管理栄養士の資格を生かせる副業|メリット&デメリットを解説
働き方改革やダイバーシティ推進をきっかけに副業が注目されつつある昨今、管理栄養士のなかにも副業を行う方が増えています。
ただし、管理栄養士の副業では単に収入を増やすだけでなく、「本業では実現しにくいスキルアップ」や「起業準備」などを目的とするケースが少なくありません。
この記事では、管理栄養士が副業するために知っておきたいことや、管理栄養士の資格を生かせる副業の事例、副業のメリット・デメリットなどについて解説します。「副業するべきか、転職するべきか」と迷っている方の参考になれば幸いです。
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目次
管理栄養士の資格を生かして副業を選ぶコツ
管理栄養士の資格を上手に活用すれば、副業で収入を増やすことが可能です。
ただし、ひとくちに管理栄養士といっても、置かれている状況や知識・スキルはさまざまです。本業と副業を両立させるためには、自分の能力を生かしつつ無理なく働ける副業を選ぶ必要があるでしょう。
管理栄養士の知識・経験にプラスアルファできる副業を選ぶ
副業を選ぶ場合、管理栄養士の経験に加えて、自分が持っている特技・能力を生かすことで、より実力を発揮しやすくなります。
たとえば、文章を書くのが得意な方には、栄養指導やレシピ紹介などの記事制作がおすすめです。スポーツ・ダイエットに関する知識が豊富な場合は、トレーナー関連の仕事を検討してみるとよいでしょう。
子どもが好きな方や育児経験がある方には、保護者に向けた栄養指導などがおすすめです。
在宅ワークでこなせる副業を選ぶ
働き方改革やコロナ禍をきっかけに、テレワークが注目されるようになりました。それにともなって、パソコンとインターネット環境さえあれば、場所を選ばずにできる仕事も増えています。
通勤に時間がとられない上に、仕事量や勤務時間の融通も利きやすい在宅ワークは、スキマ時間を活用したい方におすすめです。また、在宅ワークは育児・介護によるブランクがある方や、パートナーの転勤などで1つの職場に長く勤めにくい方にも適しています。
将来性や転職時のポイントも
管理栄養士に向いている副業8選
ここでは、管理栄養士に向いている副業のなかから、8つを紹介します。
●食品や健康関連の記事作成
食品や健康、美容関連の記事作成は、在宅で行える管理栄養士向け副業の代表例です。
健康や美容関連の記事を作成する際は、薬機法・健康増進法などに抵触しないよう慎重に情報を取り扱う必要があります。その点、管理栄養士は健康・栄養に関する深い知識を持っているため、信頼性の高い記事を執筆できるでしょう。
●トレーナーやアドバイザーとして行う食事・ダイエット指導
管理栄養士は、スポーツジムやエステサロンなどで、健康と美を保つための食事指導・栄養相談を行えます。店舗への出勤が必要な仕事から、オンラインサービスがメインとなる仕事まで、働き方はさまざまです。
トレーナーやアドバイザーには、顧客1人ひとりの体質や体調、生活スタイルなどに合わせた細やかな指導が求められます。「必要なアドバイスをして終わり」ではなく、顧客のモチベーションを高めつつ、一緒に目標達成を目指すことを心がけましょう。
●特定保健指導業務
特定保健指導は、特定健診(メタボ健診)でメタボリックシンドローム該当者、または予備群と診断された方の生活改善を図るプログラムで、管理栄養士の資格を生かして行える代表的な業務の1つです。
特定保健指導における管理栄養士の役割は、生活習慣の改善が必要な方に食生活の見直しや運動、睡眠などの指導を行い、生活習慣病の予防を支援することです。その際、管理栄養士は、定期的な面談によって対象者の状況を把握し、1人ひとりに合わせた生活指導を行います。
仕事内容・求められるスキル
●健康系記事の監修
記事監修は、栄養の専門家として、ライターが書いた記事の内容を精査する仕事です。専門知識を持つライターがいない状況で記事を作成する場合、専門家に監修してもらうことで内容の信頼性を担保できます。
監修者が行う仕事の流れは、おおむね下記の2パターンです。
・ライターと打ち合わせを行い、内容を確認しながら共同執筆の形式で記事を作成する
●アンケートモニターの仕事
アンケートモニターは、製品・サービスを実際に使用した上で、利用者の視点からアンケートに答える仕事です。比較的気軽にできるため本業が忙しい方や、子育て中でまとまった時間を確保しにくい方にもおすすめです。
なお、管理栄養士の場合、専門家の視点を生かして、製品・サービスの開発にも貢献できます。
●栄養価計算
栄養価計算は、献立やレシピに示された食材、調理方法などのデータから栄養価を計算し、栄養成分表示を作成する仕事です。
栄養価計算は、介護福祉施設や飲食店の献立、書籍・Webメディアに掲載するレシピなど、幅広いジャンルで必要とされており、管理栄養士の副業のなかでも需要が高いのが特徴です。
栄養価の計算には専用ソフトを使用しますが、最近は無料ソフトであっても十分なクオリティを備えているため、パソコンさえ用意すれば手軽に始められるでしょう。
数字の計算が苦にならない方や、コツコツ作業するのが好きな方には、特に向いている副業です。
●家事代行
家事代行は、依頼者さまの自宅で料理や買い出しなどの家事全般をサポートする仕事です。
管理栄養士が家事代行の副業をする場合、作り置きなどの調理をメインとしたサービスが喜ばれます。食材の買い出しから依頼される場合もあれば、冷蔵庫にある食材で献立を考えて調理する場合もあります。
