特定保健指導で活躍する管理栄養士の仕事内容・求められるスキル

更新日 2024年01月18日 公開日 2020年11月18日

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自治体や健康保険組合などが行う「特定保健指導」は、管理栄養士が自身の知識や能力を存分に活用できる業務の1つです。特定保健指導では、生活習慣病やメタボリックシンドロームなどのリスクがある対象者に寄り添い、1人ひとりに合わせた生活指導を行います。

生活習慣の改善を必要とする方が、今後急激に減ることは考えにくいため、特定保健指導を行う管理栄養士は、引き続き多くの場面で必要とされるでしょう。

当記事では、特定保健指導についての基礎知識と必要なスキル、関連資格である「特定保健指導担当管理栄養士」の取得要件などをご紹介します。管理栄養士として特定保健指導で活躍したい方の参考となれば幸いです。

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特定保健指導で活躍する管理栄養士の仕事内容・求められるスキル

特定保健指導とは?

特定保健指導とは、40歳から74歳までの医療保険加入者に実施される「特定健康診査」において、メタボリックシンドロームまたは生活習慣病予備軍であると認定された方を対象に行う保健指導です。

特定健康診査は、「メタボ健診」と呼ばれることもあるので、そちらの名称で覚えている方もいるかもしれませんね。

特定保健指導では、管理栄養士のほか医師や保健師が中心となって、対象者へ支援業務を行います。特定保健指導の目的は、「対象者に生活習慣病リスクや自身の健康状態を理解してもらい、予防と改善を図ること」で、管理栄養士は対象者1人ひとりに合わせて食生活や減量方法の目標を定め、生活習慣改善をサポートしていきます。

なお、特定保健指導は対象者の抱えるリスクの大きさに応じて、下記どちらかの方法で行われます。

・動機づけ支援
動機づけ支援では、管理栄養士などが対象者に対して個別、またはグループによる面談を行います。対象者自ら現状と過去の生活習慣を振り返り、今後に向けた行動目標を立てることが、動機づけ支援の目的です。目標を立てた約6か月後に、面談や電話などで振り返りと評価を行います。
・積極的支援
積極的支援は、高リスクの対象者に向けた支援です。積極的支援では、初回面談から3か月以上にわたって継続的に電話やメール、個別面談でアドバイスを行い、約6か月後に実績を評価します。定期的に生活習慣の改善状況を確認してサポートするため、動機づけ支援と比較すると、管理栄養士と対象者の接触回数が多くなります。

このように特定保健指導では、対象者自身が自覚を持って健康を意識した行動ができるよう、適切な情報提供と支援を行います。

(出典:厚生労働省「特定健診・保健指導ハンドブック」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03d-1_0002.pdf

特定健康診査・特定保健指導の実施状況

厚生労働省では、特定健康診査・特定保健指導の実施状況を毎年公表しています。

2020年度における特定健康診査・特定保健指導の実施状況を見ると、特定健康診査を受けたのは約2,894万人。そのうち約523万人が特定保健指導の対象者となりました。ただし、実際に特定保健指導を受けたのは約120万人で、実施率は23.0%です。この数値を見る限り、実施率はさほど高くありませんが、特定保健指導制度がスタートした2008年の実施率はわずか7.7%でした。それを考えれば、右肩上がりで上昇していると言って良いでしょう。

2020年度における特定保健指導の実施率を性別で確認すると、男性が23.3%、女性が22.0%で、男性の実施率のほうがやや高い状況です。年齢別では40~44歳の実施率がもっとも低く、70歳を超えると高くなる傾向にあります。

2018年度以降、特定健康診査と特定保健指導の実施率は横ばいですが、今後上昇することはあっても、大きく低下する可能性は低いと考えられます。そのため、特定保健指導を行う管理栄養士は、引き続き活躍が期待されるでしょう。

(出典:厚生労働省「2020年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」/https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001017829.pdf

