管理栄養士資格の取得方法・流れ|栄養士資格との違いも

更新日 2023年01月27日 公開日 2021年05月07日

#資格 #情報収集 #転職検討/準備

管理栄養士資格は国家資格であり、食事と栄養における高い専門性が認められています。高齢化が進む日本において、非常に需要の高い資格であるため、取得を検討している方も多いのではないでしょうか。

当記事では、管理栄養士資格の取得方法や、取得するメリットについて詳しく解説します。あわせて、栄養士資格との違いや管理栄養士に向いている人の特徴も紹介するので、管理栄養士資格に興味のある方や、資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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管理栄養士資格の取得方法・流れ|栄養士資格との違いも

管理栄養士資格とは?

管理栄養士とは、食事と栄養に関する高度な専門知識と技術を用いて、栄養指導および栄養管理を行う専門職です。

管理栄養士になるためには、厚生労働大臣が認定する国家資格を取得する必要があります。管理栄養士資格を取得できる「管理栄養士国家試験」は、養成施設や養成施設での修業年数によって、受験資格を得るための条件が異なります。

管理栄養士の受験資格の取得方法について、下記の表にまとめました。

img

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「管理栄養士国家試験について」/https://www.dietitian.or.jp/students/national-exam/

上記を見ても分かるように、修業年限が4年の管理栄養士養成施設を卒業すれば、実務経験の必要はありません。しかし、修業年限が2〜4年の栄養士養成施設を卒業した場合は、栄養士免許を取得した後に最低でも1年以上、指定の施設での実務経験が必要です。

管理栄養士資格を取得すれば、病院で傷病者の療養に必要な栄養指導を行ったり、特定保健指導の対象者に健康保持・増進のための栄養指導を行ったりすることができます。また、大規模な給食施設での管理業務を担うことも可能です。

管理栄養士の勤務先は、医療施設、介護施設、学校、食品メーカー、企業の社員食堂など多岐にわたります。なかにはスポーツ栄養分野を極めて、スポーツ業界で活躍する方もいらっしゃいます。

管理栄養士の年収は勤務先により異なりますが、実際の求人情報を見ると約350万~約500万円が相場です。経験年数による昇給が見込めるほか、資格手当がつくケースもあるため、比較的安定した収入が期待できる職種と言えるでしょう。

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栄養士資格との違い

栄養士資格は、都道府県知事が認定する免許です。

管理栄養士と栄養士はどちらも食事と栄養の専門家ですが、対象者や資格の取得方法、仕事内容などに異なる点があります。たとえば、栄養士は主に健康な方に対して栄養指導を行いますが、管理栄養士は健康な方だけでなく、傷病者や高齢で食事がとりにくくなっている方への栄養指導も行うことができます。

管理栄養士と栄養士の違いは、下記のとおりです。

管理栄養士 栄養士
栄養指導の対象者 健康な方、傷病中の方、食事に特別な配慮が必要な方 健康な方
資格の取得方法 管理養成施設卒業後、国家試験に合格する。もしくは、栄養士養成施設を卒業した後、実務経験を経て国家試験に合格する 栄養士養成施設を卒業する
主な仕事内容 ●健康な方への栄養指導、医療機関や特定保健指導での栄養指導
●一般的な給食の管理、特別な配慮を必要とする給食の管理
●食育指導
●商品開発
●健康な方への栄養指導
●一般的な給食の管理
●食育指導
●商品開発

管理栄養士になるには、栄養士免許を取得していることが前提です。管理栄養士資格のほうが資格取得における難易度が高いことから、実施できる業務の幅も広くなります。

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管理栄養士資格を取得するメリット

管理栄養士は、高齢者の療養食指導や健康寿命を伸ばすための栄養サポート、あるいは国民の生活習慣病の予防・健康増進を担う専門職として、さらなる活躍が期待されています。

高齢化が進む日本において、管理栄養士は非常に将来性のある職業と言えるでしょう。

(出典:厚生労働省「管理栄養士・栄養士を取り巻く状況と管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定の歩み」/https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000358651.pdf

なお、管理栄養士と栄養士の平成28年における配置状況は、下記の通りとなっています。

管理栄養士数 栄養士数
病院 22,429人 4,586人
診療所 4,027人 2,004人
介護保険施設 11,448人 2,905人

(出典:厚生労働省「管理栄養士・栄養士を取り巻く状況と管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定の歩み」/https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000358651.pdf

上記の表によると、各施設における管理栄養士の配置人数は、栄養士の2倍以上となっています。このことからも、管理栄養士の高い専門性は、さまざまな施設で必要とされていることが分かるでしょう。

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管理栄養士資格の取得の流れ

管理栄養士資格は、国家試験に合格することで取得できます。国家試験の受験資格は、卒業した養成施設や修業年限によって異なるため、自分がどの条件に当てはまるかを事前に確認しておきましょう。

なお、管理栄養士養成施設、栄養士養成施設のどちらにおいても、実習が多く行われることから、夜間課程や通信課程はありません。昼間に通学する必要があるため、社会人として仕事と両立しながら栄養士、管理栄養士を目指すのは難しいと言えるでしょう。

