特定保健指導として活躍する管理栄養士の仕事内容・求められるスキル

更新日 2022年11月11日 公開日 2020年11月18日

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特定保健指導は、管理栄養士としての知識や能力を活用できる仕事内容のひとつです。生活習慣病やメタボリックシンドロームなどのリスクがある対象者に寄り添い、一人ひとりに合わせた指導を行います。

特定保健指導を行う管理栄養士は、生活習慣の改善を必要とする方に専門知識を活かすため、今後も必要とされる人材です。

当記事では、特定保健指導担当管理栄養士の基礎知識から必要なスキル、目指すための要件・流れまでを紹介します。特定保健指導を行える管理栄養士として活躍したい方は、ぜひ参考にしてください。

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特定保健指導とは?

特定保健指導とは、40歳から74歳までの医療保険加入者(被保険者および被扶養者)に義務付けられている保健指導です。認定された管理栄養士・理学療法士・保健師が、医療保険者の特定健康診査結果をもとに、対象者へ支援業務を行います。

特定保健指導を行う目的は、対象者に生活習慣病リスクや自身の健康状態を理解してもらい、予防と改善を図ることです。

主な対象者は、特定健康診査でメタボリックシンドロームまたは生活習慣病予備軍であると認定された方です。管理栄養士などが対象者一人ひとりに合わせて食生活や減量方法などの目標を定め、生活習慣改善に向けて食事や運動習慣を中心に健康づくりをサポートします。

管理栄養士の特定保健指導では、主に以下の2つから支援を行います。

・動機づけ支援
動機づけ支援では、対象者に個別での面接またはグループによる面談を行います。対象者自ら現状と過去の生活習慣を振り返り、今後に向けた行動目標を立てることが、動機づけ支援の目的です。目標を立てた約6か月後に、面談や電話などで振り返りと評価を行います。
・積極的支援
積極的支援では、初回面談だけでなく、3か月以上にわたり継続的に電話やメール、個別面談でアドバイスします。定期的に生活習慣の改善状況を確認・サポートするため、動機づけ支援と比較すると、管理栄養士と対象者の接触回数が増加することが特徴です。

このように特定保健指導では、対象者自身が自覚を持って健康を意識した行動ができるよう、適切な情報提供と支援を行います。

保健指導と特定保健指導の違い

保健指導と特定保健指導では、指導の目的が大きく異なります。

従来の保健指導は、病気の早期治療と早期発見が目的です。
定期健診や病院での健康相談など、保健指導の範囲は多岐にわたります。

一方で、特定保健指導は病気の予防と生活改善が主な目的です。検診結果から判明した生活習慣病リスクに基づき、医師や管理栄養士が生活の改善を支援します。

特定保健指導における管理栄養士の仕事内容

特定保健指導における管理栄養士の仕事内容には、下記の3種類があります。

・情報提供
管理栄養士の知識と経験を活かして、対象者の健康状態に応じて栄養相談や情報提供を行います。対象者の診査結果から生活習慣の改善点を洗い出し、今の健康状態を正しく伝えます。
・生活改善指導
糖尿病や脳卒中など生活習慣病の予防に向けた、食生活の改善・栄養サポートのアドバイスを対象者に行います。具体的には、対象者との面談や、電話・メールでの指導が挙げられます。専門知識を活かして生活習慣の改善に働きかけることが、特定保健指導における管理栄養士の役割です。
・カウンセリング、コーチング
食生活の見直しや適度な運動の実施など、対象者が生活習慣を改善できるよう呼びかけて指導することも、特定保健指導における管理栄養士の仕事のひとつです。
対象者に情報提供や生活改善指導を行ったとしても、対象者が指示通りに実行してくれるとは限りません。対象者がきちんと指示内容を守っているかどうか確かめることも仕事内容に入ります。

特定保健指導を行う上で管理栄養士に求められるスキル

特定保健指導は、健康になるための知識を伝える単純な仕事ではありません。対象者の健康状態と食生活などに合わせた適切な支援を行うことが重要となります。

ここでは、特定保健指導を行う上で管理栄養士に求められるスキルを3つに分けて紹介します。管理栄養士としての知識以外に、どのようなスキルが必要になるのか確認しましょう。

専門的な知識・疾病に関する知識

疫病や生活習慣病は常に研究が行われ、新しい研究結果が発表されています。対象者に的確なアドバイスを提供するためには、疫病や生活習慣病に関する情報・知識を常に収集する必要があります。

教科書で学んだ知識だけでなく、新たな知識を取り入れて応用することで、対象者が生活習慣を見直すきっかけづくりにもなるでしょう。

コミュニケーション能力

対象者に特定保健指導の内容に従ってもらうためには、対象者と信頼関係を構築する必要があります。管理栄養士として持っている知識や情報をただ伝えるだけでは、対象者に信頼してもらうことはできません。また、管理栄養士の特定保健指導では、自宅に訪問して対象者のプライベート空間で指導を行うこともあります。

そのため、特定保健指導を行う管理栄養士には、常に対象者と同じ目線に立ってコミュニケーションを取るスキルも求められます。

正しく現状を把握する能力

特定保健指導は対象者に合わせてアドバイスを行うため、検査結果や面談により対象者の健康状態と生活習慣を正しく把握する能力も必要です。

対象者を取り巻く状況を正しく認識しなければ、病気の予防・生活習慣の改善という特定保健指導の本来の目的を果たすことはできません。対象者の健康状態や生活の問題点は千差万別です。限られた時間の中で適切な指導ができるように、健診結果データや面談から現状を把握するスキルを磨いておきましょう。

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特定保健指導担当管理栄養士になるには?

特定保健指導担当管理栄養士は、管理栄養士の資格を取得するだけで行える仕事ではありません。資格取得以外に、日本栄養士会が定めるいくつかの要件を満たした上で認定を受ける必要があります。そのため、特定保健指導は通常よりも高い指導能力が求められる業務内容です。

ここでは、特定保健指導担当管理栄養士に認定されるまでの要件と流れを紹介します。

特定保健指導担当管理栄養士の要件

特定保健指導担当管理栄養士になるためには、一定以上の資質と実務経験を備えた会員として日本栄養士会に認定される必要があります。

特定保健指導担当管理栄養士になるための日本栄養士会の申請資格は下記の通りです。

・管理栄養士の資格保有者である
・日本栄養士会生涯教育制度に参加し、自己研鑽している
・日本栄養士会及び都道府県栄養士会実施の「保健指導担当者研修会」を修了している

特定保健指導を行いたい方は、上記の条件を満たしましょう。

認定までの流れ

特定保健指導担当管理栄養士の認定資格を得るまでの流れは下記の通りです。

①必要書類と審査料の用意
審査に必要な書類と保健指導に関する事例を3つ以上(事業事例・指導事例など)提出します。審査料として、日本栄養士会会員は1万円(税別)、非会員は2万円(税別)を支払います。
②審査結果を経て合格・認定
提出した書類と事例報告の審査によって合否が確定します。審査に合格した場合、認定料として、日本栄養士会会員は1万円(税別)、非会員は2万円(税別)を支払います。
資格の有効期間は認定日から5年間です。資格を更新するためには、5年間の活動実績や事例報告書を提出した上で、フォローアップ研修・審査を受ける必要があります。
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まとめ

特定保健指導は、通常の保健指導とは異なり、病気の予防・生活習慣の改善が目的となります。そのため、特定保健指導を行う管理栄養士には、疾病に関する専門知識やコミュニケーションスキル、現状を正しく把握できる能力が求められます。特定保健指導担当管理栄養士になりたい方は、要件を満たした上で認定を受けましょう。

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