄養士の役割とは

管理栄養士が知っておくべき日本の課題

管理栄養士の業務は、現代社会を取り巻く健康や食の課題と無関係ではありません。「人々の食をサポートする管理栄養士」にとどまらず、「社会貢献を果たせる管理栄養士」となるためには、まず日本が抱えるそうした課題を理解する必要があります。

日本が抱える課題
●超高齢化社会における平均寿命と健康寿命の差
●食品自給率の低さ
●大量廃棄による食品ロス
●現代人の食生活の乱れ

ここからは、それぞれの課題について詳細を説明します。

超高齢化社会における平均寿命と健康寿命の差

現在の日本は、65歳以上の高齢者の割合が全人口の21%を超えた「超高齢化社会」に突入しています。高齢者の人口割合は毎年、過去最高を更新しており、総務省統計局によると2021年から2022年の1年間で、高齢者の人口割合が0.3ポイント高まっています。

2021年 2022年
28.8% 29.1%(0.3ポイント上昇)

(出典:総務省統計局「高齢者の人口」/https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html

また、平均寿命と健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)に、大きな差が生じているのも特徴的です。以下は、厚生労働省が発表した2019年時点での日本国民の平均寿命と健康寿命です。

平均寿命 健康寿命
男性 81.64歳 72.68歳
女性 87.45歳 75.38歳

(出典:厚生労働省「平均寿命と健康寿命」/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html

男性・女性とも、平均寿命と健康寿命との間に約9~12年程度の差が生じています。この期間は「健康上の問題で日常生活が制限されている」ことを意味しており、多くの場合、医療や介護によるサポートが必要となります。

平均寿命が伸びることはよい傾向ではあるものの、健康寿命との差によって浮かび上がるさまざまな影響は軽視できないでしょう。

食料自給率の低さ

食料自給率の低さも問題視されています。まずは厚生労働省が発表したデータから、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアの食料自給率を見てみましょう。

「カロリーベース」の
食料自給率
「生産額ベース」の
食料自給率
日本
(2019年)
38% 66%
アメリカ
(2017年)
131% 90%
カナダ
(2017年)
255% 120%
オーストラリア
(2017年)
233% 133%

(出典:農林水産省「世界の食料自給率」/https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html

食料自給率の計算方法には2種類あり、カロリーベースの食料自給率ではカロリーが高い米などの影響が大きくなります。一方、生産額ベースの食料自給率では単価が高い畜産物などの影響が強く反映されます。

日本は、カロリーベースの食料自給率において、アメリカ、カナダ、オーストラリアに大きく差を付けられており、そこから生じる輸入リスクが大きな問題となっています。つまり、海外からの食料輸入がストップしてしまうと、国民に十分な食料が行き届かなくなる可能性があるわけです。

(出典:農林水産省「食料自給率って何?日本はどのくらい?」/ https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-01.html

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大量廃棄による食品ロス

食品ロスとは、「本来食べられるはずの食品が廃棄されること」です。農林水産省によると、日本では1年間に約522万トンもの食品ロスがあるとされており(2020年度推計値)、これは日本人1人ひとりが毎日、茶わん約1杯分のごはんを捨てているのに近い量です。

日本で食品ロスが発生する理由には、下記が考えられます。

●小売店(スーパー・コンビニなど)の売れ残り
●飲食店(レストランなど)の食べ残し
●家庭での食べ残し

このほか、事業系食品における規格外品や返品なども食品ロスが生じる原因となっています。

食品などの水分を含むごみは、焼却処理の際に二酸化炭素(CO2)を排出するため、食品ロスをそのままにしておくと、食べられるはずの食べ物が無駄になるだけでなく、環境にも負荷がかかってしまうでしょう。

(出典:農林水産業「食品ロスとは」/https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html

現代人の食生活の乱れ

マルハニチロが2021年に行った調査では、20代の若者の54.2%が「食生活が乱れている」と回答しています。

(出典:マルハニチロ「~マルハニチロ「20代の健康と食生活に関する意識・実態調査 2021」~ 」/https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/news_center/news_topics/20210707_research_20s_health.pdf

食生活が乱れると、健康に何らかの影響を及ぼします。「肥満もしくは痩せ」はその代表例と言えるでしょう。厚生労働省発表が2019年に行った調査では、20歳以上の男女における「肥満者」「瘦せ型の者」の割合は次の通りでした。

肥満者
(BMI 25以上)
男性:33.0%
女性:22.3%
痩せ型の者
(BMI 18.5未満)
男性:3.9%
女性:11.5%

(出典:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」/https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

上記を2009年に行われた同調査の結果と比べてみると、女性はほぼ横ばい。男性は約10年間で肥満者が2.5ポイント増え、痩せ型が0.5ポイント減少していることがわかりました。

食生活が乱れると高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす可能性があるとされているため、こうした傾向にも注意が必要でしょう。

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管理栄養士はどのように社会貢献できる?