以下では、管理栄養士資格を取得するまでの流れについて、詳しく解説します。

栄養士資格を取得する

管理栄養士になるためには、まず栄養士資格を取得する必要があります。栄養士資格は、高校卒業後に養成施設を卒業することで取得することが可能です。

養成施設には、下記の2種類があります。

管理栄養士養成施設
(厚生労働大臣指定)
4年制大学・4年制専門学校
栄養士養成施設
(文部科学大臣・厚生労働大臣指定)
大学・短期大学・専門学校(修業年限2年以上)

管理栄養士養成施設を卒業した場合は、実務経験不要で国家試験の受験資格が与えられます。高校卒業後すぐに管理栄養士を目指したい方は、管理栄養士施設への入学を検討すると良いでしょう。

栄養士養成施設の場合は実務経験を積む

栄養士施設を卒業した場合は、実務経験を積むことで管理栄養士国家試験の受験資格を得ることが可能です。

前述したように、必要な実務経験年数は栄養士施設の修業年限によって変わります。

栄養士養成施設の修業年限 必要な実務経験年数
2年制を卒業 3年以上
3年制を卒業 2年以上
4年制を卒業 1年以上

また、受験資格に該当する施設や実務経験の内容は、下記のとおりです。

●寄宿舎・学校・病院などで、特定多数人に対して継続的に食事を供給する者
●食品の製造・加工・調理または販売を行う営業施設
●学校教育法に規定する学校・専修学校や、就学前の子どもに関する教育・保育などの総合的な提供の推進に関する幼保連携型認定こども園
●栄養に関する研究施設や保健所、栄養に関する事務を担当する行政機関
●栄養に関する知識の普及向上や、栄養指導の業務が行われる施設

(出典:厚生労働省「管理栄養士国家試験」/https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/kanrieiyoushi/

栄養士として働いている方は、上記の条件を満たすことで管理栄養士を目指すことができます。さらなるスキルアップを図りたい方は、管理栄養士の資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

管理栄養士国家試験を受験する

管理栄養士国家試験では、9科目の筆記試験が行われます。管理栄養士国家試験の概要は、下記の通りです。

<学校区分別合格者状況>

受験地 北海道・宮城県・埼玉県・東京都・愛知県・大阪府・岡山県・福岡県・沖縄県
試験期日 年1回(第37回は2023年2月26日)
試験科目 ●社会・環境と健康
●人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
●食べ物と健康
●基礎栄養学
●応用栄養学
●栄養教育論
●臨床栄養学
●公衆栄養学
●給食経営管理論
受験手数料 6,800円
合格者発表 約1か月後にホームページ上で発表
合格者には合格証書を交付

(出典:厚生労働省「管理栄養士国家試験」/https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/kanrieiyoushi/

合格基準は毎年変動しますが、おおよそ200点中120点以上(正答率60%以上)が合格の目安です。

なお、管理栄養士国家試験の難易度は、下記のとおりです。直近にあたる第36回(2022年)では、受験者数16,426名のうち合格者数は10,692名で、全体の合格率が65.1%となっています。

<学校区分別合格者状況>

合格率
管理栄養士養成課程(新卒) 92.9%
管理栄養士養成課程(既卒) 20.5%
栄養士養成課程(既卒) 28.8%

(出典:厚生労働省「第36回管理栄養士国家試験の結果について」/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000916115.pdf

近年の管理栄養士国家試験の合格率は、60~65%前後 で推移しています。また、いずれの年も、管理栄養士養成課程新卒者の合格率は80~90%と高く、管理栄養士養成課程・栄養士課程既卒者の合格率は約20%前後です。養成施設を卒業してから間が空いていると、難易度が高まる傾向にあるため、既卒者は過去問題集などを用いて、しっかりと試験対策を行いましょう。

(出典:厚生労働省「管理栄養士国家試験実施状況」/https://www.mhlw.go.jp/content/000785426.pdf

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管理栄養士に向いている方の特徴

管理栄養士に向いている方の特徴は、下記の通りです。

●食事や栄養について興味がある
●子どもや高齢者、入院中の患者さまなど、幅広い層に栄養指導を行いたい
●人々の健康を栄養面からサポートしたい

料理が好きな方や健康に配慮した食事を作りたい方は、管理栄養士としての素質があると言えます。

病院で働く際には、医師や看護師と連携して業務をこなすことになります。また、病院や施設では、患者さま・利用者さまとコミュニケーションを取る機会もあるため、協調性のある方や「人の役に立ちたい」という気持ちが強い方も、管理栄養士に向いているでしょう。

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まとめ

管理栄養士は、高度な栄養指導および栄養管理を行う仕事であり、厚生労働大臣が認定する国家試験に合格する必要があります。

管理栄養士が活躍できる場所は多岐にわたっており、健康な方だけでなく、傷病者や高齢で食事がとりづらくなっている方に対する栄養指導も可能です。また、給食施設の管理業務など、責任ある立場を任されることも多いでしょう。

管理栄養士試験の受験資格は、卒業した養成施設によって異なります。食事や栄養に関心があり、栄養面から人々の健康をサポートしたい方は、管理栄養士に向いているでしょう。

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※当記事は2022年5月現在の情報をもとに作成しています 

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