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特定保健指導における管理栄養士の仕事内容

特定保健指導における管理栄養士の役割は、食生活の見直しや運動、睡眠などの指導を行い、生活習慣病の予防を支援することです。食生活の改善については、特定保健指導の対象者がどのような問題を抱えているかを正確に把握した上で、最適な献立や食事方法を提案します。

前述したように、特定保健指導は40~74歳を対象とする特定健康診査で、健康状況などに問題が見つかった方が対象となります。そのため、最初の段階で食事に対する何らかの問題を抱えている場合がほとんどです。

病気の予防や生活習慣の改善を目指すにあたっては、食生活の見直しが不可欠となるため、栄養管理士は特定保健指導において非常に重要な存在だと言えるでしょう。特定保健指導における管理栄養士の仕事内容には、以下の3種類があります。

・情報提供
動機づけ支援、積極的支援の前段階として行う活動で、管理栄養士の知識と経験をもとに、対象者の健康状態に応じた栄養相談・情報提供を行います。対象者の特定健康診査の結果から生活習慣の改善点を洗い出し、今の健康状態を正しく伝えます。
・生活改善指導
糖尿病や脳卒中といった生活習慣病の予防に向けて、食生活の改善や栄養サポートのアドバイスを行います。具体的には、対象者との面談や電話、メールでの指導が挙げられます。専門知識を生かして生活習慣の改善に働きかけることが、生活改善指導における管理栄養士の役割です。
・カウンセリング、コーチング
対象者が自ら生活習慣を改善するように促すのも、特定保健指導における管理栄養士の仕事です。対象者に情報提供や生活改善指導を行ったとしても指示通りに実行してくれるとは限りません。そのため、対象者と信頼関係を築き、きちんと指示内容を守っているかどうかを確かめながら、指導を続ける必要があるでしょう。
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特定保健指導を行う管理栄養士に求められるスキル

特定保健指導は、知識を伝えるだけの単純な仕事ではありません。対象者の健康状態と食生活などに合わせた適切な支援を行うことが重要となります。

ここでは、特定保健指導を行う上で、管理栄養士に求められるスキルを4つご紹介します。管理栄養士としての知識以外に、どのようなスキルが必要になるのかを確認しましょう。

生活習慣病についての最新知識

生活習慣病は日々研究が行われ、新しい研究結果が発表されています。対象者に的確なアドバイスを提供するためには、常に生活習慣病に関する情報を収集し、知識をアップデートしておく必要があるでしょう。

教科書で学んだ知識だけでなく、新たな知識を取り入れて応用することで、対象者が生活習慣を見直すきっかけがつくりやすくなるはずです。

コミュニケーション能力

対象者に特定保健指導の指示内容を守ってもらうには、信頼関係を構築する必要があります。とはいえ、管理栄養士として持っている知識や情報をただ伝えるだけでは、信頼にはつながりません。また、特定保健指導では、管理栄養士が自宅に訪問して対象者のプライベート空間で指導を行うこともあります。

そのため、特定保健指導を行う管理栄養士には、対象者と同じ目線に立って円滑にコミュニケーションを進めるスキルも求められます。

対象者の現状を把握する能力

特定保健指導は、対象者に合わせてアドバイスを行うため、検査結果や面談を通じてそれぞれの健康状態や、生活習慣を正しく把握する能力が必要です。

対象者を取り巻く状況を正しく把握・理解しなければ、「生活習慣病の予防」という特定保健指導本来の目的を果たすことは難しいでしょう。対象者の健康状態や生活の問題点は千差万別です。限られた時間のなかで適切な指導ができるように、健診データや面談から正確に状態を把握するスキルを磨いておきましょう。

生活改善へ導く指導力

現状を把握した上で、実際に生活改善へと導くためには指導力も必要です。生活改善の成果はすぐに表れるものではないため、カウンセリングやコーチングの知識・スキルを用いて、長期にわたって相手のモチベーションを高めるアプローチを行っていきます。

そうした生活改善の指導において、特に重要なのが「傾聴」です。傾聴とは、「相手の立場に寄り添い、気持ちに共感しながら話を聴くこと」であり、お互いの信頼関係を構築する上で、不可欠なスキルだと言えるでしょう。

指導を受ける側は、これまでの生活習慣を変える必要があるため、決して小さくないストレスを感じます。管理栄養士が傾聴を心がけることで、対象者は前向きな気持ちで、生活改善に向けた取り組みを進められるようになるでしょう。

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特定保健指導担当管理栄養士とは?