味と栄養バランスにこだわった家庭料理でリピーターを獲得できれば、安定した収入を得られるでしょう。
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管理栄養士が副業を探す方法
管理栄養士が副業を探す方法にはさまざまな選択肢がありますが、ウェブサービスを利用するのが最も効率的です。管理栄養士の副業探しでは、以下の2つを利用するのがおすすめです。
管理栄養士向けの求人サイト
近年は、特定の専門職や資格に特化した求人サイトが増加しています。管理栄養士の知識やスキルを生かせる副業を探す際は、マイナビコメディカルのような専門性の高い求人サイトを活用するとスムーズでしょう。
求人サイトでは、勤務地や勤務形態などの細かな条件を指定して検索できるので、副業を見つけたい場合には、「業務委託形式」の募集から仕事を探してください。
「本業に影響が出ないように、できれば在宅OKの副業を探したい」という方が多いかもしれませんが、在宅勤務の条件には一定期間の実務経験を求められることが少なくありません。希望の仕事がなかなか見つからない場合は、求人サイトのキャリアアドバイザーに相談してみましょう。
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クラウドソーシングサービス
安価な案件からスタートして、少しずつ実績を積みたい方は、クラウドソーシングサービスを利用するのもよいでしょう。
クラウドソーシングサービスとは、仕事のマッチングサイトです。案件の検索画面で「管理栄養士」の資格欄にチェックを入れたり、フリーワードとして資格名を入力したりすれば、管理栄養士向けの案件を探すことが可能です。また、プロフィールに管理栄養士であることや職歴などを入力しておくと、クライアント側から案件を依頼されるケースもあります。
クラウドソーシングサービスには、WebライティングやWebデザイン、システム開発などの案件が多いため、料理関連の記事作成やレシピ考案、レシピの栄養価計算などの副業は比較的見つかりやすいでしょう。
なお、クラウドソーシングサービスでは多様なジャンルの仕事を探せるので、食事や栄養とは別のジャンルから副業を探したいときにもおすすめです。
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管理栄養士が副業を始めるメリット&デメリット
管理栄養士に限らず、副業にはメリットとデメリットの両方があります。
もし、副業にともなうデメリットがメリットを上回るのであれば、副業以外の選択肢で収入を増やしたほうが賢明です。自分のキャリアプランや、置かれている状況をよく考えながら、慎重に方向性を決めましょう。
副業を行うメリット
管理栄養士が副業することで得られるメリットは、以下の通りです。
●専門性を生かしつつ、新たな知識・スキルが得られる
勤務先によっては事務作業のウェイトが大きく、管理栄養士としての専門性が発揮しにくいケースがあります。
そうした不満を抱えている方であれば、副業で専門性を生かすのも1つの方法です。また、管理栄養士の仕事は医療・福祉・美容・スポーツなど多様なジャンルと関係しているため、本業とは異なる分野の副業を行うことで、知識やスキル、人脈の幅が広がる可能性もあるでしょう。
●独立を目指すことも可能
管理栄養士のなかには、本業と副業の両方で経験を積みながら、フリーランスとして独立を目指す方もいらっしゃいます。
ただし、管理栄養士としての実績がないまま独立すると、思うように仕事が得られないリスクがあります。小規模な副業からスタートし、少しずつ実績を積み重ねていけば、クライアントからの信頼が獲得しやすくなるでしょう。
副業を行うデメリット
本業以外の時間を使って副業すると、必然的にプライベートの時間が減ってしまいます。収入アップやスキルアップを目指して副業を始める場合は、ワークライフバランスや心身の健康に悪影響が出ないように注意してください。
また、職場によっては副業そのものが就業規則違反となる場合があります。副業禁止の職場でこっそり副業すると、住民税の請求などで発覚する恐れがあるため、必ず就業規則を確認しておきましょう。
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管理栄養士が副業をするときの注意点
管理栄養士が副業を始める際は、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。副業がきっかけで起こるトラブルはけっして少なくないため、ポイントを押さえてトラブルを未然に防ぎましょう。
ここでは、管理栄養士が副業するときに注意すべき点について、詳しく解説します。
本業を圧迫しない範囲で副業をする
副業が軌道に乗ると、業務に割く時間を増やしたくなるかもしれません。しかし、副業はあくまで副業です。本業に支障をきたさないように、業務量やスケジュールの調整を心がけましょう。
厚生労働省によると、副業を認めている企業の63%は、本業がおろそかになる点を懸念しています。
(出典:複数就業者に係る労災保険給付等について(参考資料)「副業・兼業の現状(企業側①)」/https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000579348.pdf#page=6/)