ここまで見てきたように、現代の日本には健康や栄養、食事を取り巻く問題が数多くあります。そして、「食事と栄養のスペシャリスト」である管理栄養士は、健康や栄養、食事の問題解消に向けて欠かせない存在です。

ここからは、管理栄養士がどのように社会貢献できるのかを詳しく紹介します。

食を通して高齢者の健康を支える

高齢者は、さまざまな生活習慣病にかかりやすい傾向にあり、生活習慣病を予防するためには、適切な量と質の食事が重要です。

管理栄養士は、介護施設を利用する高齢者や地域の高齢者に対して、適切な献立や食事を提供するだけでなく、1人ひとりに適した食べやすい食事のあり方や、栄養改善の方法などについても提案できます。食を通じて高齢者の健康を支えることは、管理栄養士ならではの社会貢献と言えるでしょう。

地産地消の大切さを伝える

管理栄養士は、地域で生産された食品を地域で消費する「地産地消」の大切さを地域住民に伝えることができます。地産地消に取り組むことで、食料自給率が向上するだけでなく、地域社会の活性化にもつながるでしょう。

具体的な取り組みとしては、地元の新鮮な食材を使った献立の考案・提供が挙げられます。地元の食材を取り入れた食事を地域イベントなどで提供すれば、食欲増進や子どもの食育にも貢献できるでしょう。

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余った食材の活用法などを教える

食に関する専門的な知識が豊富な管理栄養士は、「どうすれば食材を余すことなく活用できるのか」を指導したり、余った食事のリメイクレシピを発信したりすることが可能です。つまり、そうした取り組みを通じて、食品ロス問題の解消に貢献できるわけです。

積極的に食品ロス解消に取り組んでもらうためには、作りやすさや見た目にも配慮しながら「実践したくなる情報」を発信することがポイントとなるでしょう。

バランスの整った食事で人々を支援する

厚生労働省は、健康づくりのための理想的な食事例を示す「食事バランスガイド」を公開していますが、誰もが「食事バランスガイド」に沿った食生活を送れるわけではありません。

(参考:厚生労働省「食事バランスガイド」/https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/

そのため、「食事バランスガイド」をベースに、それぞれの生活環境や身体状況に合わせた献立を考えたり、食事を提供したりできる管理栄養士の存在は、地域の人々の健康を守る上で、欠かせない存在となるでしょう。

また、管理栄養士は献立作成や調理が苦手な個人に対して、アドバイス・指導を行うことでも、健康的な食生活を支援できます。

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これからの管理栄養士に求められる役割

管理栄養士は「食事と栄養のスペシャリスト」として、幅広い分野で専門性を生かすことが期待されています。加えて、今後は地域全体、社会全体を見据えながら、健康や食を取り巻く社会課題に取り組む姿勢も求められるでしょう。

近年では子どもの食物アレルギーも増加しており、約2人に1人が何かしらのアレルギー疾患を抱えていると言われます。したがって、学校や保育施設で働く管理栄養士は、食物アレルギーに関する正確な知識を生かし、安心して給食を食べられるような環境づくりを行う必要があるでしょう。あわせて、保護者からの個別栄養相談に対応する機会も増えるかもしれません。

また、近年はサプリメントや栄養食品などに関して、インターネット上で間違った情報が飛び交うケースも見られます。管理栄養士はそうした状況のなかでも、常に正しい情報を発信し続けることが求められるでしょう。

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まとめ

管理栄養士は、食を通じて社会貢献できる職業です。特に、日本人が抱える健康問題や食品ロス問題などの解決には、「食事と栄養のスペシャリスト」である管理栄養士の知識やスキルが欠かせません。

高齢者の食の悩みを解決したり、消費者に正しい知識を伝えたりなど、管理栄養士が活躍できるシーンはほかにも数多くあります。これからの管理栄養士には、地域全体、社会全体を見据えながら、社会課題にも積極的に取り組む姿勢が求められるでしょう。

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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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