特定保健指導担当管理栄養士とは、特定保健指導を行う管理栄養士向けの資格です。日本栄養士会が認定を行っており、認定を受けると特定保健指導についての高いスキルを備えている証明となります。

ここでは、特定保健指導担当管理栄養士の資格を取得するための要件と流れを紹介します。

特定保健指導担当管理栄養士を取得するには?

特定保健指導担当管理栄養士の資格を取得するには、一定以上の資質と実務経験を備えた会員として日本栄養士会に認定される必要があります。

具体的な条件は下記の通りです。

  • ・管理栄養士の資格保有者である
  • ・3年以上特定保健指導に従事している
  • ・日本栄養士会生涯教育制度に参加し、自己研鑽している
  • ・日本栄養士会及び都道府県栄養士会実施の「保健指導担当者研修会」を修了している
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認定までの流れ

特定保健指導担当管理栄養士の認定資格を得るまでの流れは以下の通りです。

1.書類、事例の提出
審査に必要な書類と保健指導に関する事例を3つ以上提出(事業事例、指導事例など)
審査料:22,000円(税込)(日本栄養士会会員は11,000円(税込))
2.特定保健指導に関する活動概要と事例報告の審査
3.「特定保健指導担当管理栄養士」認定
資格の有効期間は認定日より5年
認定料:22,000円(税込)※日本栄養士会会員は11,000円(税込)

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「特定保健指導担当管理栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/specific/

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未経験でも管理栄養士として特定保健指導を行える?

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特定保健指導未経験の管理栄養士にあると有利なスキル

管理栄養士として特定保健指導を行う場合、関連したスキルを持っていると歓迎されやすくなります。また、転職においてはスキルや経験に応じて、採用後の待遇が決定されるケースも少なくありません。

ここからは、特定保健指導業務が未経験の管理栄養士が転職を有利に進めるために、身に付けておきたいスキルをご紹介します。

栄養指導を行った経験

管理栄養士のメインの仕事の1つである「栄養指導」を行った経験があると、転職活動において有利に働く傾向にあります。栄養指導とは、「食生活に課題を抱えている方や、生活習慣病などの疾患を持っている方に対して、食事についてのアドバイスを行うこと」です。

もし、栄養指導の経験がなければ、勉強して知識を身に付けた上で転職活動の際にアピールするのがおすすめです。栄養指導のポイントや指導対象となり得る病気など、基本的な情報は事前に押さえておきましょう。

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簡単なパソコンスキル

近年は、管理栄養士の業務においてもパソコンスキルが必要になっています。栄養管理計画書や献立、報告書など、さまざまな事務業務が発生するので、基礎的なパソコンスキルは身に付けておきましょう。

管理栄養士が身に付けるべきパソコンスキルとレベルは、下記の通りです。

  • ・Word:基礎的なビジネス文書を作成できる
  • ・Excel:関数を用いた表を作成できる
  • ・栄養計算ソフト:基礎的な操作を行える

上記のスキルは習得に時間や手間がかからないので、パソコンが苦手な方もぜひ挑戦してみましょう。ほかにも希望する転職先で使われているソフトなどがあれば、事前に使い方を覚えておくのがおすすめです。

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まとめ

特定保健指導の主な目的は、メタボリックシンドロームまたは生活習慣病の対象者や予備軍を減らすことです。そのため、特定保健指導を行う管理栄養士には、疾病に関する専門知識やコミュニケーションスキル、対象者の現状を正しく把握できる能力が求められます。特定保健指導の実務経験を積んだ方は、特定保健指導担当管理栄養士の資格取得を検討してみるのも良いでしょう。

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※当記事は2022年12月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。

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