副業によって本業のクオリティが下がったと判断されれば、職場からの注意や処分がないとも限らないので注意が必要です。事実、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、「会社への労務の誠実な提供に何らかの支障をきたす」副業を無断で行っていた社員が、解雇有効とされた判例が紹介されています。
(出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000204092.pdf#page=3)
副業には多くのメリットがあるのも確かですが、副業に力を入れすぎて本業がおろそかになってしまうのは考えものです。時間や体力と相談しながら、本業に影響しないバランスを探りましょう。
確定申告を正しく行う
一般的な会社員の場合、副業による所得が年間20万円を超えているか、複数の企業から支払われた給与所得が年間20万円を超えている場合は、確定申告が必要です。
確定申告が必要となる条件は、次のとおりです。
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
(引用:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)
所得の計算式は、「収入金額-経費」です。たとえば、副業で年間25万円の収入を得ていても、経費として10万円使っていれば所得は15万円となり、確定申告をする必要はありません。
業務委託契約などにより、本業に加えて別の会社などから給与が支払われている場合は、2つの収入を合算し、総額で所得税を計算して確定申告する必要があります。
確定申告は、スマートフォンやタブレットなどの端末からe-taxを利用して済ませることが可能です。また、税金の納付についても端末からキャッシュレス決済できるため、税務署に行く必要はありません。
注意点として、医療費控除やふるさと納税などで確定申告を行う場合は、副業で得た所得が20万円以下であっても、申告が必要だということを覚えておいてください。また、確定申告がいらないケースでも、住民税の申告は必要です。
職場だけでなく家族の同意も得る
副業を始める際は、会社だけでなく家族やパートナーの同意を得ることも重要です。
副業は収入アップにより家計を助けられる一方で、本業の退勤後や休日に働くケースもあり、家族と過ごす時間が減るというデメリットがあります。そのため、これまで家事を分担していた家庭や小さな子どもがいる家庭では、パートナーの家事・育児の負担増加につながりかねません。
副業が家庭トラブルのきっかけにならないように、事前の同意を得るとともに、収入と業務量のバランス、家事や育児の分担についても十分に話し合いましょう。
スキルが身につかない副業は避ける
単純作業は、効率的に稼ぐのが難しくなります。データ入力などの副業には、初心者でも取り組みやすいものが多く見られますが、スキルが身につかない上に報酬が安く、長く続けても単価アップはほとんどありません。
必ずしも、管理栄養士資格を生かせる副業を選ぶ必要はありませんが、プライベートの時間を減らす以上は、何らかのスキルが身につく仕事を選択するのがよいでしょう。
つらい・疲れたと感じたときの対処法
収入を増やしたい場合は転職も検討しよう
勤務先での収入額や拘束時間の長さに納得できていない方は、副業よりも転職を検討したほうがよいかもしれません。「現在の仕事が忙しくて困っている」という方が副業を始めると、自由時間がさらに減ってしまい、根本的な解決が難しくなるからです。
副業と転職のどちらを選ぶべきか迷った場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーにアドバイスしてもらうのもおすすめです。数多くの管理栄養士の転職を支援してきたキャリアアドバイザーに、自身の希望、目標などの相談に乗ってもらえば、大きな安心につながるでしょう。
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まとめ
管理栄養士の資格を生かして副業を行う場合は、食品・健康関連の記事執筆やオンライン栄養指導、レシピ開発などがおすすめです。新たな知識・スキルを得られるだけではなく、管理栄養士として独立するためのウォーミングアップにもつながるでしょう。
副業するか転職するか迷った場合は、自分が現在置かれている状況と将来の目標をよく考えつつ慎重に決断することが大切です。心身の健康とワークライフバランスを考えながら、悔いのない選択を行ってください。
管理栄養士として転職を検討している方は、一度マイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルでは、専任のキャリアアドバイザーが豊富な求人のなかから希望に合った求人を無料でご紹介します。書類の添削や面接対策も行っておりますので、管理栄養士としての希望を実現するための働き方を、一緒に考えていきましょう!
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※当記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています
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